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色のメッセージを受け取る#2自立の時 

私は昨年、定年を迎え退職した。退職する前に興味津々だったのは、退職後に、自分が着たいと思う服がどんな風に変わるのかということだった。現役の時は、仕事優先の洋服選びをしていた。職場でどのように見られたいのかが、洋服を購入するときの基準だったように思う。

退職した春先に、真っ先に気になったのがオレンジ色のコートだった。かなり派手な色で人目を惹く。本当にこんな目立つ色のコートを私は着るのだろうか、と自問自答しつつ、購入を決めてしまう。

そして、改めてオレンジ色のキーワードをおさらいしてみる。オレンジ色には「自立」「自分にエールを送る」という意味があると気づき、自分の心の有り様を確認する。現役時代は、組織に所属して決められた仕事をこなし、お給料をもらうという安定した生活だった。これからは、自分の人生を自分が主導して決めていかなければならない。

私には定年を延長して働き続けるという選択肢もあったのだが、その道は選ばなかった。自分で人生を決める、そんな生き方をもう一度してみたいと思ったのである。その時、私の心に共鳴したのがオレンジ色だった。

最近、長い間引きこもり生活を続ける女性と何度か接する機会があった。多くを語らない彼女のことを理解したくて、カラフルスフィアから色を選んでもらった。セッションを試みたが、私の問いかけに彼女は何も応答してくれない。そんな彼女が最初に選んだのは、赤と黄色のスフィアである。これは混ぜるとオレンジ色になる。2枚目はオレンジ色、3枚目に青を選んでくれた。青はオレンジ色の補色で、オレンジ色の強みを一層際立たせてくれる色である。彼女の心は、オレンジ色で満たされているようだ。

実は彼女の身辺に大きな変化があって、彼女は一人暮らしを余儀なくされている。そうか、彼女も私と同じように、自立しようと自分にエールを送っているのだと、私の心も騒ぐ。色は、私たちの心の中を雄弁に語ってくれる。言葉で表現できなくても、選んだ色がその人の気持ちを代弁してくれる。色がもつ大きな力と可能性を実感した瞬間だった。

カラフルスフィア(一般社団法人色彩心理学術協会 CPAA)
https://cpaa.or.jp/colorfulsphere-color-therapy/


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