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念願のSlack導入完了報告

このnoteでは、300名規模の、主に供養系WEBサービスを運営する企業で、全社チャットツールとして8年ほど以上利用したChatWorkを、Slackにリプレイスした際の様子を掲載しています。Slackを導入したいけど、リプレイス工数が懸念で踏みとどまっている方などの判断材料になりましたら幸いです。

導入背景

私は2021年2月より現在の企業に勤めているのですが、元々、供養系の書籍の出版社だったこともあり、社内SaaSは、多少レガシーな部分がありました。
さらなるモダンなIT企業を目指すためには、主要なIT企業で浸透しているSlackの利用が不可欠(LINE社でさえも自社サービスではなくSlackをメイン利用しているそうです)と感じておりましたが、当時ChatWorkは月額300円ほどと、とても安価で、Slackはログを担保する場合1600円と5倍以上の価格差がありました。

前任のコーポレートIT担当の方も、Slack導入を提案していただいていたのですが、当時は、コロナの影響を受けIT投資フェーズではなくなってしまっていた点と、当時エンジニアの社員は、5名ほどでとても少なく、会社のカルチャーは、営業担当とコールセンタースタッフが会社を運営している部分が大きく、Slackを使ったことがない方が多かったので、特にメインのビジネス側の社員からは求められていない、という状況がありました。

上記の雰囲気を感じ取り、私も、諦めて試合終了していたのですが、2023年8月に、エンジニア部門の部長職の方が退職し、後任の方が、どしどしIT投資する風潮を作っていただいたので、「いまだ!」と、自分を奮い立たせ、チャットツールのリプレイス施策の遂行を始めました。

2023年9月10月に、開発部門のエンジニアの方20名ほどで、PoCを行い、導入に向けての合意をとり、全社導入の稟議承認を得て、2023年2月より利用開始していきました。当時展開した資料が以下の内容です。

背景・メリット・デメリット・コスト


導入までのスケジュール

・2022年9月-1月
一部部署でのPoC、ルール決め、課題解決、稟議。

・2023年2月 - 4月
全社導入開始、利用方法に関する啓蒙活動、外部の方の招待など。

・2023年5月1日
ChatWorkの停止。

・2023年5月30日
イレギュラー対応を経てChatWorkの解約完了。


対応内容詳細

①契約まわり

Slackのプランは、3種類(プロ、ビジネスプラス、Enterprise Grid)あり、Enterprise Gridというとても裕福な企業が契約できるプラン以外は、Slack直契約しかないそうで、Slackに通常フォームから問い合わせしたところ、営業担当者の方がついてくれて、導入に向けて相談していきました。

弊社のような300名規模で、ビジネスプラスプランの場合、特にボリュームディスカウントはないそうなのですが、何か質問事項があれば、Slackで連絡が出来るのでとても楽で、信頼関係が築けました。初回入金が海外送金となったため、経理担当者と多少調整が必要となりましたが、無事年間契約にたどり着きました。(次回の更新からは、SalesForce Japanへ円入金でよいそうです)

②管理コンソールの設定

・Azure ADをIdPとしているのでSSO設定
・添付のドキュメントをインターネット公開出来てしまう設定があるのでOFF
・ユーザー追加時にデフォルトで参加するチャンネルの設定

②初回ログインマニュアルの作成

Slackを利用していない方も多いので、初めての方でもPCとスマホで利用できるよう、Azureでログインするためのマニュアルを作成しました。

③運用ルールの作成

・1投稿1スレッドでチャットを運用することを強く周知。
・基本パブリックチャンネルの啓蒙
・業務に関するチャンネルでは、メンションなしの、独り言のような投稿は禁止。
・チャンネル命名ルールを策定
・外部ユーザー招待の方法(シングルチャンネルゲストorマルチチャンネルゲストorSlackコネクト)
・リアクションアイコンの肖像権
・メンションのあとに「さん」は不要などのコミュコスト削減

苦労した点 / 配慮不足だった点

①ChatWorkに存在するタスク機能の消滅

当初、タスク機能はなくなるものの、Slackで各自ブックマークいただいたり、backlog起票いただけば、代わりになるのではないか、と思って周知していたのですが、こちらがなかなか受け入れていただけませんでした。

弊社の特徴として、霊園や葬儀場に関する問い合わせを受け付けする、コールセンターを運営している、という部分があります。
コールセンタースタッフから営業担当者へ1日10件以上、「こういった対応を今日中にお願いします」であったり、コールセンタースタッフから別のスタッフへの対応依頼があり、この対応がCRM経由ではなく、ChatWorkのタスク機能で実施されていました。

結果、backlogに慣れていただいたり、Slackのワークフロービルダーを駆使してスプレッドシートに起票する、などの対応をとっていただき、運用いただいておりますが、このタスク、については利便性が落ちてしまったかもしれません。

※自分自身がChatWorkで、人からタスク化されることに違和感を感じて好きでなかったのですが、一部部署では重要な機能であり、元々のヒアリング不足感があり反省点となりました。

②ChatWorkのログ

ChatWorkには管理者が、全グループチャットやDMをcsvエクスポートする機能があります。このcsvをある程度編集して、Slackの対象チャンネルにインポートすることができるのですが、一部エラーが発生すると、csvの何行目でエラーが発生しているのかわからず、かつ、DMも含めると1000以上あるグループチャットをすべて対応するのはとても無理、という結論となりました。

従業員の方への周知は、確実に過去ログ検索をすることになると思われる、グループチャットやDMを教えていただけたら、ChatWorkの過去ログcsvデータをグーグルドライブへ格納してグループメンバーの方へ共有設定いたします、とご案内して、適宜対応してまりました。(一番工数がかかった部分となりました)

③社外のパートナー様の招待

多くの社外の方が、チャットでのやりとりを、Slackにしたい、という内容に承諾いただけたのですが、「自社のメインチャットがChatWorkなので、ChatWorkを継続したい」という主要な取引先が5社ほど発生しました。

この主張な取引先と連絡をとる方のChatWorkを残してしまうと、ほかの方も残したい、という要望が増えてしまう、と感じた点と、完全移行にならないため、上記の方は、フリーのChatWorkアカウントを作成、再招待し、コーポレートITの管理者アカウントは対象のグループチャットに入り続けることで、運用を担保いたしました。

④子会社へのSlack導入

親会社の稟議承認は得ていたものの、子会社(50名規模と20名規模)2社については具体的に確定させずに、まず親会社で使ってもらってから、どのようにするか検討いただこうと思いスタートしました。
(2社ともメインチャットは、ChatWorkで独自でChatWorkを契約しております)
結果、50名規模の子会社はSlackに前向きに検討いただけることとなり、Slackを契約しました。しかし、主にはタスク機能の兼ね合いで、ChatWorkの利用をやめることが出来ず、併用となりました。
20名規模の会社は、チャットツールにあまり費用をかけたくない、という点で、必要な方だけ、親会社のワークスペースへマルチチャンネルゲストで招待しています。

⑤誰もがSlackを歓迎してくれるわけではない点

Slackは使いずらい、という声を何度も聞きました。ChatWorkは、「らくらくスマホ」のような雰囲気で、お年寄りでも使えるような最低限の機能を見やすく配置されているのだ、ということを実感しました。
ただ、いつまでもリテラシーが低い状態でとどまっていると、都内のIT企業というサバンナでサバイブできないと思いますので、これからも経営者が目指す世界に向けて、役立てるように啓蒙に取り組んでいきたいと思います。

(啓蒙について、SlackやWEB会議で周知してもこれ以上の浸透が見込めないので、地道にひとりひとり口頭で、使いずらい点や、こういった活動をしてほしい、などお話していければと思います。)

総評

予定した通り3か月の併用期間を経て、ChatWorkは解約できました。

エンジニアの方や、WEBディレクターの方など、ご自身でどんどんSlackの機能を使いこなしていただける方には、一定満足いただけたのではないか、と感じます。

Slackに変更したことで、弊社のチャットツールに関する費用は、年間270万ほどUPとなりましたので、この費用対効果が確実にあった、と社内のみなさまに感じていただけるよう、引き続きトライ&エラーいたします。


お読みいただいた方がいらっしゃいましたら、ありがとうございました!

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