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人にとって唯一の異種友人

犬の特徴: 犬は人と相互に心を通わせられる、最古の最良の異種友人である。犬は唯一、人の目線に反応する動物である。犬は自分の本能を人に合わせる柔軟性を持っている。即ち、芸は素より人に役立つ仕事ができる。犬は社会性の動物で、人社会の一員に成れる動物である。但し、犬のそれは下克上有りのヤクザ社会や侍社会に似ている。一方で親には永遠の敬意を示す。

以上を猫と比較してみよう。まず最初に言って置くが、俄人類学者は猫も犬も、動物全般大好きのホモ・サピエンスだ。決して猫嫌いではない。

猫は人と相互に心を通わせられない。猫好き飼い主は異論を唱えたいだろうが、猫は猫の本能に従うのみで人に合わせられない。猫は体調不良とか気分が悪い時は、それ相応の行動を取るだけである。犬は、自分の不調を隠して、人と遊んだり仕事をしたりする。例えば、警察犬は体調が悪いのに元気な振りをして、出動したがると言われている。人が体調悪いのに、遊んだり飲んだりしてしまうのと同じだ。

従って、猫は芸や人を補助する仕事ができない。盲導猫や猟猫、牧羊猫、或いは麻薬捜査猫などは存在しない(いれば素晴らしいけど)。猫も芸ができると主張する人も居るが、犬が出来る事に比べたら微々たるものである。猫が鼠を取るのは、単なる本能である。犬が芸をするのは人に褒めてもらいたいからだ。「人が褒める」は犬にとってご褒美となるが、猫にはならない。そもそも、猫は「褒める」を理解できない。この場合の「褒める」は餌で釣るのとは違う、犬は人が褒める、その事を理解するのだ。

猫は人の目線に反応しない。知能の高い猿も反応できない。これは唯一、犬のみが持つ能力である。犬は人の目配めくばせが理解できるようになれる。猫は、人の家族の中で、順位を理解させらない。犬は教えれば、自分の順位を理解する。教えないと一位、つまり親分に成ろうとうとする。この点、ヤクザ的な所がある。

猫は飼い主の性格を反映しないが、犬はもろに影響を受ける。猫は人の命令を実行できない。そもそも命令を理解できない。犬は命令を受けて、実行することが好きだ。人の子供と同様に、犬は正しく教育しないと、我儘わがままになり、逆に飼い主に命令する。最近、この主従が逆転して、犬が人を散歩に連れている状況が屡々しばしば見られて嘆かわしい。

人と犬は、社会性に置いて驚くほど融合する事が出来る。2万年近い付き合いの成果だろう。猫の場合は8千年程で、穀物を食い荒らす鼠を捕るのが目的で飼われた。犬は、1万7〜8千年前には、人の周りに居た痕跡が在り、1万5千年程前に丁寧に埋葬された犬の骨が見つかっている。しかし、犬はどのように人と付き合い始めたかは謎である。犬の起源は狼や狐など諸説ある。

ロシアでは、キツネを何代にも渡って交配させる実験を行っている。生まれた狐の中で従順で温和おとなしい個体を選び交配させ、生まれた次の世代からも同様に選択交配させる。代を重ねると、本来人に慣れない攻撃的な性格の狐が、まるで犬のようにじゃれる従順な狐へと変化していく。故に犬の起源は狐としているが、今一説得力に欠ける。

俄人類学者の考えでは、人の祖先の時代、つまり類人猿の時代から、犬または後に犬に進化する動物が、類人猿の周りに居て、他の動物とは違う関係を築いていたと思う。犬の祖先は、ミアキスと言うなが付けられた小型の肉食動物である。イタチに似た姿であったとされていて、約6,500万年前から約4,800万年前にかけて棲息していた。

ミアキスは猫やアシカの祖先でもある。犬、猫、アシカが親戚と言うのは不思議な気がする。ところで最近発見された最古の類人猿はサヘラントロプス・チャデンシスである。約700万年前に棲息していた。ミアキスやその子孫は、人の祖先である類人猿と棲息期間が重なる。現代のカラスやスズメの様に、類人猿の周辺に居たと考えられる。

彼らの関係が変わる時が来る。それは、彼らが気候変動により湿潤な密林から、雨期乾期のあるサバンナの草原に追い出され、肉食を始めた時だ。集団で生活する類人猿が狩りをすれば、当然何らかの食べ残しが出る。それを狙って犬の祖先が、類人猿の生活の場に接近するのは全く有り得る話しだ。

類人猿が移動すると犬の祖先も一緒に移動する。この時、準犬じゅんけん(犬の祖先の意)は、既に集団で生活していたか、或いは、類人猿の周辺に集まる事で、集団に成ったかしたのだろう。類人猿が移動する時、集団で移動しないと、安全確保や繁殖が難しい。準犬は、食事、睡眠、繁殖等の生活様式を類人猿に合わせたのではないだろうか。

猛獣が類人猿の集団に近づくと、準犬は吠えて知らせ、また集団で対処する類人猿の影に隠れたりと、共生関係が始まる。やがて、類人猿の狩りにも同行して、獲物の所在を教えたりする先導役を努めたりする。初期の犬はペットなどではなく、持ちつ持たれつの間柄だったのだろう。つい最近まで、この共生関係をうかがわせる狩りがインドネシアで見られた。

以上

次回は、インドネシアで行われていた巨大イノシシ狩り

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