「あの時」のこと
緊急事態宣言の期間は、レッスンをお休みにしていました。
かわりに、何人かの生徒さんには動画のやりとりで自宅練習のサポートをしていました。
私から、演奏と、練習のポイントをお話した動画を送り、練習ができたら生徒さんから動画を送ってもらう。
さらに動画でアドバイスや次の課題を伝えて返信、というふうに。
練習を促すことが目的ではなく、学校は休校となり、習い事やお出かけもできない期間に、なにか子どもたちが前向きに取り組めることを提供したい、という思いからでした。
思った以上に効果がありました。
とくに小学校低学年のお子さんは、どんどん新しい曲をこなしていきました。
想像ですが、理由はこんなところでしょうか。
練習の時間がたっぷりあったから
自分でやるしかない状況だったから
先生からの動画が新鮮だったから
自分の演奏を動画に取ることで意識が高まった
普段よりも保護者の方が寄り添うことができた
もちろん、保護者さまの協力、連携がなければできないことでした。
動画のやりとりで練習のコツをつかんで自信をつけたお子さんは、レッスン再開後も上達のペースが上がっています。
指示を聞いて応えようとする、その集中力が、以前とは違います。
動画を見て自分で練習する。このやり方は、この先も何かに生かせそうだな、と思うと同時に、
やはりあの特殊な状況だからこその結果ではなかったか、とも思うのです。
今は耐えるとき。その中で、少しずつ自分にできることを、と、
長い期間、皆が同じ方向を向いて過ごしていました。
きっと、子どもも大人も皆、あの時間に体験したこと、考え、気づき、得たものや失ったものは、誰にとっても忘れがたく、この先の生活や生き方に大きく影響を与えることになるのでしょう。
ふとしたときに、あの時、と思い出すことが、これからもあるのだろうな、と。
行動範囲が広がり、人と会う約束や外出の予定が入りはじめた今、改めてそんなことを感じました。
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