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白に誘われ、導かれた先。


待ち侘びた、今日この日。

胸が高鳴り、鼓動が早くなる。
深呼吸。

足を踏み入れた先は、別世界。
一言では形容し難い空間。
時の流れが違うように感じる。

幕開けのブザー。
さあ、誘われるままに、誘われよう。


#マスカレイド

仮面を被った人たち。その下は笑顔か、
はたまた別の感情か。
目を凝らすと、そこには2人がいた。
それぞれの楽器を持った2人が見えた。
久しぶり、また会えたね。

ドアを開けて、貴方が入ってきた。
ああ、会えた。会えたね。また。
全身に白を纏い、煌びやかな姿。
ハット、ヘッドマイク、スーツ。素敵だ。
その口から届けられる第一声を待つ。

The White Lounge。

思わず声を発してしまった。
何これ、聴いたことがない曲。
これは何、まるでミュージカル。

それを理解した瞬間、一瞬視界が歪んだ。
ああ、どうしよう。
私、もう大好きだ。

欲望を包み隠さずに言うならば、
ずっと観たかった。

ENSEMBLEを観た時からずっと、
その世界観を観てみたいと思っていた。

私が愛してやまない演劇やミュージカルと
貴方たちの音楽の化学反応。

あわよくば、お芝居も。

だから、今目の前の光景が現実だと認識できる
までに、暫し時間が必要だった。

ありがとう、ありがとう。

The White Lounge。
曲調が大好きだ。一聴き惚れをした。
華やかな白を纏ったようなこの曲は一方で、
切なかった。

「もうすぐ 我儘は終わる?」

華やかな曲調の中でポツリと、貴方はそう
溢した。

我儘が終わる、が意味するものは何かと
考えることからは、まだ逃げていたい。

唄い、踊る、マスカレイド。
もう虜だった。
また聴きたい。

「何処から来たの?」
「何処?何処だろう…」
「まあ、ゆっくりして行きなさい」
「…ありがとう。」

曲中の台詞。
此処はホワイトラウンジ。
貴方は何処から来たの?

#水と影

Folktale

冷蔵庫から飲み物を取り出し、始まる。

テーブルの端と端。
手元には本。
それは昔話?寓話?

机に伏せたり、手を使ったり、
ただただ、見入ってしまう。

大森さんとキャストさんのダンス。
曲のアレンジ。

ダンスではなく、物語だ。
ストーリーがある。人と人が、時間と時間が
繋がっている。

私は今日もまた、
我らは今日もまた、
歩いてゆく。

歩み、軌跡、想いの連鎖。

再び冷蔵庫に飲み物をしまう。
ひょっとしたら、想いと共に。

#手紙(過去との会話)

大森さんの台詞。手元にはタイプライター。
「お久しぶりです。お元気ですか?僕のこと、
覚えていますか?」
そんな呼びかけから始まる。

「…また君と踊れたらいいのに。」
そう呟く声色が切ない。

君を知らない

まさかこの曲が。この曲を、生で聴ける日が
来るとは。

表情が、切ない。苦しい。やるせない。
挙動一つ一つすら、儚い。

「写真の中で息をしてるあの頃の君に会いたい」
「そう信じなきゃやっていけないな」

そんな悲痛な顔を、しないで。

ダンスホール

机に1人。感じるのは孤独。

アカペラ。
“君が居るから愛を知ることがまた出来る”
“「大好き」を歌える”

そう悲しそうに唄う隣に「君」は居ない。

こんなに切ない歌詞、曲だった? 
ダンスホールの新たな表情を見た。
こんなに切ない曲にもなり得る。

曲調が変化、場面転換。
レストラン。テーブルの上に立ちダンスをする
大森さんに、「やめてくれ」と止めようとしたり
他の店員さんを呼んだりしようとする。
ただただ微笑ましい。

最終的に3人で踊ったダンス、微笑ましかったな。

“君の隣で愛を精一杯に探したい”
“君が笑える為のダンスホール”

ずっと横で笑っていてね。

#反射

ツキマシテハ

雷鳴。雨。
雨に濡れ、部屋に入ってくる。

感じるのは紛れもなく「怒り」。

いつもよりキーが低い「ツキマシテハ」。

それが更に、荒々しさや激しさ、感情の昂りを
感じさせる。

ただただ、痛い。苦しい。
あんな表情は見たことがない。

思い出すだけで、胸が痛い。

そんなツキマシテハ、だった。

家具を蹴り倒す。
キャストさんに力のままに向かっていく。
抗う。何度も何度も。
息が上がっても尚。

心の中を見たようだった。
こんな夜があるのだろうか。

古傷を裂いて血を流しているような、
身を擦り減らすような、
そして身体の根底から絞り出すような歌声。

ずっと頭から離れてくれない。
まだ、胸ぐらを掴まれている。
逃げない。

歌い終わり、机に寝そべり激しく咳をする姿。
ずっと痛い。

#愛という名の種

椅子に座り、ラジオをかける。
流れてくるのはThey are。

“独りで寂しい”と 君の前で思ってしまう。
物憂げな表情。誰を想うのか。

女性との会話。
どこか上の空のような、何かを言いたげな
話し方。

Coffee

2人の前に置かれたブラックコーヒー。

“苦味という 傷とまた違う心を養わなきゃね”

ブラックコーヒーの苦味と、何処となく感じた
気持ちや求めているものに対するすれ違いに
感じる苦味。

ただ、少しずつ焦らずに、歩んでいこうという
そんな気持ちも感じる。

コーヒーの湯気がなくなる頃、いつの間にか
眠ってしまった女性に、優しくブランケットを
かける。

きっと、何度も。

ニュー・マイ・ノーマル

底抜けに明るくも、メッセージ性があり
何度も救われている大好きな曲。

今回のニューマルは、何だか笑っているようだ。

ありがとうと伝えたい気持ちと、裏腹の
照れ臭さ。

2人で踊る姿からは、苦味を乗り越えた
未来を感じる。

間奏で電話の声。聞こえてくるのは、
人間同士のすれ違い、気持ちのぶつかり合い。

嫌になる。それを超えた先にあるものは、
愛か、未来か。

MVで貴方たちの「これから」を感じたように、
2人の「これから」を感じる。
だから、笑っているようだ。

曲終わり、跪き、これから長く女性の指に光る
であろう指輪を渡す。

“未だ見ぬ思い出 期待だけはさせてね”

成功、歓声。
さあ、宴だ、祝福だ。

僕が死ぬまでのパーティーだ!

PARTY

原曲と違うキー。これも良い、大好きだ。

喜びを全身で爆発させるようなダンス。

次々に開かれる扉。

何を表すのか。人生のターニングポイントなのか、はたまた別か。

ドアを開けるたびに晴れやかな、幸せそうな
表情が覗く。
思わずこちらも笑顔になる。

多幸感。

おこがましくもミュージカルを自分も齧っている身として感じるのは、
ダンスで今の気持ちを表現することの難しさ。

そのはずなのに、思わず身体を動かしたくなる
ほどに伝わってくる。

ああ、やっぱり貴方はすごいや。



#青さのカケラ

ベンチに座る女性、そして側には若井さん。
が演じる人物。

まだ少しお花見には早かったね。
そんなことを話しているけれど感じる、2人の
距離感。

所謂脈あり、脈なし。
女性の一途な気持ちとは裏腹に感じる、
2人の距離感。

背を向け、先を行く。
切ない。苦い。

「青さ」故なのか。

この一連が、すごくその後の展開に大きな意味を
与えていたように思う。

恋愛ドラマではない、そこらへんに幾らでも
転がっている甘酸っぱさ、苦さ、青さのカケラ。


場面転換。
傘を差し、行き交う人々。
その流れに逆らい、フードを深く被った貴方が
俯きながら歩いてくる。

すれ違いざまにぶつかり、舌打ちされる。

消え入りそうな声で「すみません」と呟く。
雨の中、傘も刺さずに。

若さの中に見える、人生や今後への不安や
絶望や嫌悪、そして孤独。
誰もが通るであろう、その道。

「嫌だな、もう。何もかも嫌だ。ひとりになりたくて、でもひとりになりたくなくて。」

夜の帷、きっと貴方自身もそう感じることが
何度もあるだろうと、想いを馳せる。
視界が滲む。

「もう、何もかも、嫌だ。」

そう呟く姿は儚く、そしてきっとまだ、青い。
青さ故の気持ちや葛藤。

私はこの一連の台詞が頭から離れない。
こんなにも共感する台詞があるのかと、
心が震えたから覚えている。

人間誰しも、1人になりたくて、1人に
なりたくない。

そんな瞬間がきっとある。
貴方も、私も。

そんな自分を、誰かに見つけてほしいんだ。

ありがとう、気づかせてくれて。

春愁

この曲のダンスが印象的。
個人的にとても好きで、今すぐにでも
また目に焼き付けたい。

「もう、何もかも、嫌だ。」

そう漏らした後に唄う、
“大嫌いだ”
“本当は大好きだ”。

若さ故の葛藤、人間関係、無意識の他人との
比較、誰か隣にいるのに感じる孤独、
自己嫌悪。

きっと春は来る。

そんな貴方に傘を差し出す女性。

貴方を見つけて掬い上げる、恋の音。

Just a Friend

大好きだ。
完全なる解釈一致。

私が頭で描いていた「僕」「君」のイメージと
ぴったり合致する光景が、目の前で繰り広げられ、気づいたら笑顔になっていた。

一生懸命さ、不器用さ、それ故の空回り、
必死さ。お願い気づいて、待って、と
ずっと追いかけているよう。

もどかしさや焦りが手に取るように分かる。
手に取るように分かるから、貴方のお芝居は
魅力的。

“こんな夢を見たんだ”
“その瞳の中には…”

あくまで夢であり、君の瞳に映るのは
きっと「僕」ではない。

だからこそ、

“今日だけは話を聞いて”
“今日だけは僕の目を見て”。

手を取り、真っ直ぐに目を見つめる。
何の濁りもない、ただただ痛いほどに
真っ直ぐな想い、きっと何度も描いた夢。
君の瞳に、僕が映ること。


とにかく全てが好きでした。
とても良かった、ありがとう。


ここまでで、物語が一区切りしたような印象を
受けた。

喜怒哀楽。
表現と音楽。

まるで舞台に紗幕が下りたような。


Attitude

率直に、驚いた。
Utopiaを観た時、もしかしたらこの曲は、
もう生で披露することはないのではないか、
と薄々感じていた。

あのUtopiaから感じた覚悟、感謝、未来。
新参者なりに感じたからこそ、単純に
驚いた。

そして、終演後にセトリを見た時、この曲が
#青さのカケラ に入っていたことの意味を考えた。

“この世は弱い人ばっか居ます。”
“この世は腐ってなんかは居ない。”

それに気づくのは、案外大人になってから
だったりする。

大人ってみんな強くて、でも周りを見ていると
「もう、何もかも嫌になる。」「こんな腐った世の中」と感じていたのは、若かった頃。

そしてこのダンスが表すものは何か。

“キャッチーなメロディーに隠れるはそう、偶像。”

“ただ白馬に跨る僕 似合わぬ僕。 でも満悦。”

寝る前、寝られぬ夜に見る、偶像的な華やかな
白昼夢。
「こうだったらな」と一度は思い描く自分。


そんな要素を、私は感じた。

冒頭、
The White Loungeの歌詞。

“もうすぐ 我儘は終わる?”

“僕の我儘が終わるまで”。

心がざわついた。
繋がっているのか。

だとしたら、それは何を意味するのか。

どうか貴方の歌を、ずっと聴かせてほしい。

書き綴られた歌は、私の生きる意味。


#虚構と虚無

Feeling

今までのミュージカルのような物語とは
また違う、これはもしかしたら
「Mrs. GREEN APPLE」としてのセクション
かもしれない。

3人の表情が印象的。

穏やかで優しくて。

私が言わせてほしい、宝物だ。


空気が変わる。

「劇場!」

度肝を抜かれた。すごい。
そんなこともできるのか、そんな声を出せるのか。

間違いなく、あの場を魅了する、或いは支配する、心を掴む、エンターテイナー。

夢のような現実を、現実のような夢を。

今見ているのは、夢か現実か。
お望みのままに、魅了されよう。

ケセラセラ

華やかで煌びやかな舞台。

開始を告げるキャストさんの声と共に
唱えられる、お守りのような言葉、ケセラセラ。

その5文字に、どれだけ救われているのだろう。

今日この日を迎えるまでにも、何度唱えただろう。

ありがとう、と心中で呟きながら聴く。

まるでおとぎ話の、絵本の一ページのような
セットや華やかさが忘れられない。

ありがとう、ケセラセラ。
ありがとう、ミセス。


曲終わり。
キャストが次々と捌けていく。

「お疲れ様」と声をかけられ、
「ありがとう。」と被っていた帽子を手渡す。

残されるは、1人。


煌びやかで華やかで、人に囲まれていた
舞台上から、孤独へ。

座り込み後ろを向く貴方は、儚い。

もしかしたら、
人前に立って拍手や歓声を浴びたり、
人に囲まれていた後、こんな風に孤独を
感じているの?

「ああ、まるでSoranjiのMVの貴方を見ているようだ」と魅入っていたら、

Soranji

崩れてしまった。
反射的に。

それは、ずるい。

肉眼ではっきりと、姿や表情が見える席だった。

だからこそ、痛くて痛くて堪らなかった。

表情や挙動一つ一つが、強くて脆く、
芯があるのに儚かった。

席の位置は真正面。

その位置で、その声で、真っ直ぐに。
「だから生きて、生きてて欲しい。」

生きるよ。
だから、生きてね。
消えないでね。約束です。

ずっと忘れることはない。
まさにあの時感じたものを、浮かんだ言葉を、
余すことなく諳んじておきたい、できることなら。
ありがとう。

#僕の一部

The White Lounge -reprise-

再び唄われるこの曲。
冒頭とはまた違って聴こえるけれど、
私はこの曲が大好きだ。

ミュージカルでいうところのカーテンコール前の
曲、集大成にも思える。

華やかで煌びやかな白。

その真っ白な世界には、
様々な感情や様々な人たちの「生」が
飛び交う。
何も見えないようで、そこには確かに
ちゃんとある。


この曲が持つ意味を、貴方がどんな想いで
産み落としたのかを、いつか聞いてみたい。

#終わりの始まり

フロリジナル

この曲と共に、華やかな色を纏ったセットが
とても綺麗で忘れられない。

この世界はどんな香りがするんだろう。

“でも今日もまた信じてる”と、自分の肩を
トンと叩いた姿が大好きで。

今だけ香りに包まって。

ああ、ずっと此処にいたい。
思わずそう呟きそうになる。

とても良い、終わり方だった。

まるで森の中に、別の場所に消えていくような。
捌けていく後ろ姿三つを、目に焼き付けた。



白に誘われ、導かれた先には、
貴方たちがいた。確かにそこにいた。

紛れもなく、大好きな、大好きで堪らない貴方
たちが。

賛否。覚悟の上だとしても。

貴方たちが見たかった、見せたかった世界。

導いてくれてありがとう。

一つだけ伝えられるとするならば、

私はこのホワイトラウンジという場所を、
Mrs. GREEN APPPLEを、

これからも大切にしていきたい。

演奏者。舞台人。表現者。
フロントマン。

大森元貴、若井滉斗、藤澤涼架。

なんて人たちを好きになったんだ。
これからもずっと、目を凝らして、
耳を澄ませて、共に在りたい。

白に誘われ、導かれた先には、
初めて観る貴方たちがいた。

どんどん積もっていく白い雪をずっと眺めて
いたくなるような、
既に積もっている雪と新雪が混ざり合って
いくような。

魅力的だ。
ずっと観ていられる、ずっと浸っていたい。

私は、その世界に行けて、観られて、
聴けて本当によかった。
それは綺麗事ではなく、胸を張って。

ドアを開けたら何かが変わるのか。


過去、現在、未来。
喜怒哀楽。自分と他人。
寄り添いと孤独。
変化と不変。

自分自身とその周りを渦巻くもの、
或いは貴方の頭の中。

一言では形容し難い。
ただ紛れもなく一貫して「愛」だった。

正解も不正解もなく、
胸を張って愛を。



































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