ディープパープルのドラマー、生ける伝説、イアン・ペイス。ドラムクリニック時のメモ。
2014年12月、ESPにてイアン・ペイス氏のドラムクリニックが開催されました。
当時メモしたものが掘り起こされたので、後学のためにまとめておきます。クリニックには日本語通訳の方がついておりましたが・・・私は必死に紙切れ一枚にメモをとっていたので、細かいところ、解釈間違いがあるかもしれません。
どうやら、ネット上には技術的なところや質問者の意図するところにも着目して回答してくださっている方もいるようですが、その方がまとめ切れていない部分もあったので、私の補足も含めて書き記します。※検索していただければ、個人ブログがヒットするかと思うので、すぐわかるかと。
それでは以下、質疑応答をまとめています。ちなみに私はドラマーではなく、ベーシストなのであまりドラマー目線の感想は語れません。あしからず。
Q ドラムの練習方法について。日本のような静かな環境でできることは?
A 肘掛け椅子の「肘」の部分を叩く。マットでもいい。
筆者補足:ペイスは、電動ドラムがキライ・・・らしいですが、オススメはしているようです。笑 そして、引き続き練習方法の質問となり、曰く「汗をかく練習は正しい練習方法である!」と。話の流れで、名曲「Burn」についてペイスは語り出す。
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バースの部分に「文句を言う人」がいて・・・2、3時間で練習が止まってしまう。私も疲れて、飽きてきていた。止まるのがイヤで、ドラムソロをめちゃくちゃにやったところ、突然、メンバーは「それだ!」・・・と。
1stテイクはダメで、2ndテイクがよかった。3rdテイクはまたダメだった。2ndテイクの5分間が、素晴らしかったんだ・・・。
「The Battle Rages On」も7〜8回録音を続けたものの、ダメだった。ところが、次に全然違う風にプレイしたのが・・・よかったんだ。
筆者補足:今我々が聴いているBurnは、まさにその素晴らしかったテイクという訳です。文句を言う人とは・・・これはやはり、リッチー?
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Q バンドをプレイするにあたって気をつけていることは?
A バンドのコントロールというのは、ただリズムを叩くだけではない。音楽をプレイし、曲の意図や目的を理解する必要がある。曲のポイントを生かすことは重要だ。展開や切り替わる部分も。
歌詞中の大事なフレーズを、ドラムで表現する。例えば、Smoke On The Water ならば、カジノが崩れるところをフィルで表現しているんだ。ドラマーも、ミュージシャンなんだ。
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Q 普段のあなた自身の練習について
A スティッキングの速さと言うのは、脳から指への伝達スピードに個人差もあるだろう。私のスピードは生まれ持ったものだろうね。しかし、ドラムにおいては、そのスピードだけが重要という訳でもない。ただ速いだけでは、ミスしても気がつかないだろう? ゆっくりだったら、すぐにわかる。ゆっくりとしたテンポをコントロールするのはとても難しいことなんだ。フィーリングで、「ゆっくり」を意識するのが大事だ。(自分の)持っているものを、最大限に活用してくれ。
筆者補足:このあとルーディメントの技術的な話になり、ペイスの実演もあり・・・。そして何より自身のメモが走り書きすぎて・・・残念ながらこのあたりをしっかり書き起こせそうにありません。内容としては、(ルーディメントは、)腕の動きは一緒でも、うまく使って早く聞こえるようにする。指を活用する。そんな話なのですが・・・。
話の流れで、以下「ドラムの楽しさ」や「ドラムを買うとき」の話に移る。
(ドラムは)チューニングが自由にできる。伝統的なトリック(※)を組み合わせたり、(太鼓の)配置も自由なんだ。
まずは座って、リラックスして。スティックも自分に合ったものを。例えば、「ボンゾ」のスティックはすごく太いんだ。しかも、2倍の重さがある。とはいえ、ジョンと私で、(スティックを交換して)お互いに扱うのは無理だろうな。1980年代には、世界中のあらゆるドラムを探したんだ。自分に合ったものを、一生に一度の気持ちで、パートナーを探してほしい。
筆者補足:トリック(※)とありますが、テクニックのことかも。言わずもがな、ボンゾとは、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーンナムのことです。ちなみにペイスは、「Pearl」のドラムを使っています。
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Q (ネットに書かれているのだが、)リンゴ・スターは、本当に好きなのか?
A 子どもの頃、テレビで見たジーン・クルーパはすごいと感じたんだ。ただ、こういうルックスになりたい、というぐらいで、ドラマーになりたいとは思ってなかったんだけど。彼の(スティックを扱う)手は幻想のようで・・・私は母の編み棒で真似事をしていたな。父はジャズピアニストだったんだ。だから、父が聴いていたビッグバンドを、自分もよく聞いていた。2年ぐらいは家具を叩きまくっていたよ。
15歳の時、初めてドラムキットを手に入れた。父からのプレゼントだったんだ。父とセッションをしたり、ダンスミュージック、ワルツ、フォックストなどの伴奏をやっていたよ。
筆者補足:フォックストとは、社交ダンスの「フォックストロット」のことかと思われます。すみません、あまり詳しくなくて。
(好きなのは、)ホリーズのボビー。もう一人は、フィルインがうまくないけど・・・リンゴ・スター。踊りたくなるものだ!テンポも完璧だ。リンゴは、ドラマーとしての自分の役割を果たしているんだ。1962年以降の、「サージェント」、「アビイロード」などのアルバムは、シンプルなものからオーケストラまで素晴らしい。
筆者補足:自身、「ホリーズ」の造詣が浅く、このあたりの話をしっかりと控えることができませんでした。その他、ビートルズが4拍子以外を初めてロックに導入したんだ・・・!みたいな話もメモには残っていますが・・・。
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Q ディープ・パープルで、最も好きな曲は?
A 日によって違うんだ。例えば「Highway Star」や「Burn」は・・・朝元気いっぱいで目覚めたときと、疲れているときとでは、違うんだ。
Financially, ''Smoke on the water''.
筆者補足:最後は、ペイスの発言ママで締めたいと思います。プロは・・・ジョークも忘れないと言う訳ですね。笑
メモにはなぜか一番好きな曲が書き残されていなかったのですが、クリニック参加者のブログを当たると、どうやら Smoke on the water のようです。
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その他メモ:ここから先は筆者のただの感想です
当日は30名くらいの観客が来ており、私のようにスーツ姿のサラリーマンも多く・・・ああ、もちろん、年齢層は高い。笑 あまり、若いバンドマンみたいな人は少なかった記憶があります。勿体無いな〜と思いますけどね。そもそもクリニックがどれだけ認知されていたのかは・・・わからないけど。
最後には、ESPの学生・関係者と思しきメンバーと一緒にドラムバトルをしたり、バンド演奏したり。女性ドラマーが選抜されたようで、なかなか頑張ってました。だいぶ緊張していたようだったけど、やっぱり専門学校生は上手だな〜と、自身。学生サークル時代を思い出してました。(自分もディープパープルのコピーをやっていたので・・・。)
一方ペイスは、「ッ・・・アア! アアア・・・ッ!!」と、時折猛獣のような激しい声を漏らしながらプレイしており、もちろん、その技術にも目を見張るばかりでした。
バンドの方は、ギター(※残念ながらストラトではなかった・・・)と、ベース(※5弦だったかなあ?アクティブだったかなあ?)の二人も、学生さんのようでした。
キーボード(オルガン?)は妙齢の男性。講師かな? Keyの男性が唯一、ディープパープルのバンドTシャツ着用で、ファン力が高そうでした。ガンガン機材を揺らしており、パフォーマンスなのかアレ? と思っていたんですが、(先述の)他のブログでも同じようなことが書かれていました。笑
ボーカルは、やはりあの高さゆえか女性が登用されており、イアン・ギランみたいな怒鳴る?感じではなく、どっちかというとコブシを効かせて歌ってました。うまかったです。学生では・・・ないと思うけど・・・。確か、Burnをやって、その後に急遽、Smoke on the waterをやっていた気がする。
以上。結局、ディープ・パープルのライブは行ってないけど、いい思い出です。