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【インド行3】朝日に映えるタージ・マハル
41年前には行けなかった、美しいだろうと想像するタージ・マハルは、今回の旅行では必ず見に行こうと思っていた。が、そもそもインドのどこにあるかもよく分かっていなかった。幸い、デリーからクルマでも3時間で行ける距離だった。訪ねる前に、タージ・マハルに関する小説はないかと探し、清水義範の「永遠のタージ」を読んだ。
なぜ多くの人が、宗教寺院でもない、墓所にすぎないタージ・マハルに魅了されるのか?インドの悠久の大地に樹立された栄光のムガル帝国の総力、人材と財宝と技術をつぎ込んで建立したこの世のものと思えないほどの造形美が、その動機になったと云われる皇帝と王妃の深い愛の人間的な物語が、その皇帝が最期の日々を息子の皇帝によりアグラ城に幽閉され、タージ・マハルを毎日眺めていたという物語が、人々を惹きつけるのか?
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日の出前の薄暗い時にホテルを出た。公園の前で車を降り、タージへの道を徒歩で歩く。薄明りの中、すでに他の観光客も歩いていた。時折、観光客を乗せたリキシャが追い抜いていく。eチケットを事前に購入していた。セキュリティチェックは男女別に並ぶ。
入口を抜けると白亜のタージ・マハルが現れた。
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息を呑む、というのはこういう時を言うのだろう。
荘厳な白亜の王妃廟は巨大なドーム構造の屋根を持ち、4つのミナレット(尖塔)に囲まれている。完全な対称性(シンメトリー)を持つ。
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タージ・マハルは、ムガル帝国の5代皇帝シャー・ジャハーン(治世1628-1658)によって建設された。皇妃ムムターズ・マハルは14人の子女をもうけた。皇帝のデカン遠征中にも供をし、遠征先で第14子を生んだあと38歳で産褥死した(1631年)。シャー・ジャハーンは、その死を大いに悲しみ、亡くなった皇妃の為に、延べ20年以上の歳月をかけ、ムガル帝国の財宝と人材を投入してこの墓廟を建設し、来世を弔ったといわれる。
14人の子女のうち、4人の男子が成年まで育った。しかし、この4人は帝位を争い殺し合い、最後に残ったアウラングゼーブが第6代皇帝になる。彼は、父親シャージャハーンをアグラ城に幽閉した。シャー・ジャハーンは、晩年、アグラ城からタージ・マハルを毎日見て、愛妃ムムターズ・マハルを思い出しながら過ごしたと言われる。愛する妃との間に生まれた自分の子供たち同士の殺し合いをいかに悲しんだことだろうか。しかし、彼自身も兄弟を殺して皇帝になっていた。因果応報。
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タージ・マハルの墓廟の中は撮影禁止だが、皇妃ムムターズ・マハルとシャー・ジャハーンの墓石のレプリカが置かれている。イスラムらしくそこは質素である。墓石の周りを廻り、手を合わせてから外にでた。
見上げると、ハゲタカが悠々と、大きな翼をひろげ、朝日に映るタージマハルの屋根の周りを飛んでいた。
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タージ・マハルの裏手にはガンジス河の最大の支流ヤムナー川が流れている。王族は、アグラ城から船に乗り、この岸で降りて、タージ・マハルにお参りしたという。目を瞑ると、その時の情景が浮かんできたように思えた。
朝日が昇ってきた。敷地から出る前に改めて振り返り、朝日に輝くタージマハルを見た。
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