撮れずじまいの秋だった。
今年の秋は、駆け足で過ぎ去った。僕が仕事にかまけているうちに、いつの間にか田植えは終わり、やがて黄金色が広がる。
「なんとか時間でも作って、稲刈りの風景を撮りたいなあ」などど思いつつも、また仕事にかまける。そうこうするうちに、あちこちで稲刈りがはじまった。
田んぼを走るコンバインを横目に、「やべえ、まだ撮ってねえ。稲刈りが終わる前に写真撮らねえと」と焦る。
もみがたわわに実り、地面につきそうなくらい頭を垂れている稲穂。稲穂の上を飛び交う赤トンボの羽は、夕焼け色に透けている。
しかし、そのままずるずると、また仕事にかまける……。
結局、秋色に染まった風景を撮影できないまま、時が過ぎた。
後悔先に立たずとは、このことなんだな。
撮れずじまいの秋は、今年までにしよう。
仕事なんかにかまけていないで、来年はたっぷりと秋を撮りためるんだ。