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目付字の原典『勘者御伽雙紙(かんじゃおとぎぞうし)』序文

2025年の大河ドラマは、江戸のメディア王と言われた版元、蔦屋重三郎です。版元は、彫師が版木に字や絵を彫り込んで、摺師が一枚一枚和紙に印刷したものを出版します。そうやって多くの書物が出版され、写楽や歌麿、北斎などの浮世絵は世界を席巻していきます。もしこの技術が無ければ、後世の私たちは、先人が作り出した豊かな日本文化を享受することはなかったと思います。

今回、紹介する子ども向けの算数本である『勘者御伽雙紙』もそうです。私は、平安末期に発祥して江戸時代に花開いた目付字について研究しているうちにこの本に出会いました。目付字は、この本の下巻16番目に桜目付字、17番目に名香目付として登場しています。この本の序文が、本当に素晴らしいので皆さんにご紹介しますね。
なお、私の勝手な意訳なのでご了承ください。

『勘者勘者御伽雙紙』序文
 私は幼いころから父に習い算学を修めてきた。今まで私が聞き伝えた算問、あるいは心にうかんだ方法を 初心者のために書きとめてきたが 人に版木にちりばめて印刷したらどうかと勧められた。そこで「勘者御伽雙紙」と題して、子どもでも分かるような本に仕立てた。学問の浅いところから興味を持ちやがて深い学びにつながるように。

寛保三年(1743)亥年
中根彦循(なかねげんじゅん)(1701~1761)

いかがでしたか?
次回は、実際に桜目付字のページを頑張って読んでみたいと思います。

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