あの日の、ファンファーレ。
2023年11月22日。
なぜか私が緊張しながら向かった、横浜。
前日の夜、レコード大賞発表の瞬間を共有するためにインスタライブをしてくれたミセス。
私は明日この人たちに会えるのかと、不思議な感覚に陥る。
スマホの画面に向かって、「会いに行くからね」と呟く。
更に遡ってその数日前。
当初行く予定ではなかったPre-Showのチケットが、まだ残っていることに気づく。
会える時間が増えるなら、買うしかない。
急遽決まった、ぴあアリーナ。
ブルーカーペットを歩くミセスが生で見られる、想像するだけで会場へ向かう足が早まる。
座席は自由席。着くのが早ければ早いほど、良い席に座ることができる。
1人で数時間並んだけれど、これから貴方たちに会えると分かっているだけで、こんなにも気持ちが軽く、明るい。
開場。人の波。呑まれながらも、スタンド最前列を確保。
開演。
色々なアーティストのファンの方がいる空間。
アーティストが登場する度に目を輝かせている周りの方を見ながら、音楽の素晴らしさを再確認。
「続いては、Mrs. GREEN APPLEの皆さんです!」
涙が溢れそうになる。ステージに目を凝らす。
下手から登場したミセスの姿を見て息を呑む。
何その衣装。
煌びやかな白、大人さを纏う黒。
国王と側近のようだ、と真っ先に思い、自分の目で見ているこれは現実かと、思わず疑う。
笑顔で司会のインタビューに答えるミセスは、
あまりにも眩しい。
ブルーカーペットを歩き、近づいてくる。
その間に聞こえる、ミセスを呼ぶ声。
1秒たりとも見逃すまいと、見つめる。
報道陣に呼び止められる度に、深く頭を下げ、頷きながらインタビューに答える姿は、大好きなミセスだった。
姿が見えなくなるその瞬間まで、おめでとう、大好きだよ、と想いを届ける。
長い時間でなくても、間違いなく幸せな時間だった。
そのふわふわした気持ちのまま、ぴあアリーナからKアリーナへ移動。
席は近くなくても、それでも良かった。
このおめでたい時間に立ち会える、それだけで
良かった。
順番にアーティストの名前が呼ばれ、トロフィーを受け取り、歌い、踊る。
全身で音楽を浴びながらも、ずっと緊張が解けない。
どれくらい時間が経っただろうか。
待ち侘びたその名前が呼ばれる。
歓声。手を振る。
Pre-Showとは違う、黒を身に纏ったミセスも、
眩しい。
重そうな、キラキラしたトロフィーを受け取り、
笑顔の3人。
良かったね、本当におめでとう。ありがとう。
全ての賞の発表が終わり、残すはその場で発表される、「Video of the year」の発表のみ。
心臓が痛い。鼓動が早い。
ドラムロールの音。
痛いぐらい、祈るように手を合わせる。
モニターに流れた、ケセラセラのMV。
思わず叫ぶ。手が震える。
ミセスが出てくる。溢れそうな涙を必死に堪える。
コメントを求められた大森さんは、「ちょっとまだ分からないですね」と。
実感がまだ湧かないような、ふわふわした、そんな表情をした3人。私も同じ気持ちだよ。
トロフィーを受け取った若井さんは、本当に素敵な、溢れんばかりの笑顔をしていて、会場から口々に祝福の声が上がる。
トリを飾るのは、Mrs. GREEN APPLE。
Magic。
歌が、音が踊っていた。
嬉しい、ありがとう、がそのまま曲になっているように弾んでいた。
好きなアーティストはバラバラのはずの会場が、ミセス色に染まる。
立ち上がる人がどんどん増えていく。
喉を潰す勢いで叫んだ「Hey!!」。
楽しかった。嬉しかった。
何より、ミセスの表情が本当に素敵だった。
ねえミセス、貴方たち、本当にすごいよ。
ケセラセラ。
このケセラセラは、私が今までに聴いたどのケセラセラとも、違っていた。
あの時、あの瞬間だからこその、ケセラセラだった。
ずっと忘れられないのが、大森さんの表情と歌い方。
噛み締めるような、泣きそうな、嬉しそうな、幸せそうな。終始様々な表情を浮かべながら歌ってくれた。
自分に言い聞かせているようでもありながら、真っ直ぐに「私」「貴方」に向けてのケセラセラ。
演奏をする2人も、嬉しそうで楽しそうで。
つられて笑顔になる。
全身を使って、歌詞一つ一つを大切に届けてくれるようだった。
気持ちが込もった暖かいプレゼント。
ありがとう。嬉しかった。
この目で見た、見届けた、ファンファーレ。
多幸感。祝福。感謝。
「おめでとう」「ありがとう」と、何度口にしたことか。
史上初の四冠。
本当にすごい。誇らしい。最高だよ、Mrs. GREEN APPLE。
ファンファーレ
喜劇的な「つづきから」。
宝物の1日をありがとう。