世界の豆スープ① ロンドンの霧スープ
世界のスープを自宅で作って探検しているまめです。今回はイギリスの中心都市ロンドンにやってきました。
London particular “ロンドン特有の“(“fog 霧” が省略されていると考える)と名付けられた、ロンドンに溢れる黄色い霧のような色合いのスープ。
19世紀〜20世紀にかけた産業革命の時代に、ロンドンの工場から排出される煙によって街中では黄色く視界が見えなくなるくらい濃度の高い霧が立ち込めていた。
そのことを“London Particular“ とイギリス人は称していた。
そこに、ロンドンのレストランのシェフたちが面白がってLondon Particularという、霧に似た色合いの豆のスープを売り始めたことをきっかけに一般的に広く知れていた料理となった。
当時、豆スープはメイン料理として扱われ、パンと一緒に食べるのが一般的だったことそう。
正直、人体に影響が出るくらい身体に悪い「黄色い霧」に似たスープと聞いて、美味しそうとは到底思えないのだが、そんな皮肉混じりのジョークの効いた名前を、面白がるのがなんともイギリス人らしい。
余談だが、イギリスのジョークと言って、私が1番に思い浮かぶのはBeatlesだ。彼らは皮肉混じりのジョークが大の得意で、歌だけでなくそのユーモアさのおかげで、イギリス人ファンを獲得していったという話を聞いたことがある。
最も有名なジョークは、英国女王の前での講演の際にジョンレノンが言ったこの言葉。
「安い席のかたは手拍子をしてください。そのほかの方は宝石をジャラジャラ鳴らしてください」
日本の芸能人が天皇の前でこれを言った日には、メディア各所で非難が殺到しそうであるが、イギリスはこうしたジョークをむしろ喜んで受け入れる。
私はこうしたイギリス人のセンスが大好きだ。
話が飛んでしまったが、こうした話から、London Particularという料理名を聞いて、まさにイギリス人らしいネーミングセンス!とニヤニヤしてしまった私がいる。
しかし、今では悲しいことに、霧がロンドンから消えると共に、スープ自体もレストランであまり提供されることがなくなったという。。
それでも、ありがたいことにレシピとして残っているので、いつでもその時代へタイムスリップできる。
さて、今回挑んだレシピは、「世界のスープ図鑑」を参考に自分なりにアレンジして作ったのだが、本格的なレシピのため、日本では手に入りづらい食材が結構載っている。
今回の料理では、「スモークハムホッグ」が難関であった。
「たぶん『生ハム』でしょ」
と決めつけて買ってきた後、作り方を改めて確認して違和感に気がつく。
“ハムとその他の材料を2時間煮込む。“
「え、ハムって生で食べられるし、薄いし、そこまで煮込む必要ないのでは……」
ここで「ハムホック」を初めて検索して、豚の踝(くるぶし)のことを指すことを知った。。
イギリスでは燻製にして売られていて、堅いため長時間かけてクタクタになるまで煮込んで使用する部位だそう。
煮込んだ肉の塊からは、旨味たっぷりの豚骨スープのような出汁が出るという。
どうやら私は違う料理を作ってしまったらしい。
しかも、ハムホックの問題に留まらず、緑豆らしいものを使用したところ、数あるレシピ画像のように黄色いスープではなくグレー色のスープになってしまった。レシピも緑豆と書いてあったのに、なぜこんなことになったのかわからない。。
色々と失敗をしてしまい、もはやLondon Particularというよりも、England Normallyと言えるくらい曇った空(イギリスは暖流と寒気がちょうどぶつかる影響で曇りや雨が多い)になってしまっている。
しかし、味はそれなりに美味しかったので、
記録としてレシピに書き起こしておく。