轢き逃げ裁判3回目にして初めて法廷に行ってみた。弁護士なんてなるもんじゃねえ。
今日は交通事故裁判の、3回目の期日だった。
2017年の5月17日に轢き逃げに合い、まだ今だに賠償で揉めている。
いまだに相手の保険屋は何もしてくれない、、と言うかする気がないらしい。こちらから裁判を起こさなければ何もなかったかのように、なってただろう。
むしろ、裁判上等と言うノリで来ている。
東京海上(立川支部)とはそういう保険会社だ。
さて障害者になり困ったことといえば、会社の経営のことである。
この体では保険になかなか入れないのだ。
団体生命保険になかなか入れない、と言う事は、いわゆる代表者保証で融資が受けれないと言うことだ。
これがどういうことかは、経営者であれば背筋が凍る思いの話であろう。
そんなこんなで僕の会社は8期目に突入し、借金は僕からしかないと言う超優良企業であるが、事故のおかげで純資産の部が−である。
ちなみに僕から会社への貸付は約80,000,000円、よくまぁこれだけ資金を持ってたなと思うが、いろんな人の協力や、妻の両親がいなかったら、銀行から借入していたら…おそらくもう日本にはいれなかったであろう。
こういうことを考えると、保険屋の仕事と言うのはそもそも「即時被害回復」に努めると言うことが鉄則ではないのかと思うが、利益を追求する保険屋としては、大きな金額はとにかく払いたくない、後回しにしたいと言うことが明確にわかってきた。
保険屋さんの仕組みと言うものは、何も保険で儲けるだけではない。その加入者の資金を利用し、投資に突っ込む。それでまた利益を生み出し…、と言う、経営のもと成り立っている。
つまり、後回しにすればするほど、僕に払うべき金額を他の投資事業に使用することになり、それによりそのズレた時期にさらに利益を生み出せる、と言うあまりにも醜い話ではあるが、それを地でいっている今回、もう期待する事は諦めた。
僕のひき逃げと言うものは、犯人が逮捕されるまでに約3ヶ月、つまり2017年の9月になったわけで、その時の事は今にも鮮明に覚えている。
轢き逃げ犯人のパチンコ屋の社長、木村なんちゃらは警察曰く、任意同行を求めた際にすでに弁護士を連れてきたらしく、ひき逃げを否認をしてはいるが、この刑事記録を見ていただければ分かる通り、刑事さんも刑事でなかなか引き下がらなかった。
むしろ検察に3回も事情聴取をされ、挙句証言を崩されているこれを見ると、なかなか筆舌にしがたい。
しかしここで罪を和らげるために、
「被害者(僕)には、保険屋からしっかりとした対応にて、弁済させていただきます。」
と言うことで、刑事、検察とも、保険会社に払わせる=賠償が可能と言う認識らしい。
とんでもない話である。検察さんにはかなり頑張っていただいたが、結果が未だにこれではもう、どうしようもない話である。
だから仮に、今後もし僕がひき逃げしてしまって、逮捕されたとしたら、ひたすら否認し、被害者には保険会社に対応させますと言い張ろうと思う。
本日、法定が終わり、相手の弁護士である鈴木に、話をさせていただいた。
「いつまでこの茶番続けるつもりなんですか?いつまで引き延ばせばいいんですか?」
鈴木は言った。
「被告(ひき逃げ犯木村)と言うよりは、(ゴネてるのは)保険会社である。かなりの高額な基礎収入のために、こちらとしてもどうしても慎重にならざるを得ない。逆にしっかりここで判決が出れば保険会社としても払わざるを得ない」
と。
でしょうね、逆にそれでも払わなかったら怖いわ。
一言、僕が強烈なことを言ってしまった。
「人をカタワにした轢き逃げ犯を庇い、その人間の生活を、人生をぶっ壊すために支払いをとにかく引き伸ばし、難癖をつける。あなたはこんなことをするために弁護士になったんですかね、僕にはそのような事ができる精神力はありません、せっかく頭よく親に産んでもらって、使い道がこれでは親も泣きますよ。」
鈴木はそれを聞いて無言であった。
僕と、僕の弁護士はそのまま、鈴木を残し、法廷を立ち去った。
別に本当はそんなこと、言おうと思わなかった。
弁護士は正義の味方ではない、クライアントの味方である。
そんな事は僕だってわかっている、悪いのは鈴木ではない、轢き逃げの木村、保険会社である。
弁護士も、その事務所のボスに仕事を斡旋され、仕事をしている。むしろ若い弁護士は相当な経歴を持ち、大きな事務所に(4大事務所など)属していなければ、仕事も最初はかなり限られると思う。むしろ自分の性善説に基づいたポリシーなどを持っていれば、間違いなく食いっぱぐれてしまうであろう。
別に僕はその弁護士に恨みがあるわけではない、ただ一言「もったいないな」と思う気持ちが強いのである。少なくともこの鈴木と言う弁護士は、僕が見た数多の弁護士に比べると、すごく真面目でいいやつな気がするのである。
過去に30,000,000円ほどの横領された時があったが、その時に横領した奴についた弁護士が、いかにも「悪徳です!」と言う面をした若い弁護士で、左腕にはその年では付けれそうにもない高級腕時計をしていた。喋り方もめっちゃくちゃ、ちょっとしたヤクザ並みの口の聞き方であった。
そういう弁護士に比べると、この鈴木弁護士と言う方、本当にしたくないんだろうなと言うことがまちまちと見え隠れしていた。
僕と僕の弁護士は、東京地裁の駐車場の、僕のシトロエンの中にいた。
別に交わす言葉があるわけでもなく、最近喫煙場所がなくなった東京地裁ではもうタバコを吸う場所がなく、2人のヘビースモーカーは車の中で中量の一服をしていた。
僕の弁護士が、「あ、鈴木さん」といった目線の先には、鈴木がいた。僕らに気づく様子もなく、顔がめちゃくちゃ暗く、駐車場の先にある階段の下に向かって歩いていたのだ。その階段の横に、ちょっとした植え込みがあるのだが、そこに彼は荷物を置き、荷物の中を確認し、大きなため息をついていた。
僕の弁護士が
「彼、この仕事が終わったら、今勤めている事務所辞めちゃうかもしれませんね…」
「そう思いますか?」
「少なくとも彼にはまだ、正義感があって弁護士をしていると思います。もちろん多少お金はあるだろうが、岩本さんが言いたあの言葉は、善意のある弁護士にとっちゃ強烈なストレートもんですよ」
「で、あったらいいけどね。」
僕は弁護士にはもう、過度な期待をしないようにした。
でも私だって、正義の味方じゃねえんだよ。
自分が実際、とんでもない目に遭い、左足は不自由になり、様々な体に支障が出てきてて、意識が飛んでた3ヶ月弱、仕事ができなかったことにより、何千万と言う損害が出て、その被害弁済のために何回も話をしたが支払いを拒否、のばされ、はぐらかされ、挙句の果てには白を切られ。ただ単に、私はしっかり金を払っていただきたいだけなのだ。そして自分が迷惑をかけた人には返済をしたいし、自分だってそのお金で体に負担がかからないような家を建てたいと思うし。
誰も彼もが正義の味方ではなく、ただただ自分のために戦っているのだ。
ただそこに僕が常に思うのが、やはり正義はなければいけないと思う。
でなければ楽しくもないし、ただただ心をすり減らすだけだ。
弁護士過多と言われるこの時代に弁護士になった以上、自分のポリシーを持って嫌な話は断れる、自分のしたい仕事だけする。そのような弁護士が何人いるのだろうか。
皆が思っているほど、今弁護士と言うものはそんなにいい仕事ではないのかもしれない。
なぜか自分のことの裁判なのに、自分が発した言葉で帰り際の相手の反応を見てしまい、なぜか心が傷ついていた自分がいた。
「玉につけた傷は磨けば消えるが、言葉につけた傷は消せない」
昔の人はいいこと言うなあ、「俺」と言う仕事も大変だ、と思い、タバコを吸いまくった、そんな冬の1日だった。
Bisei
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