コンペで勝ち抜くプレゼンテクニック 受注率を上げる7つの要素
Web業界で新規案件の受注といえばコンペです。
エムハンドでは「万年2位で落選」という時代を長く経験しました。複数の制作会社の中から最後の2社までは残るのですが、あと一歩及ばない。そんな一番しんどい失注です。そこから工夫を重ねて、受注率改善につなげてきました。今回はエムハンドでコンペの際に意識している7項目をご紹介したいと思います。
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1.プレゼンの順番が重要
エムハンドの参加するコンペは5社程度の競合で争うことが多いです。1社目と5社目では、クライアントからの質問の内容が違うため、弊社ではなるべく最後の方にプレゼンできるようにお願いしています。
クライアントは、1社目から順番にプレゼンを聞くにつれ、「●●が重要」「△△をするといい」と自社でケアしなければいけない情報を仕入れていきます。5社目ともなると自社に必要な情報が整理されるので、「御社は●●についてはどうですか?」「△△は実装できますか?」などと、具体的な質問を投げかけられるようになります。そこで「できます」と言えば、少なからず、他社が提案した●●と△△に加えて、プラスαの提案を重ねることが可能です。実現不可能なこと(実現が難しいこと)に対しては、代替案を提案することもできます。
必然的に後の会社の方が印象はよくなるため、コンペの順番はなるべく最後を選びます。
2.コンセプトが重要
ここでいうコンセプトとは、「そのサイトの目指す姿」のことを指します。弊社では、コンセプトを一言で表現することを重視しています。
コンペでは、クライアントからいろんな要件が提示されます。提案書には、それをどのように構築するかをまとめますが、自社のPRや見積もり、サポート体制なども盛り込むためボリューム大です。時には40~50ページにもなります。プレゼンする側は1ページ1ページにしっかり情報を入れているのですべてが必要不可欠なページですが、選定する側に全ページを読み込んで理解してもらうのは現実的ではありません。テレビでも冷蔵庫でもいいのですが、説明書を全部読んで購入することはないのと一緒です。
ですので、膨大な提案書の中身を読まなくても、サイト完成後の世界観をコンセプトで表現して、クライアントに「欲しい」と思ってもらうことが非常に重要です。
3.ヒアリングが重要
提案書の作成には時間がかかります。この作成時間を減らして尚且つ、必要事項を過不足なく盛り込むためには、提案書への落とし込みを考えながらヒアリングすることが大事です。
ヒアリング時には、クライアントから情報を入手するためにいろんな角度から質問しますが、情報を聞き出しすぎると提案書への落とし込み作業が大変になります。コンペはどこの制作会社に頼むかを判断される場なので、端的に言うと、選ばれるために必要な情報だけを聞いて提案書に落とし込めばいいのです。
自分の持っているプレゼン資料のテンプレートにどのように落とし込むかを意識して、ヒアリングに臨むことが重要です。
4.プレゼンまでのコミュニケーション量
基本的に、ヒアリングの場で質問した内容だけで提案書を作成しがちですが、作成を進めていくなかで「あ、これ聞けてない」「これはどうなんだろう」と疑問がわいてきます。それをそのままスルーせずに、メールでもお電話でもいいのでクライアントに直接聞いて、提案書のピントを合わせた方がいいですね。五月雨に1つずつ質問したら、担当者によっては「1回にしてよ」となることも考えられますが、「●●の部分を進めてて、もう少し理解を深めたいので・・・」というような深い質問なら、相手にも好印象なはずです。
コミュニケーション能力は必要になりますが、プレゼンまでの人間関係構築で距離感を縮めることも重要です。これはエムハンドのディレクターSの仕事のやり方を見てて気づきました。
5.見積もりは2パターン
見積りは1つでも3つでもなく2つです。
要件が決まってるコンペなどは1パターンでいきがちで、プレゼンする側は「見積もりは相談してもらえれば、もう少しボリューム抑えて提案できますので」、なんて口頭で伝えることもあります。しかし、プレゼンに参加しない人が選定決定者の場合もありますし、1週間後、クライアントが選考する時にこちらが口頭で伝えたことを覚えていないかもしれません。
また、「先方の予算は300万で、こちらが提示したのは280万だから大丈夫」「この提案内容がベスト」、だと思ってるのはあくまでもプレゼンする側の目線です。例えば、500万以内の高級車を買いたいという人に、500万の車だけを提案するのか、400万の車と100万の高級時計を提案するのか。意外と後者の提案がよかったりします。
ですので、予算ギリギリの見積りと、予算をあえて抑えた見積りを用意して可能性を広げておけば、選ばれる確率が上がると思います。ただし、見積りを3つ以上用意するとクライアントが選びにくくなるので、やはり2つがベターです。
6.人数は多い方がいい
「そんなことで受注率上がる?」って思われるかもしれませんが、大きな会社ほど必要です。ご経験がある方もいると思いますが、プレゼンの場でクライアント側の席にずらりと8名ぐらいが並ばれてることもよくあります。昔はそんな時も、弊社側はディレクター1人で参加していました。
ある時から、担当ディレクター、担当上長、マーケティング担当者と複数人で参加するようにしたところ、受注率が上がりました。これは提案書の中身とは関係なく、印象の問題です。やってみてすぐに結果出たので、大事だということに気づきました。最近ではオンラインでのプレゼンもあるので、なるべくたくさんのスタッフで参加しています。
7.選定方法で攻め方を変える
選定方法は大きくは2つあるかと思ってます。1つは社長さんなどの決定権者1名が最終判断される場合。もう1つは何名かの採点式で決める場合です。
まず、1名が決める場合は、比較的、提案内容を尖らせます。「その方の好みに合わせる」という表現は少し語弊があるかもしれませんが、その方に魅力的だと思ってもらえるように意識します。多くは盛り込みません。1点突破のイメージです。
一方の複数人による採点式の場合は、総合点が上がるように、幅広い提案内容をもれなく盛り込みます。人によって重視されるポイントが異なるので、デザインや、マーケティング、アフターサポート等々、なるべく多くの内容を入れるのがポイントです。
攻め方を変える理由は、選考する側の心理的な部分に関係しています。1名で決める場合は決めた理由が重要で、合議制の場合は抜けや漏れを多面的に判断しようとする心理が働くので、それぞれで攻め方が違ってくるのです。
8.まとめ
今回ご紹介した7項目は、提案書の質を直接的に向上させるアプローチではない部分もありますが、すぐに実践できることもあります。
弊社では、「提案書は質で勝負だ」と長らくそこだけを意識してきましたが、万年2位の悔しい経験から培った7項目をおこなうことで、飛躍的に受注率が上がりました。みなさんもぜひお試しください。
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