始まりと終着点 —京極夏彦(2023)『文庫版 姑獲鳥の夏』—
京極夏彦は私の人生を変えた存在と言っても過言ではない。
高校に上がるとき、渋々文系を選んだ私にとって行きたい学部などなく消極的に文学部としていただけであった。そもそも、無駄だとは絶対に言わないが、昔からより実学を好んでいたため、あまり文学なんてものに触れることはなかった。
私を小説の道に引きづり込んだのは、間違いなく友人Oであろう。彼は中学に入りたての私にライトノベルを勧めてきた。タイトルは『金色の文字使い ―勇者四人に巻き込まれたユニークチート―』であった。3年ほどライト