主夫の日記 2000年5月31日

5月31日 寿司屋にて..... 

皆さんは寿司屋に行った時、自分のお茶が無くなった場合、なんて言いますか?

その場合、最近多く耳にするのが、「あがりちょうだい!」というセリフ。

ひどいときには、「あがりさしかえて!」なんて言ってる人がいる。

お茶をあがり、醤油をむらさき、卵を玉、会計することをおあいそなんて、言うと、ちょっと通になったように思うのでしょうが、これらは元々、職人同士が使う符丁であって、それはお客さんに気を使わせないように、あえて使っていたものなのです。

つまりこれをお客が使うということは、客自身が店に謙っているようなものなのです。

特に良い寿司屋に行くときは、決してこの様な半かな符丁は使わないほうが、逆に良いお客に思われます。

そんな符丁を覚えるくらいなら、魚の旬を覚えて、今何を食べれば美味しいかを知るべきだと思います。

寿司屋というのはお客を見てネタをだす傾向がいまだ強いので、一度なめられると、だすネタの質をどんどん落としてきます。

まあ、そんな寿司屋は行かなくても良いのですが、飛び込みで入った店でも美味しい寿司を食べるためには、やはりそれなりの知識はあったほうが良いと思います。

また逆に、そういった面から、入った寿司屋の善し悪しを測ることも出来ます。

先日も、昼食を食べに、安くて新鮮で人気のある梅ヶ丘の某寿司屋にいったのですが、量も多いしネタも一部を除いてそこそこ美味しい。

そこで、お茶を頼んだところ、見習い君が出てきて一言、「あがりさしかえですか?」とお客に聞いたのだ。

たかがこうした一言だが、職人の世界でこうした細かい教育が出来ていないところは、その組織全体で、なにか緩みがあるのではないかと思ってしまうのだ。

実際、最近は銀座、渋谷と支店を出して伸びているように思えるが、その裏、寿司屋のもっとも大事な味の評判は芳しくない。

薄利多売、人件費の削減、そうした努力も大切だし、その結果である、

安くて量が多くてそこそこ食える寿司のニーズもあるのは認めなくてはならない。

でも、どうしても寿司には、それぞれの職人のぬくもりや、食材のこだわり、どうしてもそこに行って食べたいと思わせるような雰囲気を求めてしまうのは、それだけ私が古い人間だということなのでしょうか?


※この記事は、私が以前自分のWEBサイトの掲載していたものをアーカイブとしてこちらに転載しているものですので、あくまで過去の自分の想いですので、現在の自分の考えとは違う場合もあります。

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