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断章 灰色の浜辺にて
ざざん、と波の音で、僕は目覚めた。
「名前は*******、歳は**歳。次元断層の衝突で消失。か」
え? という余裕もなく、私は顔を上げて、遅れて自分がベンチのようなものに座っていることに気付いた。眼の前には、駅員のような、軍服のような……詳しくないが……カチっとした身なりの少女が。
「起きましたか、おはようございます。おはようしか私は言わないのだけれど」
周りを見回す。不思議なことに、海の家のような場所に私はいた。外は灰色の空だが、不思議に暗さは感じない。直前の記憶を思い出すと、モヤがかかったように思い出せない。思い出せるのは俺が先程言われたとおり、*******と言う名であることと、確かに**歳だったということ。
「ここはどこですか、あなたは、自分はなぜここに」
「うむ、大分記憶がはっきりしないようですね……もしや消失時就寝中でしたか?」
そんな気もする。
「此処は六次元の狭間の世界。あちらに見えるは灰色の海……。
理解はせずとも結構。きっとここの記憶はまた消えます」
彼女は、ビーサンのへりでふくらはぎを掻きながら、そう言った。
「あなたは……どんな世界に生まれ変わりたい?」
【あらゆる世界へと、続く】
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