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犬も食わぬ夫婦喧嘩

何でもないような事が人によっては非常に重要でそれがもとで大きな紛争になる可能性を持つ、そんな教訓を私は思い出していました。

2/16(水)のこと、毎水、金曜日午前九時に投稿される菊地正夫さんのエッセイのコメント欄を読んでいた時のことです。
菊地さんが調理をしながら片付けを同時進行して料理が出来上がった時には調理場はきれいになっている。そんな内容でエッセイを書かれていて、菊地正夫さんとアルプ・スナフキンさんのコメントでハタと思い出したのです。

ちなみにこの菊地さんのエッセイはその妙味もさることながらお二人のコメントでのやり取りが面白いのです。
漫才のようなやり取りを楽しみにしているのは私ばかりではないと思います。

スナフキンさんのコメント、学生時代の思い出で、違う地方出身の学生同士がご飯が炊きあがった直後の蒸らし方でつかみ合いの喧嘩になったというくだりで思い出していたのです。

子どもの頃、私たち兄弟の前で夫婦喧嘩など一度も見せたことの無かった両親が朝から大喧嘩をしたのです。
私は低学年の小学生、だからなおさら憶えているんだと思います。

何が原因かと言えば、朝食の炊き立ての白飯に海苔をどうやって共に食べるかの言い争いでした。
私が子どもの頃住んだ愛知県豊川市、豊橋市の東三河地方は三河湾に面し海苔の養殖をしています。
わが家では蒲郡、前芝あたりの海苔養殖業者から直接板海苔を買っていました。
食べやすいサイズに母が切った海苔がいつも茶筒に入っていました。

母が兄の食べる分を手伝って一口大に箸で巻きながら茶わんに積んでいくのですが、醤油を海苔の表側につけるか内側につけるかが喧嘩の原因だったのです。
ちなみに私は内側につけて時計を見ながら一人モグモグと食べていました。
母は醤油外派でした。
兄が食べるスピードよりも速く、巻いた海苔ご飯を茶碗に積むのですから、お互いの海苔ご飯がくっつかないようにと考えれば正解かもなとも思います。
横目でそんなことを考えていつも見ていました。
そこへ醤油内派の父が醤油は内にした方が美味いだろうと言い出したのです。

朝から父より忙しい母はカチンと来たのでしょうね。
それとも積もりに積もったものがあったのか。
父に口答えなどすることの無かった母が、だったらあなたがやったらいいと言い、そのあとは収拾がつかぬほど大荒れに荒れました。
一家離散の時を迎えるのかと、朝から兄と私はいい迷惑でした。

私は味付け海苔をその数年後、小学校の修学旅行で伊勢の旅館で生まれて初めて食べました。
美味しいとは感じませんでした。
味付け海苔は私のイメージする板海苔ではありませんでした。
でもこの味付け海苔ならばあの時の騒動は起きなかっただろうかと旅館の朝飯を食べながら考えました。

どちらでもいいような話ですが長年の食習慣の違いがぶつかり合ったんですね。
それまでそんな機会が無かったのか、お互い気になりながらも黙り続けて来たのか私には分からないことでした。

しかしまぁ、たいがい喧嘩の原因てのはこんな些細なことですね。
『夫婦喧嘩は犬も食わない』なんてことわざを知った時には妙に納得したのを憶えています。

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