千吉

長文を書くところ。

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最近の記事

ロロ 『飽きてから』を観て

自分の人生を他人に生きてもらう事はできない。 絵でただ一度の賞状をもらった雪之と、実家に山ほどの賞状を置いてきた青。 おふくろの味を知っていても宅配ピザに憧れていたしっぽと、都市開発のどこにでもある街に住んで外食ばかりで育った青。 しっぽが、ずっと描かないでいる漫画を、雪之が代わりのようにして描く。それがしっぽを追い詰めて、彼女が出て行ってからは、雪之の描く漫画は止まってしまう。 雪之にとって、漫画はしっぽが描くべきものであったが、しっぽがいなければ描くべき理由がない。

    • 田中翠香『サッカーとは特に関係ない日本代表お疲れ様百首』を読んで

      ワールドカップで日本がドイツに勝ったことを記念して行ったアンケート結果によって、田中翠香さんが実景を詠んだ100首。 ちなみに自分はワールドカップは観ていないので「勝ったらしい」という事しかわかっていない。 朝の目覚めから出勤の景色を詠んだ連作となっている。 この冬の冷えを鍵にも感じつつ気持ちゆっくり閉める玄関 微細な感覚が丁寧に拾われている。「冷え」た鍵と「気持ちゆっくり」のスピード感の呼応のバランスが気持ちいい。まるで鍵に主体が共感しているようだ。翠香さんはこういう

      • 紺野藍『言い逃げ』一首評というか感想

        お店の音楽とわたしの音楽が混ざり合いわたしの方を必死に聴いた 紺野藍『言い逃げ』 ヘッドフォンステレオには、世に出始めた頃から「使用者と周囲との間に精神的な壁を作る」という批判があったが、今では誰も取り立ててそんな事を言わないくらいに、商品が定着している。 しかし、『新世紀エヴァンゲリオン』の劇中の重要アイテムとしてDATウォークマンが登場し、その疑似ATフィールド的な演出意図が、当然のように受け入れられている事を考えると、これらのパーソナル音楽プレイヤーは、周囲との壁

        • 親知らずを抜いた時の話

          歳をとって「虫歯を痛がっている時間は、虫歯を治療する時間に比べて、大きな無駄である。そしてやるべき事がある時に限って虫歯は痛くなる」事を理解したため、今回は「やや痛」状態である親知らずを、割と素直に抜いてきた。 近くの歯科医から紹介状を貰って、市立病院の口腔外科に行く。 レントゲンを取って、諸々検査した後に抜歯する日を決定。 それが今日。 職場を15時に抜けて病院に行く。 「ちょっと風邪ひいたみたいなんですけど」 「どうしますか、今日やってしまいますか」

        ロロ 『飽きてから』を観て

          Good job! のトライアルを遊んでみた。

          Good job! について思った事。 3階まで遊んだ。一通り楽しかったけど、気になったのが、開発側がこのゲームをどう遊んで欲しいと思っているのか、色々とできるのだけど、最良の遊び方はなにかという提示のされ方が、あるべきではないかと感じた。 壁を壊すのは楽しい。予期しないで、物理演算で物が飛んだり崩れたりするのも楽しい。 でも、そういう楽しさが、本来のアクションパズルゲームとしての、狙い所と合っているのかという気がする。 自分の中でアクションパズルは、開発側が仕掛けた解

          Good job! のトライアルを遊んでみた。