ケムリクサ平和時空【きかん】
エピソード【きかん】
りょう「たっだいまぁ~。肉持ってきたぞ肉」
ここはイロドリ市、ケムリクサ町の一角。
そこには、日々を慎ましくものんびり暮らす仲良し姉妹がいた。
りん「りょう……それはちゃんと売り物の? この前みたいに山でクマ獲ってきちゃだめだよ……?」
一抱えほども有る肉の塊を傍らに置き、靴を脱ぐりょうに向かって、りんがオロオロと問いかける。
りょう「もっちろん。今日はジムの給料日だったんだよ! 三ヶ月くらい貰い忘れてたからたくさんもらえてさあ。思わず肉買っちゃった」
りょく「それは生活費に入れてよ……?」
え? りょうがひと月ぶりに?
きょうはごちそうにゃ!
なっ! なっ!
奥から、賑やかな姉妹たちの声がする。
りょく「それはともかく、りんねえ、まずはおかえり。じゃない」
二階の自室からも、末妹・りょくがスマホ片手に降りてくる。
ああ……そうか。とすこし恥ずかしがるりつは、微笑みながら言った。
「おかえり、ねえさん」
【続く】
資料費(書籍購入、映像鑑賞、旅費)に使います。