First nameはなぜFirstなのか
日本語や中国語では姓名の順で名前を書くのに対し、英語を含めたヨーロッパの言語はほとんど名姓の順で名前を書きますが、これは何故でしょうか?
ofの使い方に由来する説
姓は一族や地名から取られますがその際前置詞ofに相当する語を用いて「Aに所属するB」というような表し方をします。中学英語で"A of B"を「BのA」と習ったかと思いますが、その逆転が姓名の順番にも表れているという訳ですね。一例を挙げておくとÆthelwulf of Wessex(ウェセックスのエゼルウルフ)などでしょうか。イタリアのレオナルド・ダ・ヴィンチもdaがofに相当する語で、ヴィンチ村のレオナルドという意味です。
言語の特徴か、文化の特徴か
結論から言ってしまって、リサーチ不足のため根本はどこから来ているの、ということは分かっていません。
前述の名前やofの使い方をもう少し一般化すると、先に小さい概念を述べ、後にそれを包含するような概念を述べると言えるように思えます。このような特徴は英語圏の日付や住所の表し方にも見てとれます。すなわち、dd/mm/yyyyで日付を表し、番地/市/州で住所を表すというものです。このような表記法は英語圏だけでなく広く世界中で使われていますが、おそらく19世紀から20世紀にかけて欧米の植民地化の影響を受けたところも大きいでしょう。
姓が先の言語
一方で、姓を先に書く言語が話される国は日中韓のほかにタイやベトナムなどの東南アジア、欧州ではハンガリーやフィンランドといったものが挙げられます。日中韓はいずれも日付、住所を広い概念→狭い概念へ記述します。しかし、この3国は文化的につながりが強いため言語的な影響によってそうなったのか、中国の影響を受けてそのようになったのかというのは判然としません。
タイ語やベトナム語も別の語族に属する言語ですが、あまりにも中国に近いためその影響を排除するのは難しいでしょう。また、言語的にも基礎語彙ですらシナ・チベット語族の影響を受けています。
それでは、欧州のハンガリーやフィンランドはどうでしょう。ハンガリー語やフィンランド語は他の欧州の言語と性質が異なり、語族としてもフィン・ウラル語族に属する言語です。これらはユーラシア・ステップに住んでいた遊牧騎馬民族に由来すると考えられており、シナ・チベット語族の話者と早い時期に交流があったと考えられます。また、日付や住所の表し方については欧州の文化的影響を受けたことが否定できません。