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【「早すぎる最適化」の落とし穴】

以前、為末大氏のツイートの中に「早すぎる最適化」という言葉がありました。
小学生年代の指導において、私が常々注意すべきだと思っていることがこの言葉に凝縮されています。


海外の選手たちは自己主張が強く、それは大人でも子どもでも同じ。
自分が思ったことを積極的に相手に伝えようとする。
その相手が大人であっても。

一方、日本の選手たちはどうか。
日本人は全般的に、大人でも子どもでも、その場で思うことがあったとしても、発言をすることはまずありません。
何か質問はありますか?と聞いても、ありません、無言、で終わる場合がほとんど。
たとえ思うことがあったとしてもそのままにして終わり。
それは、サッカーの現場に限らず、日本全体に言えること。

つまり、ほとんどの場合において、言われたことをそのままやっている状態になっているということであり、また、突き詰めて考える習慣が育ちにくい状態になっているということだと考えます。


日本において、日本の子どもたちの指導にあたる上で、まずは、この大前提を踏まえておかなければいけない。
なぜなら、合ってることも、間違ってることも、何の疑問を持つこともなく素直に受け入れられていることがほとんどであり、日常的に追求する習慣、発言する習慣もあまりないので、言われたことを遂行することに安心してしまいがちで、考えようとしなくなるからです。
言われたことを遂行して、できたことに対してほめられると、余計に考えなくなってしまうというサイクルに陥ってしまう。


心も体も未完成。
個人差も大きくまだまだ伸び代を残している年代において、この特性をふまえていないと最適化を早め、早すぎる最適化をより強固なものとしてしまう。

成長と共に心と体の状態は変化していくが、早すぎる最適化のために、心と体の成長に見合ったレベルまで進化させられないということが往々にしてある。
昔は良かったのに今は伸び悩んでいる、、、というよくある現象の原因の一つは、この早すぎる最適化だと、私は思います。


だからこそ、教え込んではいけない。
勝つためにとか、これは世界でもスタンダードなことだからという理由だけで教え込んではいけない。

教え込むのではなく、「考えさせる」こと。
そして、考えを尊重して「限定しない」こと。
質問して、回答を尊重し、選ばせる。
結果を評価するのではなく、考えて発言や行動したことを評価する。


発言や行動、つまり、アウトプットして初めて考えたことのプロセスが強化され、習慣化を促し、より良くしていくための適応と進化に繋がっていく。
心と体の成長にあわせた適応、その時々にあわせた最適化へと進化し続けていく。
今を焦らず、未来に圧倒的な上昇曲線を描けるように。




代表 森 一哉

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