おねショタ108式の51『冷たい唇』
遠い未来、地球とよく似た星でのはなし。
主人公は上流家庭の子である少年。
彼はものごころついたときから密かに恋をしていた。
その対象は、ホットサーキット型電脳搭載・家庭内労務従事アンドロイド・女性タイプ。
パーソナルネームを「リリィ」という彼女は祖父の代から彼の家に仕えてきた家族同様の存在であるが……非生物である彼女に人権はない。
また、彼女のような存在に愛を注ぐ人間は、社会から消極的な排斥の対象にすらなっていた。
そんなコトをぼんやりと理解しはじめた少年は悲しむが、更なる悲劇が襲いかかる。
遂に耐用年数が到来し、彼女が廃棄されることに決まったのだという。
彼は意を決して彼女に思いを伝えるが、彼女は自分に真の感情はないこと、だから気持ちに答えられないことを少年に優しく諭す。
だが彼女は、処理しきれない「なにか」が自身の中に芽生えていることに気づいていた……。
そしてしばらく経って、彼女が遠くへ行ってしまう前日。
少年は改めて気持ちを伝え、そして、彼女のことを絶対に忘れないことを誓う。
そして二人は、密やかにくちづけを交わした。
彼女の唇は、冷たかった。だが少年はそれを、とてもとても暖かく感じだのだった。
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