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【インド行5】アジャンタ石窟

1月26日、デリー空港近くのホテルを午前3時に起きて、早朝便でアウランガーバード空港に飛んだ。アウランガーバードを拠点に2日間で、アジャンタとエローラの石窟を周る事にした。Miからの提案で決めた。アジャンタやエローラの石窟といえば、遠い昔、世界史の教科書で知った記憶が微かに残っていたが、その歴史的な意味などは完全に忘れていた。

デリーから約2時間強のフライトでアウランガーバード空港に着く。空港近くのホテルまで車で移動した。その際のクルマと運転手が良かったので、価格交渉をして、急遽アジャンタ石窟までを予約した。ホテルに荷物を預けてすぐに、アジャンタ石窟に向かった。乾燥気味のデカン高原の村々を、舗装不十分な道でしばしばガタゴトと揺られながら車は進んだ。最後はやや急な丘のような山のようなところを上り、約3時間弱のドライブで石窟の入口まで着いた。事前にYouTubeで、石窟までの移動と現地巡りのビデオを見ていたので雰囲気は凡そつかめていたが、実際に直接、その空気の中で触れて眺めると、すべてが消し飛び、新鮮な体験となる。

全てが岩を掘って作り上げた事に驚く。設置したり、組み上げたのではなく、固い岩盤を掘り続けて作った奇跡のような造形物。

釈迦は紀元前7-5世紀頃にインド北部に現れ、悟りを開き、教えを広めた。それは現在、仏教と呼ばれている。アジャンタ石窟の前期窟は紀元前2-1世紀頃なので、釈迦没後数百年を経つつ、教えはインド全体に広まっていたのだ。そして、その教えは2500年近く経た今でも尊い教えとして、世界中のヒトの心の中で生きている。

第1窟(後期窟)の仏像
第1窟
第1窟の中の色が残る壁画

「アジャンタ石窟とエローラ石窟の歴史的意義」

インドのマハーラーシュトラ州に位置するアジャンタ石窟とエローラ石窟は、インドの宗教・文化・芸術の発展を象徴する世界的に貴重な遺跡である。これらの石窟は、インド古代文明の宗教的寛容性や芸術の進化を示す重要な史跡であり、1983年に世界遺産に登録された。

アジャンタ石窟
アジャンタ石窟は、紀元前2世紀から6世紀にかけて造営された仏教遺跡であり、インド仏教美術の最高峰とされる。石窟群は主に二つの時期に分けられ、初期(前2世紀~前1世紀)は上座部仏教(小乗仏教)に基づく簡素な僧院としての性格を持ち、後期(5~6世紀)には大乗仏教の影響を受け、壮麗な壁画や装飾が加えられた。
特に、後期の石窟の精巧な技法と色彩の豊かさは、インド絵画の源流ともいえる。これらの壁画は、後のインド美術や東南アジア、日本、中国の仏教美術にも影響を与えた。また、仏像や彫刻も高度な技術で作られ、当時の信仰と仏教文化の発展を如実に示している。
アジャンタ石窟の意義は、インドにおける仏教美術の変遷を示すとともに、その後のインド美術やアジア全体の仏教文化に多大な影響を与えた点にある。仏教が隆盛を極めた時代の証として、今日もなお世界中の研究者や観光客を魅了し続けている。(以下は次回)

「アジャンタ石窟とエローラ石窟の歴史的意義(前)」筆者編

アジャンタ石窟の壁画や紋様を見ていると、日本の仏教絵画や、先月訪ねたアンコール遺跡の浮彫の図柄にもつながることを感じる。人々が功徳を積んでいると感じながら固い岩盤を掘り、描いたインドを源流とした敬虔な宗教心が、絵画や紋様と共に世界に広がっていった。

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