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一人で進め。(Ekla cholo)

「タゴールソングス」という映画を見た。

コルカタになんども足を運び、ここ1年は住んでいた私がみるこの映画と、
インドなんて、コルカタなんて、タゴールなんて知らないと言う人がみるこの映画はきっと全く違うものなのかもしれない。

懐かしいと思うような風景がたくさん出てきて、ベンガル文化の美しさを再認識した。コルカタにいた時は、「こんな過去の栄光にすがった文化なんて...」と毛嫌いしていたところも正直あった。
なんだって色々理由をつければ嫌いになれるし、好きにもなれる。
そんなことを映画を通して再認識した。
結局は、自分次第なのだと。

私は以前インドの社会問題を取り扱う仕事をしていたので、どうしてもここがダメで、これもダメでと問題にばかり目が行きがちだった。こんなに問題があるのに、どうして過去の偉人(そうたいして人数もいない)ばかりを自慢するんだろうか。と、向上心のなさにいらつきをなんども覚えた。

いや、すごいんだ。
日本で100年前の人といえば、夏目漱石なんかがいる。もちろん、今の日本人だって夏目漱石を読む。
だけど、ベンガルの100年前の人、タゴールはもっとすごい。
詩を書いて、歌を作って、劇を作って、絵なんか書いちゃったりして。
今でも、ベンガルの人々はタゴールの文学を読むし、歌も歌う。
なんて言ったって、インドとバングラデシュの国歌を作ったのは彼なのだから。

大学でタゴールについて学んだけど、いまいち魅力がわからなかった。
『最後の詩』は、なんか好きだったなと言う記憶があるくらい。
でも、タゴールの作品、特にタゴールソングをきちんと意味を理解しようとして聞くとガツンと心に来るものがあった。

「一人で進め」
誰も自分の声を聞いて、ついてきてくれなくても、
一人で進め。

仕事をやめて帰国し、これからやりたいことがある。
周りのみんなはいい企業に就職するか結婚して幸せそうで、
自分はニートのような暮らしをしている。
いいのだろうか。

大学まで出してくれた親にも申し訳ない。
友達に会えば、自分と比較してしまって、悲しくなる。
惨めになる。

人と違うことは怖い。
違うことで楽になる部分もあるけれど、暗く、惨めで辛いことだってたくさんある。

それでも、いいんだ。
否定的な声を受けても、自分がそれでいいと譲れないものならば
心の声をしっかり受け取って、その通りにすればいい。
一人で歩いて行けばいいんだ。

今の私に、100年前のベンガルのおっさんが書いた歌がこんなに心にしみるとは思わなかった。

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