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F. 創発展 - Emergent Properties -

ハイ。というわけで、<意識と価値>あるいは<個性と創発>とはなにかという課題はあまりに迂遠なため、もっと卑近な例として「風景写真」を元に<個性>について考えてみました。

ただこれだけでは、<個性>について十分考えたというにはまだまだ程遠いように思えます。なぜなら油絵を描くような作家からしてみたら「風景をパチンと撮って、それで<個性>ですか?ずいぶん簡単な<個性>ですね」と不満を漏らして「お可愛いこと……」と蔑むに決まっているからです。

そこでここでは次のステップとして、たとえば"ファンドレイジング"を提案しています。


1. 「世界にひとつ」を「個人でつくる」。

唐突に"ファンドレイジング"?意味がわからない。

という方のために一番初めに話を戻すと、僕は「世界にひとつを個人でつくる」というコンセプトについて考えていたのでした。ジャイアンがいなくても写真を譲渡できるようにしたかったからです。

ですがそのコンセプトのうち「世界にひとつ」は目処がたったようですが、「個人でつくる」にはもう少し補足すべき要素も必要なように思えます。

この「世界にひとつ」とは、『インテリアアート導入プログラム』の章で述べた【オリジナル】のことです。無限に複製されうる他の存在と一線を画すためのもの。いわば閾値であり、設けられたハードルであり、他とは違うことを明確にするひとつの要素のことです。

ですがその閾値だけでは、【オリジナル】には足りないのではないかと思うのです。漁師が勇者になった話、『世界にひとつには2通りある。』の章を再考すると、【オリジナル】にはもうひとつの要素が必要であることが述べられています。

それが共感であり、共有です。誰にも共感されていないモノは、それがどれだけ特異なものでも、【オリジナル】足り得ないのではないか?落ちている石を指差してこれはオレの【オリジナル】だといっているのとあまり変わりありません。

2. 層を重ねる。

といって、別に大人数の共感が必要なわけではありません。ポップカルチャーであろうとするなら、最大公約数を狙わないといけなくなり、それは僕たちの活動とは基本的に相反する行為になってしまいます。必要なこととは、作品に対する共感があって、それが共有されていることです。

そこでうってつけなのが、たとえばここでいう"ファンドレイジング"というわけです。ちょうど参考になりましたのでご紹介させていただきたいのですが、鵜尾雅隆さんという方がこのように定義しています。

ファンドレイジングとは『施しをお願いする行為』ではなく、社会に『共感』してもらい、自らの団体の持つ『解決策』を理解してもらう行為である。

『ファンドレイジングが社会を変える』

というのも、幸いなことに今の日本は今日明日食べるものがないという人が少ない。そうするとオカネの使い道がたいへん自由になってきていまして、一種の投票に近いところまできている。

例えばある人はお気に入りの絵師のためにガチャをひく、またある人は好きなアイドルを応援するために円盤を買う、なにに使うか、投票するかは自由なのが資本主義のいいところですよね?

そんな背景がありまして、善意の気持ちを集めるという単純な従来型の寄付にも変化がある。もしくは変えていきたいという運動がある。それが"ファンドレイジング"だといえるのではないでしょうか?

そこでこの"ファンドレイジング"をつかって、それがある程度成功すれば、その作品がある程度共感してもらっていることを共有することができるというわけです。

具体的な実施手段は以下のとおり。

3. 実施手段について。

1.一種の"ファンドレイジング"を実施する
  →目標に達すれば、【オリジナル】の展示会を開催します
2.目標に達しない間は【オリジナル】の展示会はしない
  →いつまでたっても開催されないということもありえます
3.到達までの期限はなし
  →開催はあくまで到達し次第です
4.到達方法も制限はなし
  →ルールはありません
5.到達額は逐次公開する
  →進捗状況を共有します

4. モデルケース『創発展 - Emergent Properties -』。



これまでの譲渡(等)実績積算額:106,781円

(目標額300,000円/前回比較増減額 +11,900円 : 23/03/14)

Project Meteoroscapeでは”オリジナル”作品展示会(仮名称:創発展-Emergent Properties)を企画しています。



■ この展示会について

Q.創発展とは?
A.部分の単純な総和にとどまらない性質が全体として現れることの実現を目指した展示会です。

創発とは、局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成されること。同様に、当プロジェクトは写真を作品として公開するだけでなく、全体を通してある特殊な状況を作り出すことを目的としており、上記『創発展』がそのマイルストーンとなることを期待しています。その特殊な状況とは、複製可能な物を一個人で運用できるようにすること。言い換えればそれは、<個性(individual)>をつくることと言えます。

Q.なぜ譲渡実績の積算をしているのですか?
A.【オリジナル】作品作りに必要だからです。

作家が作品を【オリジナル】であると呼称するだけでなく、不特定多数の承認を得ているという形をつくるためです。また、現在は写真作品の制作サイズをA3ノビの紙面までに収めていますが、積算額が目標額を超えた時点でそれを超えるサイズの作品制作を解禁していきます。

Q.参加者にメリットはありますか?
A.いわゆるクラウドファンディングのように直接のメリットがあるわけではありません。

展示会が開催され【オリジナル】作品の譲渡機会が訪れる、そのこと自体に共同体としての価値が発生します。それは僕だけではなく貴方のメリットでもあります。神社やお寺の氏子・檀家のようなものかもしれません。レギュラー展はそのお試し版と考えていただければ幸いです。

Q.実現はいつになりますか?この企画をいつまでやるつもりですか?
A.期限はありません。長期間かかることが予想されます。

宇宙は約138億年前いわゆるビックバンによって出現したそうです。その後太陽系ができて地球が形成されたのが約46億年前。どろどろに溶けた溶岩の球体が地表の温度低下に伴って固体化し、それを内から破る火山ができて二酸化炭素とアンモニアのガスが地表を覆うようになり、雨となって降り注ぎ原始海洋ができたのが40億年前。そこから2億年かけてようやく海中に生命が生まれたのだとか。

Q.信用に値しますか?
A.信用するかしないかはあなた次第です。


■ 参加窓口

1.作品展
作品展を随時行い、そこでの売上を積み立てています。
展示会の有無や時期など、詳細は「What’s New」をご確認ください。

2.各種物販
展示会・作品の枠を超えた物販の売上も積み立てています。
詳細は実績が立ち次第、随時公開。


G. 九条イツキとは何者か?につづく

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