フランス移住手続き体験記
海外移住って大変…しかもやることたくさん…。
でもその割に情報がまとまってない。ここに僕がフランス移住に関して行った手続きを述べる。あくまで体験記であり、内容はまとまっておらず長文なので注意。それでもこれから移住しようという人にとって、ある程度の助けにはなることを期待して公開する (言葉が汚いのでのちのち一部を有料化するかも)。
必要書類は人によって (渡航目的によって) 異なるので、フランス大使館のページから確認すること。以下は一研究者が、現地の研究所にポスドク雇用されるまでの過程である。会社などで転勤・派遣の場合、手続きはもっと簡単になると思われる。
パスポート
更新期限が一年以内の場合は普通に更新できるが、そうでない場合は、「パスポート期限内に帰国できない可能性がある」ことを示さなければならない
今回僕のパスポートは2年にギリギリ足りなかったので、2年契約を示す書類でパス (ATTESTATION OF CONTINUITY OF WORKという書類を発行してもらった)
でも先方の手続きが遅くてなかなか時間がかかった。ようやくスタートライン
ビザ
長い長い戦いの始まり、そして初めてのフランスという国からの洗礼。必要書類は下記のリンクから確認できる。僕が準備した書類については後述。
まず、基本的にフランス大使館はクソ。
フランス大使館に限らずたぶんこの世のお役所はすべてクソ(日本のお役所は神でした。日本のお役所はそんなに ”お役所仕事” してない)。でもフランス大使館は特にクソ。まずビザセンターの受付が平日の朝9時から11時30分までってどういうことだよ。働け。
メールでの問い合わせへの対応もゴミ。サイトがわかりづれぇから聞いてんのに、「答えはここにあるよ!サイト見てね!(URL添付)」じゃねぇんじゃ。
とにもかくにもビザセンターの面会を予約すること。多分これが全工程で一番時間がかかる。今から1ヶ月くらいあと、出発の1ヶ月以上前の日時に予約することを推奨する。
申請当日
予約時間にビザセンターに向かうと、入り口に「現金お釣りなし(99ユーロ=14194円)とレターパック用意しろ」と書いてある。
ウェブサイトに書いとけやクソが。コンビニまで往復させられた。でも一円単位でそろえるのは無理だしもういいや…。
んでお釣りあるんかい!
ちょい遅刻にはなったがそこは向こうはどうでもいいらしい。
入り口で荷物検査があります。ドアも半自動 (警備員が操作) しているし、金属探知機もあって小さいながら本格的。
ビザセンターにテロをかましたくなる気持ちはわかるので、安全保障は重要。無駄に時間と手間がかかるので、時間に余裕をもって行きましょう。
終始塩対応。受付は日本人のおねぇさんだったけど、ここはフランスか?ってくらいやる気ない。不明なところがあったので質問をしてみたものの、「ここでは質問とか受け付けてないので!ウェブサイトを見てください。」とのこと。
一刻も早くAIに代替されろ。パスポートのコピーを要求された。ウェブの必要書類の欄に書いてなくね?
「そこの酒屋でコピーできるので行ってきてください」
→旧式なコピー機にもかかわらずカラーコピー50円。…は?コンビニでええやん。なんでこっち案内した?
再入場しようとして入り口の別の張り紙に気づいた。
「受付に来る前に、書類を (これこれこういう順番で) 揃えてください。これはマナーです。」は?マナーを?語る???あなたが??????
そんなこんなでキレ散らかしたものの、約二週間後には無事にビザが送られてきた。ふぅ。
以下は僕のビザの取得に必要だった書類たちの補足。
ちなみに、こちらのページから必要書類を確認することができるが、自分のカテゴリがわからん…。先輩に確認すると、"Your plans :" は "Talent Passport - International Talents" とし、"Main purpose of stay :" に "Scientist - Researcher / Talent" を入力する。文法的に意味も分からないしMECEでもない。クソ。ちなみにアーティストもTalentビザから選択できる。
Application Form
フランス大使館のページから作成し、印刷して持参。基本英語なので頑張って…。
正直移住先の住所なんて決まってないので
適当にさしあたり雇用先の住所と電話番号を入力したら通った。
出生証明書(戸籍謄本法定翻訳)
日本には出生証明書はない。ので、戸籍謄本の翻訳で代用する。
法定翻訳は指定の翻訳サービスに発注。
今回はフランセスパスが良さそうだった。翻訳の料金は戸籍謄本の人数や文字数、ページ数に依存するので要確認。
戸籍謄本を送付したところ、「アポスティーユないけどいいの?」アポスティーユ?!なにそれ?!→下記
結局翻訳会社の人が一番親切に質問に答えてくれた。どうやらアポスティーユのついた文書を翻訳してもらわなければならないらしい。
アポスティーユ
公文書が公文書であることを示すための、外務省のお墨付き。
フランス大使館のホームページに、ちっちゃく「アポスティーユ付きの戸籍謄本が必要です」って書いてある。リンクもなければ説明もなし。
クソ。
外務省のホームページから申請書類を見ると、「外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」とある。外国公文書の認証を不要とするための認証書類ってコト?!どういうコト?!?!
外務省は比較的早めに対応してくれた。行けば翌日とあるし、郵送では数日。とりあえず送ってみたところちゃんと数日で返信が来た (
いちいち返送用レターパックとかはダルさしかないが。あと370円は地味に高い)。記載通り数日で対応してくれ、返信が送付されてきた。フランス大使館の対応と比較すると、日本の役所は神に見える。
Convention d'accueil (受入協約書?)
大使館の予約を待っているときに突然雇用先から送られてきて、なんぞこれ?と思ったがこの先のあらゆる手続きに必要になった。大使館の予約がもっと早くに空いてたら間に合ってなかったじゃん。あぶね!
雇用先と契約を結び、受け入れてもらうことを証明する書類。数か所サインが必要だったらしいが、とりあえず大使館にもっていったらぶっきらぼうに「ここにサイン」と指示された。
修士課程以上の学位証明書
文字通り、研究者として渡航するには修士以上の学位が求められる。
母校に所定の方法で依頼書を郵送したところ、数日で返信が来た。僕の場合は手数料はかからず、切手代のみ。窓口受付はしておらず、返送用封筒を同封して送付。
証明写真
言わずもがな
今後たくさん必要になるし、海外ではパッと手に入らないので、パスポートサイズで多めに持っておくことを推奨する。ちなみに最近フランスでは、写真入りのカードを発行するときは、Webカメラでその場で撮って印刷、というケースが多い。ラボの身分証もNavigoというパリの電車のパスも、これで発行してくれた。
滞在許可証にはephotoというサービスを使って証明写真を送り、電子手続きすることができる。なんでも電子化されている、という点だけはフランス政府のいいところでもある。逆に言うとネットへのアクセスがないと詰む (窓口もあるかもしれないが…) ので何とかして確保すべし。
で、これだけやっても最終的に発行されたのはたった3か月のVISAのみ。フランス渡航後、滞在許可証を申請する必要がある。イギリス人の同僚によると、こちらは発行に2か月かかるらしいので、渡航後最速で手続きすべし。
保険
海外は医療費がべらぼうに高い。風邪やなんかで行っても目ん玉が飛び出る (らしい)。全額カバーの保険にはなんとかして入っておくべき。
フランスでは一応皆保険制度があり、僕も雇用先が手続きしてくれたので7割カバーされている…らしい。大丈夫か?確認しとこ…。
当面は日本で長期海外旅行保険 (一年間) に入り、現地での様子を見て適宜解約することにした
解約時の手続きは日本でしかできず煩雑なため、契約主を父にしてもらい、不要になったら父に手続きをしてもらうことにした
死亡保障よりとにかく医療保障
祖父の体調が良くないのもあり、緊急帰国特約もつけた。二親等までの危篤・死亡で、数週間の一時帰国ができ、その往復費用などが出るらしい (こんなものは使わずに済むのが吉だが)。
また、こちらでは住居に関する保険に入るのが必須となっている。こちらに関してはまた整い次第追記する。
家について
僕の場合はScience Accueil というパリ・サクレ―大学の学生・研究者向けサイトが住居探し・銀行口座開設・フランス語スクール斡旋・滞在許可証発行手続きなどを支援してくれた。
とは言えこのサイトがしてくれるのは家主や銀行の窓口の連絡先をくれるところまで。そこから先は自分で連絡を取って家を決めるしかない。が、ネットの写真だけで家を決めるのは怖すぎる…ので、一週間Airbnbで現地に滞在し、その間に家を決めることにした。家主に内見の依頼を送りまくったが、返事が来たのは体感半分。しかもその半分は1週間後に「もう入居者が決まった」という内容のものが届くだけだった。
何とか内見できた家のうち、家賃が安いところ、ネット回線が安定しているところを優先して選定。節約のためにシャワー・トイレ・キッチンが共用のシェアフラットに入居することにした。この家についても、興味がある人が多ければまたいずれ。
滞在許可証
上述したように滞在許可証を申請する必要があるが、これについても別の記事に詳述する。
銀行口座、送金手続きなど
これに関しては、いかにもフランスらしいトラブルがあったのでこちらも詳細は別記事にまとめる。
重要なことは、こちらで口座やクレジットカードを有効化するにはシークレットコードという別の数字列が必要になるということ、そしてこれが約一週間で期限切れになってしまうということである。さらにこのコードの再発行が死ぬほど面倒。マジで勘弁してくれ。
ということで、海外でも使えるクレジットカードおよびデビットカードは必須。日本のカードとフランスのカードは決済方法が異なるため (フランスのカードは使用後数日で引き落とされる)、高額の買い物はクレジットカードで受け付けてくれないことも多々。そんな時でも、デビットカードなら大丈夫なこともある。盗難・紛失にも備えてバックアップは用意しよう。
Wiseなどの海外送金システムが便利と聞いたが、日本からの登録には最低3000円の入金と、マイナンバーカード、それに加えてパスポートや運転免許などの住所のわかる身分証明が必要。僕はマイナンバー返納後に登録しようとしたため無事詰みました(ちなみにWiseの招待特典はこちら)。
フランスで登録するには、こちらでの住居を証明する、公共料金の支払い証明などが必要。僕はこれらが家賃に含まれているので無事詰みました。
最終的には家の契約書で再承認依頼して完了。
携帯電話
別の記事に詳述するが、現地での携帯購入はかなりめんどくさいし大変。高くても店頭で契約できるタイプのキャリアが良い?(そもそも契約できるかわからないが)
とりあえずの通信手段として日本からahamoの携帯を持って行った。初日を含めて14日までは日本と同じ値段で使用できるが、その後は激しい通信制限を食らううえ、プランによらず、一度日本に帰って使用しないと復活しない。なんじゃそりゃ。とは言え便利なので、この期間内に携帯を契約しよう、と思っていたが…。
通信制限が始まるとほとんどまともに使えない。かろうじてテキストメッセージ (SMS、LINE、WhatsAppなど) だけはやり取りできる。短期の旅行にはよいが、2週間以上の長期滞在にはお勧めしない。
終わりに
以上、長々とまとまりのない愚痴体験談を書いたが、これから渡航しようという人の一助になれば幸いである。
この情報が欠けている!これはどうした?などあれば随時追記するので、コメント感想お待ちしております。
記事はここまでですが、参考になったという方はよろしければご購入いただけると幸いです。レターパック代を補填させていただきます。よろしくお願いいたします。
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