データ組織横断で考えるマネーフォワードのデータ活用の未来
こんにちは!マネーフォワードの吉住です。
マネーフォワード データ組織の公式noteとマガジンが、2022年4月より発足しました!データ分析事例やデータ組織の取り組みを発信していきます!
マガジン第一弾はデータ組織の対談です!昨年12月からデータ組織横断でデータ戦略についてディスカッションをしてきました。この記事では、戦略ディスカッションに参加したメンバーと対談で振り返りながら、マネーフォワードにはどんなデータ組織があり、どんな課題と向き合っているのか、どんなデータ活用の未来を思い描いているのか、ご紹介します!
プロフィール
マネーフォワードのデータ組織、紹介します!
吉住:はじめに、皆さんの所属組織について、ご紹介いただけますか?
北岸:Money Forward LabというR&D(Research and Development:研究開発)組織に所属しています。Money Forward Labは、お金とポジティブに向き合うことで、今日よりもっと豊かな人生を叶えるためのお手伝いをしたいという想いから、テクノロジーとデータの力でこれを推進するために設立された組織です。とりわけ注力している領域は将来の課題を予測して解決のためのアクションを提案する「自律化・ユーザビリティ」です。我々はこの未来を「Autonomous BackOffice(オートノマス・バックオフィス:バックオフィスの自律化)」と呼び、自動車の自動化と同様に自動化/自律化をレベル分けしてアプローチしています。
幸野:CTO室AI推進部は”Reinvent your life”(AIを用いてユーザーへ提供する利便性を更に向上させること)をミッションとし、AIを用いた非連続なプロダクト成長を支援する組織です。AIに関することは手広く取り組んでおり、大きく分けて3つあります。1. プロダクト分析を含めたAI/機械学習(ML)機能の企画・開発、 2. Lab等で構築したモデルのプロダクト実装、 3. MLOpsの構築です。したがって、データサイエンティストだけでなく機械学習エンジニアやインフラに強みを持つメンバーなど多様なエンジニアが所属しています。現在公開しているサービスには「マネーフォワード クラウド債務支払」の請求書OCR機能があります。
佐々木:分析推進室では、データを誰でも適切に活用し、意思決定に繋げられるようにする、いわゆるデータの民主化を通じたコミュニケーションの円滑化をミッションに掲げ、全社横断でデータ分析・活用を推進しています。経営企画寄りの管理会計分析から事業部寄りのビジネスアナリティクスまで幅広く行いつつ、かつその双方を同一のデータ統合基盤から算出できるようなデータウェアハウス設計・整備や分析ナレッジの流通を担っています。また、基盤から抽出されたデータを活用してもらえるように勉強会を実施したりもしています。(分析推進室の動きについて、事業部側のデータアナリストと対談した記事も是非ご確認ください!)
太田:CTO室分析基盤部は、2020年12月にチーム立ち上げ以来、北岸さんが所長を務めるMoney Forward Labで取り組んでいる「Autonomous Backoffice」と佐々木さんをはじめとした分析推進室が推進している「データの民主化」の実現に向け、データ分析やMLOpsのインフラ構築・保守運用を担っています。現在、社内には分析推進室・AI推進部・Money Forward Labなどデータの活用をメインテーマとした組織が存在し、各事業部においてもデータアナリストやアナリティクスエンジニアの採用や育成が進んでいます。データユーザーが分析や機械学習といった本質的なテーマに集中できるよう基盤を提供し、下支えしています。
課題と向き合い、方向性を共有し、データを前へ
吉住:今回、組織横断的なデータ戦略のディスカッションをはじめた背景には、どのようなデータ活用等の課題があったのでしょうか?
太田:分析基盤部は、Money Forward Lab・AI推進部・分析推進室や各事業部のデータ分析者が分析・機械学習を素早く実行できる環境の整備に努めており、大きく3つの課題を解消することに取り組んでいました。1つ目は、社内で様々な部署・チームが独自に構築してきたデータ基盤にデータが分散して保管され、有効活用されていない状態を解消することです。2つ目は、データの集約と配布を最適化し、データ活用時に必要なデータがデータ基盤上に存在しないケースを解消することです。3つ目は、データカタログを整備し、社内に存在する分析用データの所在がわからない状態を解消することです。しかしながら、組織が急速に拡大する中で、組織全体の課題感や優先度を把握することが難しくなっていました。
北岸:それぞれにビジョンや中長期計画を立てて共有はしていたものの、組織横断で連関性を生み出すには至っていませんでした。例えばAutonomous BackOffice実現のためには、データを深く理解し、コンピューターサイエンス領域等の知見と組み合わせて高度に活用することが大前提となります。そのためは、分析ノウハウや太田さんら分析基盤部で整備している分析基盤が必須になります。R&Dの成果を事業で活用できるようにするためには、特に機械学習を応用した成果の場合は、幸野さんらAI推進部の協力がなければプロダクトとして活用できませんし、またML Ops基盤がなければ運用もできません。一方、分析基盤やML Ops基盤から見ると、Money Forward Labは基盤の主な利用者になります。これまでも個別にディスカッションすることはありましたが、一旦立ち止まり、関係者が一堂に会し、過去・現在を振り返り、未来を共有する機会をなかなか得ることができていませんでした。
幸野:マネーフォワードは『データを活用し、より大きな価値を還元する』ことを重点取り組みに掲げています。その一環としてAI推進部も2020年12月に発足しています。プロダクト全てにおいてその意気込みを感じていますが、データ活用のために整備すべき課題があることも事実です。北岸さんのいうようにこれまで案件ベースで関連部署と連携して解決していましたが、「データ活用部署で方向性を統一し、より効率良く整備しよう」と分析推進室の佐々木さんからお声掛けいただきました。
佐々木:2年ほど全社横断でデータ分析・活用の推進を行なってきて、我々だけでは本質的な解決にたどりつけない課題に気づいたことが最初のきっかけでした。社内でもデータ活用のニーズは至る所に存在しており、また例えば投資家向けの資料でもデータ分析基盤がコアテクノロジーとして位置付けられていたり、マネーフォワードグループ全体としてデータ活用をもっと進めていきたいという雰囲気は日に日に強まっています。その一端を担う覚悟はあったのですが、いざいろんな側面と向き合ってみると、いわゆるデータマネジメントの全体像を見据えながら関係各所が強烈に連携しないと実現できないのではないかという、危機感に近い感情が生まれたので皆さんにお声がけしました。実際に話してみると、各々が各々の目線から近い課題感を抱えていたこともあり、すぐにディスカッションを開始することができました。
データ戦略の組織横断ディスカッション
吉住:実際、組織横断的なデータ戦略のディスカッションをして、いかがでしたか?
佐々木:課題の本質に、思いの外スピーディに辿り着くことができたなというのが意外な気づきでした。このメンバーとのディスカッションと並行してCEOの辻さんをはじめとした経営層にも状況を共有しつつ会話していたのですが、かなりポジティブに受け取られ、追加でアイディアをもらえたりしたことも大きかったように思います。
幸野:データ活用の文脈において、各組織単体が直面する課題だけでなく、組織間で解消すべき課題もある中で、現状を直視して前向きに解決策や取るべき行動をディスカッションできました。たくさんの部署が関係すると「課題に向き合えず中々進まない...」なんてこともあるかと思いますが、参加者全員がマネーフォワードの「ミッション・ビジョン・バリュー・カルチャー(MVVC)」を体現し、ポジティブに課題解決に取り組んでいることを素直に嬉しく思っています。
太田:私たち分析基盤部はデータを活用するメンバーが持つ課題感や優先度を把握しデータアーキテクチャに落とし込んでいく必要があります。これまではぼんやりと輪郭だけ見えているような状態でしたが、組織横断ディスカッションを経て各部署・組織全体が持つデータにまつわる課題感が共有できたことで、今後のデータ戦略の道筋がくっきりと見えたと思います。また、これまではデータを取り扱う関連部署との横の連携が薄いと感じていたので今回のディスカッションをきっかけに盤石なデータ組織体制が築けることを期待しています。
佐々木:絡み合う構造の課題の中で優先度が高いものは各組織間でもほとんど異論なく決めることができたので、あとはより大きな範囲を巻き込みながらいかにスピーディにやっていくかだけかなと思っています。ハードなこともあると思いますが、少なくともこの組織間では同じ方向を向けているという事実だけでも心強いです。笑
幸野:今回のデータ戦略ディスカッションを経て、全体の方向性が決まったので、後は各自の実行が肝になるかと思います。実行時に大変なこともあると思いますが、より良い未来を想像しつつ、協力しながらコツコツ進めていくつもりです。
北岸:登るべき山と登山ルートについて、関係者全員で合意形成プロセスを共有し、意思統一ができたことが個人的には一番大きな成果だったと感じています。個々に、「ここが山の頂だ」と思い込んでいた場所が、実は山腹に過ぎなかったことに気付かされ、一瞬戸惑うこともありましたが、スピード感を損なうことなく、皆で協力しつつ、お互いを尊重しながら楽しんで登り切りたいと思います。
データ活用とデータ組織の未来
吉住:最後に、どのようなデータ活用やデータ組織の未来を思い描かれているかお聞かせください。
佐々木:マネーフォワードグループはBtoB、BtoCにまたがり非常に多くの領域でサービスを提供していますし、これからもそれは拡がっていくと思います。これは裏返すとより多様なデータがマネーフォワードグループに蓄積されていくことを意味しています。それを適切に活用していくために最適な組織体制が構築されていることが理想だと思っています。”適切に”というのは、大事なデータを安全に、ユーザーあるいは社会にとって価値のある形で活用していくことを想定しています。高水準のセキュリティはもちろんのこと、より高い倫理的な観点も含め社員全員で共通認識を持ち、攻めと守りを両立したデータ活用組織を作っていくべきだと思います。
幸野:我々はデータが持つ価値を、まだまだユーザーに還元できていないと感じています。倫理やコンプライアンスを守ることは当然のことですが、それらを確保した前提でデータを活用し、ユーザーの生活をより良いものにしたいです。有り難いことに、経験豊富な機械学習エンジニア・データエンジニア・アナリスト・リサーチャーなどデータ人材が最近たくさん入社してくれています。優れた人材が力を十分に発揮しビジネス価値へ繋げるためには、データ活用組織がまとまって同じ方向を向いて活動することが必要なので、今後もこの活動を継続し強固なものにしていきます。
太田:データを適切に活用しデータが持つ価値を最大限に還元するという観点でデータ組織には様々な分野の専門性が求められます。現在、マネーフォワードグループにおいては多種多様な専門性を持ったメンバーが続々と入社しています。個人の専門性は多種多様であっても、データ活用組織としての目指す方向性は揃っている状態が理想だと思います。
マネーフォワードグループに限らずありとあらゆる企業においてますますデータの総量と重要性は増していくと考えています。「データ活用といえばマネーフォワード」と挙げていただけるようなデータ組織を目指して努力してまいります。
北岸:やはり人に尽きますね。採用の告知のような締めになってしまいますが、マネーフォワードのミッション・ビジョンに共感していただけて、お金に関するユーザーや社会の課題をデータやテクノロジーで解決することに熱意をお持ちの方々には、是非、仲間に加わっていただきたいです。我々もFintech × Data × Science領域の仕事で一番最初に想起してもらえるように頑張っていきたいと思います。
あとがき
データ組織の対談、いかがでしたか?私もデータ戦略ディスカッションに参加していましたが、互いに互いの組織をリスペクトしているからこそ、課題に感じていることも、未来の理想像も、本音で語り合うことができます。熱のこもったディスカッションをする中で、マネーフォワードのデータ活用の未来にますますワクワクしてきました。
マネーフォワードのデータ組織(Money Forward Lab・CTO室AI推進部・CTO室分析基盤部・分析推進室)では、データ活用の未来を一緒に作っていくデータアナリスト・データサイエンティスト・データエンジニア・機械学習エンジニア・アナリティクスエンジニア・研究者を募集しています。
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