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おねショタ108式の17『師範と最弱少年』

街の片隅にある道場でのはなし。

道場で武術を教える師範代は、まだ若い女性である。
特にメジャーでもない古武道一派であるために、門下生は限りなく少ない。

とある夏のこと、師範代の提案で泊まりこみ合宿が企画される。
数少ないないながらも生徒は皆彼女を慕っているので、合宿は全員参加……の、はずだったのだが、突然のアクシデントで来れなくなってしまう者や、昼の通常の稽古だけ受ける者が続発。
一方で師範代の父、師範も武術の集まりに出かけてしまい、最終的に泊まりこむのは一番弱っちい少年一人だけになってしまった。

少年の両親はそんなことが起こってるとはつゆ知らず、二人で小旅行に出てしまったため、少年を家に帰すわけにもいかない。

かくして夕飯を食べ終わったら帰ることになっていた最後の一人を送り出した後、二人で居るには広い道場に師範と少年だけが残っていた。
いつも厳しい師範と二人きりとなってちょっと緊張気味だった少年は、いつもとは百八十度違うゆるゆるの彼女の姿に心とかされてゆく。

そして、彼女の提案で道場の真ん中に布団を二枚敷いたあと、彼女はポンと布団を叩いて言う。

「おいで」

柔和なその表情にドキドキする顔の赤さも、薄暗さの中では見えない。
魅入られたように近づいてゆく彼を「ほら、早くこいよ」といつもの伝法な様子で彼女は一気に引き寄せ、そのまま少年は思い切り彼女の胸に飛び込んでしまう。
柔らかさに夢見心地の一瞬の後、少年は慌てて飛び退くが、それに答えて彼女は「にひひひ」と笑いかけ……可愛さ余って厳しさ100倍でいつも接してしまう少年に”寝技”を教えるのだった。

曰く、お前はまず自信を持たなければならないのだと言い含めて。

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