テレワーク中の会社でキャリア面談をおこなうと…?【その1 メンバー編】
こんにちは。
キャリアコンサルタントの東公成です。
新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言で、多くの会社がテレワークを導入しました。東京都内でテレワークを実施している企業は41%に上ります。
「接触を70%減らす」を目標にとにかく始めたテレワークも間もなく2ヵ月。自宅での仕事に慣れない従業員には想定外のストレスがたまっているようです。
寝て起きて、ごはんを食べて仕事する…を一人黙々と繰り返す単身者の孤独感、一方で既婚のメンバーは、ビデオ会議の時間と場所の争奪戦で夫婦関係が険悪になったり、仕事をしながらの子どもの世話に疲弊してしまったり。
そして、組織のメンバーシップにもさまざまな影響が出ているという話もあちらこちらで耳にするようになりました。
そんな状況を脱するために、注目してほしいのがキャリアコンサルタントの活用です。
キャリアコンサルタントの存在は、一度は耳にしたことがあるけれど、
「実際にどんなことをしてくれる人なのかはよくわからない」
「導入したらなにかいいことがあるの?」
「え、転職を勧める人じゃないの??」
という人のほうが、きっとまだまだ多いと思います。
そこで、キャリアコンサルタントが組織にどのようなメリットをもたらすのか、人事や経営とどのような連携をしていくのか、フィクションとは思えないフィクションシリーズにてお伝えしていこうと思います。
きっと今日も、日本のどこかでこんなやりとりが……。物語の舞台は東京都内にあるメザメ・エンジニアリング株式会社 開発第一課です。
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毎朝1時間超のオンライン朝会にみんなウンザリ…
「照森くんさぁ、昨日の進捗報告からぜんぜん進んでないじゃないか!テレワークなのをいいことに遊んでいるんじゃないの!?」
朝のオンライン進捗報告会議で落合課長のイライラが炸裂しています。
「いえ、あの、○※□▲◎なので、昨日ご報告○※□▲◎」
どうやら照森さんの自宅はネットワークの調子が悪いようで、報告内容がよくわかりません。
「え、何?わかんない!もういいですっ💢」
ヒートアップする課長に、オンライン会議に出席している同じ課のメンバーはウンザリです。朝9時から15分間という予定の進捗会議は、このところ毎日1時間以上かかっています。
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そんな折り、テレワーク中のすべての社員を対象に、外部から招いたキャリアコンサルタントによる面談を会社が実施することになりました。
「え、社外の人に話すことなんてないんですけど……」
とあまり気が進まなかった照森さんでしたが、そうこうしているうちに予定の日時がやってきてしまいました。
「初対面の人とマンツーマンでビデオ電話なんて……」
そう思いながらも、照森さんはしぶしぶPCに向かいます。
テレワークが始まってからすべてがうまく行かない…
キャリアカウンセラーの多聞(たもん)さんは、こう切り出しました。
「照森さん、初めまして。キャリアコンサルタントの多聞と申します。 今テレワークでお仕事をしているみなさまにお気持ちをうかがっております。どんなことでも結構ですのでお話しなさいませんか?」
人事評価を目的としていないこと、キャリアコンサルタントには守秘義務があるので、この場は安心安全であることなどを説明した後、多聞さんは照森さんの言葉を待ちました。
しばらくの沈黙の後、照森さんは絞り出すような声で語り始めました。
「テレワークが始まってからいろいろなことがうまくできなくなっています……」
《キャリアコンサルタントがうかがった照森さんの話》
照森さんは、開発第一課の係長。
8歳と6歳のお子さんがいるワーキングマザーです。
小学校の臨時休校とテレワークが同時に始まり同じく在宅でテレワークをしているご主人と自宅で一日中パソコンに向かっています。
お子さんたちも学校に行けずストレスが溜まっているようでテレワークが始まってから家族の雰囲気が一気に悪くなっています。
テレワーク開始前は、チームのメンバーとうまくコミュニケーションをとりながら仕事を進めるのがとても好きでしたが、自宅での仕事はなかなか進みません。
他のメンバーとのコミュニケーションもメールかチャットが中心で、テレワークが始まって2週間目くらいから、ちょっとした言葉の使い方がきっかけでギスギスしてしまったり。
照森さんだけでなく、チーム全体の生産性も目に見えて落ちてきたように感じます。
落合課長のイライラが始まったのも同じ頃。
「テレワークだとお互いの進捗が見えにくいから、コミュニケーションアップもかねて、毎朝15分くらいの進捗会議をやろう!」とテレワークと同時に始まったオンライン会議。
最初のうちは珍しさもあって楽しい雰囲気だったのに、今や苦痛。テレワークが始まってたった1ヵ月で課長との信頼関係も消滅寸前かもしれないと、肩を落としました。
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キャリアコンサルタントの多聞さんは、その後、開発一課の他のメンバーともオンラインで面談を行い、その多くが照森さんと同じようなストレスを感じながらテレワークをしていることを知りました。
さて、キャリアコンサルタント多聞さんは、明日、課長の落合さんとのオンライン面談に臨みます……。
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文/東 公成(あずま・きみなり)
国家資格キャリアコンサルタント、アンガーマネジメントトレーナー、プレゼンテーショントレーナー
さんぎょうい株式会社が提供する、はたらく女性の健康とキャリアプログラム「mezame(めざめ)」では、組織で働く従業員のみなさんが長くイキイキとキャリアを重ねるためのサポートをしています。
女性従業員のモチベーションアップ、定着、ライフイベントと仕事の両立支援等に課題をお感じの企業さまからのご相談をお待ちしています。