
マルチプロダクトを担当するカスタマーサクセスにジョブチェンジして体感した面白さと難しさ
この記事は 株式会社マネーフォワードERPカスタマーリレーション本部が主催している Money Forward ERP Customer Relation Advent Calendar 2024 の 21日目 🎉 の投稿です。
はじめまして!
ERPカスタマーリレーション本部 カスタマー戦略部で部長をしている間宮と申します!
株式会社マネーフォワード(以下、MF)には2024年5月に入社し、カスタマーサクセス活動における戦略設計を担当しています。
どんなことを書いたのか?
この記事では、これまでシングルプロダクトの環境でカスタマーサクセスを経験してきた私が、まだ入社約半年ではありますが、マルチプロダクトのカスタマーサクセスに挑戦して感じた面白さと難しさについて触れていければと思います!
なぜマネーフォワードへ転職したのか?
前職ではバーティカルSaaS事業を展開するスタートアップ企業でカスタマーサクセスOpsや販売管理業務を担当していましたが、事業縮小に伴い退職しました。その過程でバックオフィス機能が企業成長に与える影響を実感し、MFのバックオフィス向けに広く展開しているSaaSプロダクトに可能性を感じ、入社を決意しました。
前職のカスタマーサクセスと比べた環境の違い
前職とMFでのカスタマーサクセス業務は、同じ領域でも全く異なるフィールドにいるように感じています。
前職:バーティカル × Nice to Have × シングルプロダクト × スタートアップ
MF :ホリゾンタル × Must Have × マルチプロダクト × 上場企業

前職では特定業界向けの単一プロダクトに集中していましたが、MFでは多様な業種に対して複数のプロダクトを提供するため、より広範な視点で戦略を考える必要があります。
MFのカスタマーサクセスに挑戦して感じた面白さと難しさ
<面白さ>
広範なクロスセル余地
カスタマーサクセスはチャーンレートの抑制など、守り重視であることが多いですが、マルチプロダクト化が進んでいるMFにおいては、顧客、事業、双方に貢献価値を広げやすい環境があります。
顧客基盤の大きさと改善のインパクト
既に多くの顧客を抱えているため、プロセスやコンテンツの改善が顧客及び事業に与えるインパクトが非常に大きく、やりがいに繋がっています。
変化・進化を求められるスピード感
MFでは新規プロダクトを社内で開発するだけでなく、M&A(MFではグループジョインと呼んでいます)なども通じてコンスタントにプロダクト数を増やしていくため、スタートアップにいたときと体感的に遜色ないペースでビジネスサイドも変化が求められ刺激的です。
<難しさ>
フェーズの異なるプロダクトを前提とした業務設計
新規プロダクトと成熟プロダクトが混在するため、画一的なオペレーションの設計がかえって非効率になる場面があります。
チャーンリスクの検知精度の向上
Must Have領域の特性上、利用頻度やデータだけでリスクを判断するのが難しく、定期的なヒアリングや課題の洗い出しなど、顧客との緊密なコミュニケーションが重要になってきます。
イネーブルメントの推進とアサインメントの適正化
マルチプロダクト化が進む中、顧客へ価値提供をする過程で求められる知識量は右肩上がりに増えてきています。そのため、必要な知見を組織全体で共有する仕組みを作ることはもちろん、専門知識を有しているメンバーを適切な案件にアサインする仕組みの構築も必要になります。
現在挑戦している取り組み
参考までに私達が取り組んでいる戦略の一部をご紹介します。今月(2024年12月)から実施する内容なので、結果は見えていませんが、成果が出ると信じてやり抜きたいと思っています。
1. 導入期専属部署の責任範囲の拡張
これまで、導入期専属部署は「適切に稼働すれば更新される」という前提で稼働率を追求していました。しかし、プロダクトのフェーズが多様化する中で、導入支援プログラムや稼働定義の質にばらつきが生じ、従来の方法では成果が出にくくなっていました。
新たなアプローチ: 責任範囲を稼働率から1年目の更新率にまで広げ、導入支援全般のPDCAサイクルを回せるように役割を再設計しました。
ばらつきのパターンと対応策:
稼働率が高い × 更新の相関性が高い: 提供効率を向上させる
稼働率が低い × 更新の相関性が高い: 導入支援プログラムの質を向上させる
稼働率が高い × 更新の相関性が低い: 稼働定義の見直しと導入支援プログラムの改善
稼働率が低い × 更新の相関性が低い: 稼働定義の見直しと導入支援プログラムの改善
2. 顧客接点の創出とチャーンリスク対応の分業化
チャーンリスクを検知するには、顧客との頻繁な接点が欠かせません。これまでは、エクスパンション機会を創出する部隊とチャーンリスクを検知・防止する部隊がそれぞれ独立して顧客接点を持つ体制でしたが、非効率さが課題となっていました。
現在の取り組み
接点創出をエクスパンション機会を生み出す部隊に集約し、その接点の中でリスクヒアリングも併せて行い、その結果を基に、チャーンリスクを防止する部隊がより効果的に対応できる体制を整えています。
リスク対応を担うメンバーは豊富なドメイン知識やプロダクト知識を持つ専門性の高い人材で構成されており、これらの貴重なリソースを重要な場面に集中させることで、効率的かつ質の高い対応が可能になると考えています。
さいごに
本記事では、マルチプロダクトを扱うカスタマーサクセス業務に挑戦して感じた面白さや難しさについてお伝えしました。広がる可能性に魅力を感じる一方で、複雑さを増す業務設計や顧客対応に悩む場面も多く、日々試行錯誤を重ねています。
まだ改善すべき点は多いですが、この経験を通じて学びを深め、より良い価値提供ができるよう努めていきたいと思います。本記事が少しでも皆さまの参考になれば幸いです。
ERPカスタマーリレーション本部のアドベントカレンダーもあと4日!引き続きお楽しみください!