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Tさん

 いつものように帰宅して、ポストを開けたらマンションの改修工事通知だった。エレベーターに乗って、どこの部屋の工事かなと再び見てみると、となりの部屋だった。    引っ越してきて、お隣のTさんと通路でばったり会ってご挨拶をした。管理会社には、入居時のご近所へのご挨拶はどうしたらいいかを尋ねたら「最近はいろいろです」とのことだった。ご挨拶したとたんに、いろいろ付き合いができたら面倒だなと思い、ひとり暮らしだしなと挨拶回りをしないことにした。しかし、引っ越してきてみると、エレベータ

    • 書いて考える

       下半期にはいった。仕事は年度区切りなので、そういう意識が強いが、占いなどは、「2024年下半期の運勢」とか書かれてある。  私の年代でなくても、この頃はあちこちで「小泉今日子」や「稲垣えみこ」の名前が話の中でよく出てくる。彼女たちの暮らしぶりや、50代も終盤にあっての心の変化やこれからのこと、ひとり暮らしのいろいろなことが、共感を呼んだり、羨ましく思えたりしているのだろう。私も、ひとり暮らしを始めた4年半前、それまで30年近く住んだマンションから引っ越しをして、荷物もどっ

      • 居場所のものがたり 「夢千代日記」

         高橋竹山のドキュメンタリーをアマプラで見ていたら、突然終了してテレビ画面は「続夢千代日記」のタイトルロールとなった。予約していた時間になったのだった。  早坂暁という脚本家は、昭和50年代のNHKのドラマを見ていた人には馴染みのある、いささか懐かしさ(この「脚本 早坂暁」と表示されるのを見ていた頃のことを思い出して)も感じる名前なのではないだろうか。  「夢千代日記」が放送されていた当時、私は家にいないで彼氏と遊んでばかりいたのでじっくりと見た記憶がない。その頃は、次姉