商人と海。あと亀とエルフとレールガン #1
「小僧ォ!! 左来たぞ!!」
「わかってるわよ! あと小僧じゃなくてメアリー!」
「うっせえ早く撃て!!」
「マイクでうっさい! 速く走らせなさいよ!」
キュウウーン……
「いいのよジェイク。あなたは悪くないわ」
「右ィ!!!」
「うるさーーーーい!」
ディアボレアス街道ど真ん中。俺と小僧と新入り兼新車のジェイクは、流行りのロケットシーフとコロシアイと洒落こんでいた。
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2日前。
「こちらが機体になります。FCS……火器管制システムの定着が上手くいってないだけなんで、輸送用にはもちろん使えますし、外付けならちゃんと載ります。戦闘行動に怯えないようにはなってますから」
「どうも」
俺は認証キーを受け取って、目の前の亀型精霊騎、キャノンタートル……ただしキャノン抜き……の選外個体を眺める。
皇国と連合の戦争が終結し数年。
民間に払い下げられる機体は当然、後方任務についていた機体群であったが、ついにこのクラスの精霊騎までがその対象になるというのは、先日耳にした軍縮の計画も真実らしい。
俺は軍人でもなければ、傭兵でもない。ただの商人だ。少々運が良い、と注釈が付くが。
さて、小僧にはガンナーの役目も覚えてもらわなければいかんな。
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