このご時世にあえて転職して教員になった話⑧【新採編】
35歳で教員を志し、教員免許を取得することからはじめ、37歳で講師として教壇に立った。
教員採用試験は2回受け、1回目は二次で不合格。2回目にしてやっと合格となった。
39歳になっていた。
合格発表の日、早速合格を伝えようと嫁に電話した時のことを昨日のことのように思い出す。
「受かったよ」
「うん・・・(号泣)」
自分の力で勝ち取った合格。
公務員としての地位。
一緒に喜んでくれる家族。
安堵感。
しかし、喜んでばかりはいられない。
新たな赴任地には新規採用として着任するのだ。
39歳、大地に立つ
大学を卒業したばかりの新卒を除いて、講師経験があれば、新規採用と言っても恐れることはない。
新規採用になって違うことは、
・正規職員であること
・新採担当の指導教官、研修時の後補充教員がつくこと
・校務分掌を担当すること
などがある。
中でも、正規職員になることの意味は大きい。
講師の給与は県によって異なるが、天井が決まっており、年齢が高くても一定の額を超えないようになっている。
つまり、若い学生であれば、正規採用と給与にあまり違いはないが、私のように年齢が行っていると、その差はかなり大きくなる。
もちろん、その分責任も重くなるのは言うまでもない。
ただ、講師は何か問題を起こすと簡単にクビが切られるが、正規採用職員は余程のことがないとそうはならないのは大きい。
講師経験は絶対にあった方がいい。
何故なら、新採とはいえ小学校では、いきなり担任を任されるから、である。
はっきり言うと、適性がないと勤めるのは難しい。
教師を志すなら、講師経験で本当にこの仕事でいいのかを見極めた方がいい。
小学校担任に必要な適性とは
大体初任に任されるのは中学年の3年生か4年生が多い。
幼過ぎず、指示が通るからである。
おそらく担任を初めて持つと、その大量の仕事を時間内に捌いて、かつ、子どもたちを上手く動かすことの難しさに悶えるハズだ。
簡単に言うと、ピンチでテンパらない力が強く必要だと思っている。
子どもが怪我をした、熱が出た、ケンカした、給食をこぼした、粗相をした・・・・
様々なピンチが最悪のタイミングで起きるのが教室。
教師に余裕がないと、子どもたちは安心、信頼できず落ちつかなくなる。
心はテンパっていても、落ち着いた振る舞い、冷静な判断が必要になる。
ここでも社会人経験が生きてくる。
トラブルを起こし謝罪する、などたくさんの経験がいい意味でピンチへの感覚を鈍らせてくれる。
「うわー、どうしよ、どうしよう?!」
大丈夫。周りはみんな先生だ。
初任のうちは教えてくれるし、最初は初任者指導教官がつきっきりでサポートしてくれる。
1番やばいのは余裕がなくなると感情的になる人だ。
特に子どもたちに当たってしまうのは避けたいし、同僚に当たってしまうのは最悪である。
逆に言えば、こんな担任が余裕がない状況をほったらかしのまま現在に至るのがけしからんのだが、とにかく余裕がないのが担任という仕事である。
鬼滅の刃の炭治郎のように、「考えろ!考えるんだ!」と自分の状況を解説しながら、慌てるくらいの余裕が欲しいところだ(笑)。
社会人から新採の試練
社会人経験がある人が教員になって感じる試練は同僚や上司との人間関係だと思う。
特に女性のベテランの先生との付き合い方は注意した方よい。
自分は家庭があり、子どもが小さい中初任者として赴任したが、
学校には「若手は早出をして庶務をする」と言うくだらない伝統があるところも未だに存在する。
朝6時過ぎに学校を開けて、お湯を沸かし、先輩の机を拭き、玄関掃除をする、グラウンド整備をする、などなど。
また、主任の先生がいる中で早く帰ることにも文句をを言う人は多い。
正直、仕事は天井知らずにある。
どこかで切らなければ帰れない。
「じゃ、お先に失礼します!」
このひとことが初任者にはなかなか重いのだ。
ワタシのように既に若手ではない新人にはさすがに直接言われないが、
ベテランのおばさん先生には陰で散々言われた。
曰く、若いウチの積み重ねがない、と。
みんなそれをやって来た、と。
そんな非効率な早出やら残業がなんの役に立つのかは知らないし、ブラックと言われる温床なのだが、当の先生らは分かっていない。
スパっとなんでも切ってしまう、
社会人経験ありの新人を心よく思わない人も一定数いることは知っておいた方がよい。
もちろん負ける必要はないし、なんなら一泡吹かせるのも面白い。
次回は授業について書きたい。
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