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不思議な絵葉書と絵本

絵葉書をよく買う。

絵葉書を買うことは趣味に近いが、その絵葉書に宛名を書いて文字を並べるのは趣味である。

二年前の引越しの際に処分しようと思っていた本を段ボールから出して最終仕分けをしていた。

この時期になってやっと本当に処分しようと思い夜な夜な古い本を手に取るがなかなか進めることが出来ない。

昨晩はそこからアンリ・ルソーの絵葉書を見つけて手が止まってしまった。

設計事務所で仕事をしていた時に大原美術館で求めたものである。

人に頼まれて時々不思議な仕事をしに行った。

不思議な伝手を見つけ、営業協力でLED照明の売り込みに行った。

仕事ではあったが、客のまだいない開館前の美術館の中は不思議な感じがして嬉しかった。

そして帰りになんだか不思議な絵だと思い、売店でこの絵葉書を買った。

こんなデカい牛がいるはずがない。

なんとなく気にいって十年くらい手元に置いていたが、引越しして行方知れずとなっていた。

絵のタッチや雰囲気、不思議さから絵本作家のスズキコージを思い出すのは私だけだろうか。

三十を過ぎた息子が子供のころ買った絵本を未だに持っている。

たくさんあった絵本の中で今手元に残っている絵本はこのスズキコージの数冊だけだ。

時々夜中に一人で眺め、不思議に浸ることがある。

不思議な絵を描き、ストーリーを作る作家である。

なかなか入らないスイッチを入れてくれる一冊でもある。

しかしながら、昨晩もまた片付けは進むことなく不思議な時間だけが過ぎていった。

不思議な絵葉書と不思議な再会をした不思議な夜の話。

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