目指す会 2312 AJパーマネント千葉200 ➀6/206
今までも辛いことは沢山あった。
手塩に育てたドラクエⅤのセーブデータが消えたり(あの効果音の心臓への悪さといったらもう)、初めてのトレランで30キロ連れ回され1週間筋肉痛で階段の上り下りが出来なかったり、筆者目の前で父親がいい気になって筆者の友達に自分の若い頃の武勇伝(ナンパしただの)を披露したり…
どれも2度と出会いたくないエピソードばかりだが、今回はそれらに勝るとも劣らない体験になった。
きっかけはいつも通りボスE原からのライン。
「これやろうぜ」
ざっくりいうと制限時間内に200キロ走るイベントで、大会ではなく自主的にルールを守って進める感じ。200キロは果てしない距離で車を運転するのさえだりーなって思うが、まぁ過去に走った事もある。
「大変そうだけど楽しそうですね」
と返したのが運の尽きだった。ちなみにこの時点では行きますという意思表明はしていないし、参加するつもりも毛頭無かった、がE原氏から
「オッケ、じゃーおまえの予定に合わせるから日程教えろ」
と返事がきて逃げられなくなった。ニホンゴムズカシイ。
イベントの正式ルールは200キロを6回繰り返すみたいなんだけど、さすがにそれには付き合いきれない。まぁ1回だけなら良いかな日程を出して23/12/23に決定した。
冬は手足指先の末端が痛くなるからチャリ乗らないんだけど、今年は暖冬で暖房器具やスタッドレスタイヤが売れないとも聞くし、まぁ行けんべ! と普段楽観的で心の負担を軽くしてくれる筆者の性格を、このときばかりは結構恨むこととなる。ちょうどこのタイミングで日本列島を大寒波が攻めてきた。
参加者はE原氏、S水氏と筆者。ちなみにE原氏とS水氏はすでに1度このコースを走行済みで本当に200キロを6回走りきるつもりでいる。気合いと根性があればなんでも出来るって昭和が残した悪しき精神論の塊みたいな輩だ。
ロードバイクの移動距離は概算で1時間あたり20キロくらい。なので200キロとなると10~12時間くらいかかることになる。話し合いの結果早朝6時にスタートすることとなった。
深夜3時に起きて4時集合、5時過ぎにスタート付近の木更津に到着。この時点で過酷なイベントだとおわかり頂けよう。
街に明かりがなくあたりは頂き女子の腹くらい真っ黒(真っ暗)。外気温はジャスト0℃、車の窓を開けてを出すだけで分かる。あ、走っちゃダメな寒さだ。
6時が近づいてきた。
あーバイト行くのだりーって時の5倍くらい重くなった腰をなんとか上げ車から出て準備を始める。かじかむ手、乗らない気持ち、上がらない給料。
スタート地点のローソンに移動。ここでチャリと店を写真に撮るのと、買い物をして受け取ったレシートを時間通りにスタートしたエビデンスにするのがルールとなっている。(途中のチェックポイントも同じ。)
普段100%捨てるレシートもここでは要回収なんだけど、寒さ対策で2重に手袋しているから買い物も一苦労だ。
1日の気温は夜明け前が最も気温が低く、太陽のお目覚めと合わせて徐々に気温が上がるシステムになっている。つまり今が一番寒い、今頑張れば段々暖まっていくはずだ、頑張ろうぜオレ! と決意を固めて走り出す。
走り出すこと数分で早速始まった指先末端の冷えによる痛み。ズキズキズキ。無理無理無理。決意云々でなんとかなる寒さじゃない、さっそく心がポキっと折れる。
明日あたり(クリスマスイブ)「寒いね~」とか言いながら彼氏の上着に手ツッコんでイルミネーション見るカップルに本当の寒さというものを教えてやりたい。
2キロ走ったところでカラ元気を出すため
「2キロです、これのあと100倍です! 頑張りましょう」と虚勢を張るとS水氏が
「実際の走行距離は206キロですよ」とクロスカウンターを放ってきた。一発KOで崩れ落ちる筆者(の心)。たかが6キロを思われるだろうが、そのくらい過酷な環境下に立たされていた。
奥歯をガタガタ言わせながら6キロを走る。トラックの排気ガスでなんとか体温を維持する、辺りはまだ暗い。こんな状況でクリアできるのか。頭によぎるリタイアの文字。地獄はまだ始まったばかりだ。
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