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マインドフルネスとは part 1

昨今マインドフルネスという言葉は日本でも大変浸透してきました。マインドフルネスがカタカナ用語であり、日本語でしっくりとくる翻訳が私が知る限りではないため、何となく怪しい!と感じている人は少なくないはず。

マインドフルネスの実践に大いに助けられてきた私の「マインドフルネスをわかりやすく解説したい!」という熱い思いとは裏腹に、これがなかなか至難の技なのです。なぜなら、マインドフルネスの歴史はとてつもなく長いだけでなく(つまりブッダの頃から)、ルーツである仏教にもたくさんの宗派があり、偉い学者さんや僧侶の中でも統一した見解はないからなのです。自分なりに解説を試みようと思ってはいますが、これからも(多分一生かかって)改訂が加わっていくことになりそうなので、とりあえず part 1と題名につけました。また、ただの解説というよりは自分の経験と照らし合わせて紹介したいと思います。さらには、世に中にはマインドフルネスを紹介する良書がたくさんありますので、少しずつ紹介したいと思っています。たくさん書くと長くなるので、本当にちょっとずつ、ちょっとずつ筆を進めたいです。

マインドフルネスは、仏教が由来です。Satiというパーリ語の仏教用語が1881年にRhys Davidsにより英語に翻訳された言葉がmindfulnessだったそうです(Gethin, 2011)。無常観などを含む仏教的な世界観や教えなどの真理について「気づく、思い出す、思い起こす」というニュアンスが含まれた言葉です。Mindfulの逆、mindlessという言葉を思い浮かべると理解がしやすいと思います。家を出てから駅に着くまでの15分間、マスク着用を忘れずに鍵をかけたことが意識にあり、今日の体感温度や気分、目に入ってくる景色、地面に着地する足の感触、肌に触れる空気や太陽の暖かみ、鳥のさえずりを感じながら歩いた人は、mindfulに歩けたということになるでしょう。家を出た時は眠くて怠かったけれど、駅についたら爽快な気分になっているかも知れません。反対に、「あれ?鍵ってかけたっけ?(戻って確認)それにしても、変な夢を見たな。だって昨日上司に怒られて落ち込んでたから、、、。大体、あの上司はいつもそう、、、威圧的で嫌になっちゃう!私って何でいつも損な立ち回りしかできないの。そうそう、会社についたらあの資料を真っ先にコピーして提出しなきゃまた嫌味言われる。今日、友達暇かな。とりあえず愚痴聞いてもらお!あ、まずい、走らなきゃ間に合わない!」などと、とりとめのない考えで頭がいっぱいで落ち着かない調子で改札に滑り込んだ人はmindlessに駅に着いたというわけです。(これは事実に基づいた作り話です。)こんなことが毎朝だったら何となくスッキリしませんよね。

つまり、マインドフルネスとは、簡単に言うと今この瞬間に目の前で起きている事象に対して開かれた注意を向けている様を指している言葉です。また、いっときは注意を向けることを忘れてしまっても、また注意を対象に向けることを思い出す様でもあります。さらには、目の前に起きている事柄がたとえ不快に感じられたとしても、とりあえずは好奇心を持ってその事象をみてみようと言う開かれた態度をも指しています。(この定義は、マインドフルネスのすべてー「今この瞬間」への気づき Susan L. Smally & Diana Winston著 丸善出版 を参考にしました。)

実は、「目の前のことに意図的に開かれた注意を向けられる」と言うスタンスは、地味にも思えますが、ものすごいパワーを発揮するのです。自分の頭の中が、無自覚に自動的にマシンのように闇雲に生み出す解説・分析・無理解による混乱や不安に振舞わされるのではなく、もっとシンプルに今実際に起きている内向的感覚や知覚に基づいた情報をもとに、まさに地に足がついた生き方ができるようになってくるのです。そのパワーを自分の疼痛患者のストレス軽減に役立てようと着目したのが、マサチューセッツ大学医学大学のジョン・カバットジンでした。1970年代後半に彼が開発したマインドフルネスストレス低減法 (Mindfulness-based Stress Reduction: MBSR)は、彼のたゆまぬ努力と熱意により医学・科学界で成果が認められています。今やMBSRは最も学会誌において研究発表されているマインドフルネストレーニング手法と言えます。更には心理療法や精神療法に取り入れるためも多くの手法が開発されうつ病患者や不安症などの治療に役立てられるようになり(MBCTやACTなど)、またストレスと隣り合わせでもありなおかつ効率性を常に追求するビジネス界でも脚光を浴びるようになったわけです。

でも、私が本当に話したいことは、ビジネス本で叫ばれる効率性を追求したマインドフルネスではありません。でも、長くなってきたので、今日はこの辺で終わりにしますね。また続編に続きます。

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