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ラップってビートに合わせた駄洒落の朗読でしょ

3歳の娘が保育園であのちゃんの『ちゅ、多様性。』を覚えてきて、いつも車で「けろちゅーがききたい🐸」と言われる。YouTubeで検索して流している。

そのままにしていると、CHEHONの韻波句徒か自動再生された。ラガラガラガラガラガラー

レゲエなリズムが心地よくて、タイトル通り、ライムとフロウとリリックが耳に気持ち良い。うっかり再生されたら絶対2回は聴いちゃう。『ラップって、つまりビートに乗って駄洒落を読んでるだけでしょ。それはもう音楽ではなくない?ラップが好きな人って音楽あんまり好きじゃない人なんやろな』とこっそり思っていたこどもの頃の私を蹴飛ばしたい。

あれ、ラップってかっこいいかもしれんと思ったのは高3、GAKU-MCの『昨日のNo,明日のYes』を聴いた時。

当時私は受験生。私が受験する大学は、担任の先生からは高2の時点で『こんな大学、あなたが今受けたって受かりますよ。この大学はね、行けるところがない人が仕方なく行くようなレベルの大学なの』とボロクソに言われた大学。

そんなレベルの大学は、センター試験と二次試験の配分としては、確かセンターが7割か8割。いわゆる“センター逃げ切り型”。センターの勉強だけしとけば良かった。

私は勉強は真面目にしていなかったから、暗記が必要な理社はいまいちだったが、その場で戦える国英はそれなりに取れた。センター過去問や模試では、国語は9割前後、英語は満点前後を取れていた。

だが、センター試験。英語の形式が変わっていた。確か主にリスニングが。私はビートルズのイギリスリバプール訛りの英語に慣れているせいもあって、あんまりリスニングが得意ではない。そして、舐めてセンターの勉強しかしていない私は対応できなかった。受けながらわかった。

『これはやった。終わった』

10割想定だった英語が、7割しか取れなかった。頭から爪先までの衝撃の稲妻。クラスメイトが、英語が8~9割しか取れなかったと号泣して私のところに来たが、私が『おいお前落ち着け、私は7割だ』と答えると一瞬で涙が引いて私を哀れむ顔にあからさまに変わったのでめちゃくちゃ笑った。

センターで逃げ切れなかった私は二次試験でちゃんと戦うことになった。そんな時に、GAKU-MCの例の曲と出会った。

…………
過去の全ての失敗と失態を
「経験」と呼び直すためにある今日

明日の Oh Yes Yesの為のベスト
その瞬間は今です たった今です
取り返しなんて多分つくはずなんです
明日の Oh Yes Yesの為のベスト
その瞬間は今です たった今です
やるかやらないかのちょっとした違いです
昨日の Oh No は 明日の Yes
変えるのは君なのです 君なのです
コケるのは何度だってかまわないのです
昨日の Oh No は 明日の Yes
変えるのは君なのです 君なのです
最後に笑っていればそれでいいのです
……
いつもこれを聴きながら、ひたすら二次試験対策をした。

そして本番当日。私は38度の熱があった。

駅まで歩いていくつもりだったがどう考えても歩けない。私は車が出せる知人に連絡を取り、奇跡的に送ってもらうことができた。駅には一緒に同じ大学を受験する友人(関係ないけどこの人、今の夫)がいて、一緒に電車に乗る。向こうは同じ高校の友人を見つけ、私を心配しながら別れた。

一人で教室に着き、私はふらふらと座席に座る。
開始のチャイムが鳴り、問題用紙を開く。

するとどうだ。正しい答えが全部光って見えた。空欄の穴埋めは、その空欄にうっすらと英単語が見えた。私は、その光っている番号と、うっすら見える英単語をひたすら写した。あっという間に解き終え、見直しもせずに残りの時間は机に突っ伏してぐーすか寝た上出来すぎる衝撃。

そして無事、合格した。GAKUさんマジありがとう。

その後、ap bank fesのDVDで、KREVAに出会う。最後の曲の『to U』の冒頭で、KREVAがラップし、「From me to U!」とGAKU-MCにパスする。それがまあかっこいい。GAKU-MCの「Music!」で転調する時なんかたまらん。

そしてラップのラスト。
桜井さんが両手で夜空を指差す。

「嬬恋の夜空を越えて、to U!」
泣くやん。こんなん。
ラップってこんなにかっこよかったのか!

そこから特にラップにはまることはなかったが、ちょこちょこフリースタイルバトルとか見ちゃう。

音楽に貴賤はない。
私も少しだけ大人になったみたいです。

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