風城海流

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台湾の小説家龍瑛宗(1911-1999)

台湾で暮らす前、台湾の日本統治時代(1895-1945)の事をそれほど詳しく知っている訳ではなく、また、その日本語教育の時代に、台湾人の作家が日本語で小説や詩歌を書いていた事も殆ど知らなかった。 当時を描いた映画「セデック・バレ*1」や「KANO 1931海の向こうの甲子園*2」を観て、その時代の前後を描いた台湾のテレビドラマ「斯卡羅SEQALU*3」やその原本の訳本、「茶金*4」を観て、現在につながる、台湾の近代史や当時の世相をより知りたいと思い、台湾人作家の本も読み始め

    • 台湾新竹高中の辛志平校長先生(1912-1985)

      「覚えている学校の先生は誰?」と聞くと、ふと心が今を離れ、過去に飛んでいき、心に浮かんでくる先生がいるのではないでしょうか。好きだった先生、嫌いだった先生、優しかった先生、怖かった先生、その浮かぶ光景は、とても鮮明な時もあれば、淡くかすんでいる時もあるかもしれません。ただ、今に戻った時、傍にいる、心の支えだと感じるような先生・師に出会えた人は幸せだと思います。 辛志平校長先生は、多くの新竹高中(新竹高校)の生徒にとり、そうした先生だったのでしょう。その直接の子弟も、既に80

      • 台湾の舞踏家 蔡瑞月(1921-2005)と詩人 雷石榆(1911-1996) (台北)

        台風13号が九州と台湾の間の東シナ海を通過しつつある日は、台北でも晴れたり、時折り小雨が降ったりという日でした。その日、台北市社區大学(社会人大学)の李麗華先生の「悠遊台北」という、市内の建物や廟を訪ねながら、その由来や歴史を学ぶ企画に参加しました。 MRT中山駅と雙連駅の間の台北メトロ本社のすぐ裏手にある「古蹟—蔡瑞月舞蹈研究社」を訪ねたのは、小雨が少し降りだした午後でした。蔡瑞月舞蹈研究社は、整備された芝生の庭と大木の下に建つ木造1階建ての和風建屋です。中では小さな子供

        • 台湾の技術戦略

          昨日、頼清徳氏が台湾の新総統に就任しました。その就任演説の中で、”我々は半導体チップのシリコンアイランドという基盤の上に立ち、台湾を「人工知能の島」として推進し、AIの産業化を促進し、AIの革新的な応用を加速し、AIの産業化を可能にして、AIの演算力を利用して国力、軍事力、人間力、経済力を強化するために全力を尽くします”という一節*1がありました。 台湾は、最先端の半導体製造を産業ドライバーとして国力強化を掲げました。AI半導体をリードするNVIDIA、AMDのTOPも、半

        台湾の小説家龍瑛宗(1911-1999)