(12)終わりの合図
八月三十日
自分の機嫌は自分でとる。これは生活の中で大切にしていることであり、大人のマナーだと思っている。
しかし、最近、強くてたくましくて、誰にも頼らずに生きていける女を、演じすぎた。あなたにかっこいい女だと思われたくて、自分が憧れる自分を演じていた。演じることで、本当にそんな女になっているつもりで、、ただ、寂しい思いだけが、私の胸にポツンと取り残されている。
頑張れ、そう言って欲しくて、彼に電話をかけた。電話口で、「もう頑張るな」と言われた。涙がジーパンの色を濃く滲ませた。
本当に私が欲しかったのは、頑張れじゃなく、頑張らなくていいという、終わりの合図だった。
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