プリズムの煌めきに触れた日
2024年9月6日 午前8時半。
私は映画館に向かう車中で、
前日に届いたAmazonの小包、その包装を、
もどかしげに破っていた。
信号待ちの束の間、姿を現す鮮やかなオレンジ色。
閉じている時でさえボリューム満点のふわふわの羽、
そう、ジュリアナ扇子──通称ジュリ扇である。
平成生まれの私がこんなバブリーなものと
縁を結ぶことになるとは思ってもみなかった。
朝の光をこれでもかと受けて、
オレンジのジュリ扇が車内で圧倒的な存在感を放つ。
勝った……自然と口元に笑みがよぎった。