【「ほめる」と同じくらい、もしくはそれ以上に大事なこと】
私はこれまで、ほめて怒られたことや、ほめて嫌な顔をされたことは、一度もありません。ほめて不快になられたこともありません。ほめたことで、嬉しさをストレートに表現してくれたり、照れ隠しでニコッとしてくれたり。表現方法はさまざまですが、みんな一様に喜んでくれます。
ほめられると嬉しい。
これは、大人も子どもも同じ。私もそうです。
子ども自身がいいプレーをしたと思ったその瞬間にほめてもらえるとすごく嬉しいし、それだけではなく、コーチはちゃんと見てくれている、わかってくれているんだと、コーチに対する信頼も増します。
自分に置き換えるとわかりやすいと思います。
試合に勝つためにプレーをしている。ミスはしたくない。チームの勝利に貢献するために一生懸命プレーしていて、そこで、勝利につながるようないいプレーができた時や、負けないためのいいプレーができた時に、できた、と思ったその瞬間にほめられるとすごく嬉しいですよね。
さて、ここから本題です。
サッカーは、成功したプレーと同じくらい、ミスも多いスポーツです。
ここでいうミスとは、明らかに目に見える、ボールを奪われたというミスだけではなく、取られてはいないけどトラップが大きくなったとか、前を向ける時に前を向けなかったというような、わかりにくいミスというのもあります。
こういったプレーでは、ほめることはできません。
だからといってそのままではなく、これらに対しても働きかけをしてあげることが、子どものモチベーションを高めたり、信頼関係をより強固にするために大切な働きかけというものがあります。
それは、「認める、励ます」ということです。
例えば上記の例の、トラップが大きくなったという現象について。
ボールを止める、という練習をしていて、その後のゲーム形式でこの現象が見られた時、その練習のように、丁寧にボールを止めようとして大きくなったというような、子どものやろうとしたこと、頭の中までを観て、「今、丁寧に止めようとしてたよね」と伝えてあげる。
そうするとどう思うか。
「コーチはちゃんとわかってくれている」。そう思います。
前を向けなかったという例でも同じです。「前を向こうとしてたよね。やろうとしたことが良かったよ」と。
「ほめる」だけではなく、「認める、励ます」。
この両輪で、全ての子どもたちへのポジティブな声かけが可能となります。
当アカデミーでは、技術を伝えること、技術を試合でどう生かすかということ、そして、試合でチャレンジしてみようと思える心への働きかけも大切にしています。
代表 森 一哉