目標が決められなくてもいい。不安でもがむしゃらに頑張ることが“原点”になる
最近、某大手金融機関の営業担当者と話す機会がありました。
まだ入社3年目の若い男性でした。
新卒初任地は地方の支店でしたが、そこで高い成績を残したので、今年、八重洲の本店に異動になりましたと話してくれました。
そんな誇らしい話題を持った彼でしたが、将来については漠然と見えない不安を抱いているとも語っていました。
彼の同期は350人以上いましたが、既に100人以上が辞めてしまったそうです。
会社は営業成績に厳しく、残業も多いハードな職場です。
昔に較べればずいぶん楽になったと聞いても、やはり同期の多くが、仕事が辛くて辞めていったそうです。
父親にこのままこの会社で仕事を続けて良いのか相談したそうです。
父親は、当然のように「もう少し頑張ってみては」と答えました。
彼も、今は目先のことに集中して頑張ろうと思っていると言っていました。
将来については、具体的な目標は持っていないと言います。
そのことも、不安の一因のようでした。
彼と話をしていて、40年前の自分のことを思い返しました。
私も彼と同じように漠然と、否、かなり、将来に不安を感じていました。
長時間労働が美徳、のファーストキャリア
私が大学を出て勤めた会社は、ある中堅商社でした。
そこで私は貿易の仕事に携わります。
これぞザ・商社マンと言えるような上司や先輩たちに恵まれました。
昭和のことです。仕事量は莫大でした。
そして、長時間労働が美徳でした。
次から次に押し寄せる仕事上の難局、理不尽な要求の数々。
先輩諸氏の武勇伝が仕事のお手本でした。
やがて、その先輩諸氏の週刊誌ネタのような非行の巻き添えも食らいます。
そんな荒波に揉まれながらも耐えて踏ん張っていると、やがて大きな顧客を任されるようになりました。
評価してもらえていると実感できて、とても嬉しい気持ちになりました。自分に自信もでてきました。
反面、このままこの会社に居続けて大丈夫なのか?
そんな疑問を持つようになりました。
その疑問は、会社の体質と文化に対する違和感、経済的なこと、それらが相乗した将来に対する不安などが原因でした。
趣味でつながった友人たちから、まったく異なる文化を持った業界や会社があることを知ったことも大きく影響しました。
就職して7年後、人の縁と幸運が重なって、ある大手企業への転職を果たします。
転職先は、まったくの別世界でした。
その会社で、私は何年もの間、異邦人だったと思います。
ですが、私にはファーストキャリアで培った個性がありました。
その個性が私の強みとなって、私を生かしてくれました。
ひたすらに頑張ったからこそ持てた自信
ファーストキャリアの7年間を振り返ると、がむしゃらに働いていて良かったと思います。
私は、将来に明確な目標などを持てないまま、偶然によって起きる日々の事象に、ただがむしゃらに対処していただけでした。
でもそのことが、自分に自信をもたらしてくれました。
もうひとつ良かったことは、人に恵まれたことでした。
とんでもない人に翻弄されることもありましたが、上司、先輩、取引先に尊敬できる人が沢山いました。
その人たちから、仕事への姿勢を学びました。会社や学校以外で友人ができたことも貴重でした。
その友人たちから、視野を広く持つことの大切さを教えてもらいました。
広い視野を得て、自ら踏み出すことができたことが私のキャリアの大きな転換点でした。
ファーストキャリアまっただ中のあなたへ
若いうちから将来の目標を明確に定めて行動できる人は少数だと思います。
ならば、ひとまず目前の仕事にがむしゃらに取り組むことは、この時期に取りうる一つの選択肢です。
がむしゃらさの中から、学んだり、チャンスを得たり、人とのつながりができたり、自信を得たりすることができます。
やりたいことが見つかるかもしれません。
ただ、ある時点で選択・決断する勇気が必要です。
今のままでいいのか、コースを変えるのか。
私の場合は、それが7年目でした。
結果として、私は転職という選択をしました。
ただ、転職せずに同じ会社に残って頑張っていたとしても、それが自分でくだした選択・決断だったのであれば、それで良かったと思います。
PDCAサイクルのCheck、Actionを回したということですね。
冒頭の若い営業担当者も、恐らく今は将来の目標が持てていないかもしれませんが、今はひた向きに仕事をしています。
昔も今も、若いうちはそれでいいのだろうと思います。
彼の仕事は、たくさんの業界で働く多くの人と話をする機会にあふれています。
一つひとつの出会いを大切にしていけば、その出会いから得られる学びは膨大です。
ただひとつだけ、昔と今とでは違うことがあると思います。
今は、“学び”続けることがとても大事です。
昔も大事でしたが、今は遥かに重要です。
社会はどんどん変化しています。
そしてその変化は、加速しています。
社会の価値観は、とても多様化しています。
変化に対応できる力を蓄えるのに必要なのが、学びです。
仕事に関係した学びは大切ですが、それ以外の学びもあるとベストです。
遅ればせながら、私もいま学び続けています。
■ 文/あそ たいぞう
mezame事業責任者。60歳を過ぎて初めて女性の健康とキャリアについて考える日々を過ごす。はたらく女性二人の父。社労士試験に挑戦中。
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*さんぎょうい株式会社が提供するはたらく女性の健康キャリアサービス「mezame」へのお問合せはこちら▼▼から!
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