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「お笑いと会議はおんなじだ」というはなし
「写真撮って」と娘にせがまれたので勿論快諾。
そんな時にやるお気に入りの「ボケ」がある。
1枚目は相手を撮るふりをして、バレないようにインカメラで自撮りする。
相手は気付いてないから撮った写真を確認してもらうと子供達は見た瞬間にびっくりして笑い出す。
ふと、その「笑い」の体験を時間軸で分解してみた。
笑いの構造分解(時間軸)
1、期待(未来)
「自分が写っている写真」という「想像している未来」の存在だ。
そして、シャッターを切ってもなおその「期待」は撮られた写真を見るまで続く。
2、裏切り(現在)
そして写真が目に入った瞬間に0.00数秒くらい「驚き」があるはずだ。
なぜなら「こう撮られているはず」というヴィジョンとは全く違う画像がそこにはあるから。
ここには現在感じている驚きというものがある。
3、種明かし(過去)
期待が裏切られた瞬間に、これも0.00数秒で撮影者が「何をしていのか?」という過去を思い出して「あ!自撮りしてたんだ!」という期待と過去に「とられるべき行動」とのギャップへ驚く。
まるでマジックの種明かしの感覚で目の前にいる撮影者を見て笑い出すのだろう。
これは価値創造のフレームになる
ひとつめ、この構造は価値創造の観点に応用できるフレームワークになる。
顧客にはいろいろなパターンがあるけど、この事例では未来→現在→過去(→現在)を顧客に体感してもらうという切り口で有効だ。
例えば
1、未来(お客さんの日常を想像する)
いつも通りのテイクアウトのコーヒーを買いに行く(いつも通りという未来予想)
2、現在(お客さんの驚きを想像する)
カップを受け取る。よく見るとメッセージ「今日もがんばってくださいね!」と書かれている(0.00数秒の驚き)
3、過去(お客さんの振り返りを想像する)
店員さんがコーヒーを入れていくれている時に書いてくれてたんだ、とか最近よく通っているから覚えてくれてたんだなどの過去から「その人が認識していること」という自己承認欲求が満たされることや「どのタイミングでスピーディーに書いたんだろう」という気づかいへの労いなどが価値として発生する。
これ以外にも時間軸が違うパターンの価値創造もあるけどカスタマージャーニーをフレームに落とし込んでも面白いかもしれない。
ここでの大きな気づきは「人間はタイムスリップで価値を感じる」ということだ。
実際にはタイムスリップしないけど絶えず人間は脳内でタイムスリップをしている。
過去現在未来という3軸の揺さぶりが人間の喜びを生み出したり、時には怒りにもなったりという視点は非常に面白いのでぜひ皆さんも様々な出来事で「どんなタイムスリップをしていたか」を解析していただきたい。
脳の使い方の練習
会議にしても、遊びにしても、笑いでも当たり前のように僕らは自分の脳だけを使ってしまいがちだ。
しかし、「三人集りゃ文殊の知恵」ということわざが言わんとしているのは
多くの人数が集まると凄いアイデアが創発するんだということ。
そこで大切なのが「テキトーに、思い浮かんだことを、楽しく」というキーワード。
アイデア出しの時は特に会議する時には必ずこれを伝えてみんなに適当なことを言ってもらっている。
何故かというと、上記の「撮影ボケ」という笑いにヒントがある。
僕は撮影する前から「撮って〜」と言ってきた娘がどのような反応するのかが分かっていた。
第三者的に娘の脳の動きが予測できるわけだ、未来→現在→過去と脳内で想像するだろうということが。
そして、そのようになったわけだけど最後の種明かしの瞬間に「脳がリンク」している状態になる。
何故なら彼女の想像する過去の僕の行動(イメージ)と僕の実際に行動(事実)とが目撃をしていないのに一致し、さらに撮影者の「思惑」まで「悟った」状態になっている。
この状態を僕は「脳がリンク」した状態と考えている。
遊びも会議もおなじだという理由
会議でもそれを意図的に使う。
例えば一昨日「デリバリーする手法」のアイデア出しがあった。
まずは「なんでも言っていいよテキトーであればあるほどいい」と言って促す。
すると「りんご」とか「ヒルナンデス」とか「大喜利」とかテキトーな言葉が出てきた。
それを切り口にして
●「りんご」→赤い→赤い服→「年中サンタの格好で行く?」とか
●「ヒルナンデス」→奥様→家事→「レシピカードを都度つける?」とか
●「大喜利」→お題とボケ→「毎回写真でボケてを渡して、次回注文の時にボケてもらう?」
という具合に通常では発想されないアイデアが飛び出す。
これは「テキトーに言う」ことによって相手の脳が連想ゲームを始め、そこから出てくるキーワードによりさらに連想が加速し、最後に議題と掛け合わせてアイデアとなるということだ。
これは極めて生産性が高く、クオリティの高い価値が生まれる。
人間が他人の脳を使わなくなる理由には
「正しい答えをいわないと」とか
「変なことを言ったらどう思われるだろう」とか
「凄いことを言ってやろう」とか
さまざまな「囚われ」に影響されていることが多い。
この状態があると創発はされない。
自己中のドリブラーしかいないサッカーチームのようなもんだ。
実は、むしろこの状態の会議がほとんどなのではないだろうか。
昔から根拠はなかったけど
「人を笑わせるのが上手な奴は仕事ができる」と言ってきた。
この出来事を通じてイメージから体系的に落とし込めそうな気がしてきた。