記憶の引き出しの鍵が開く時
先日から、青空文庫で江戸川乱歩先生の少年探偵団シリーズを読み返している。
ワタシはそれほど乱歩先生の愛読家ってワケじゃない。
一番冊数を読んだ作家は星新一御大だし、次点は太宰(人間失格)先生だし。
ただ、上記の本を読む以前に乱歩先生とは出会っていたなぁ…。
ワタシが最初に出会った乱歩先生は、ポプラ社刊の「青銅の魔人」だった。
家に本があったのだ。
「青銅の魔人」は、「怪人二十面相」「少年探偵団」の発表後、戦争を挟んだ後の作品で、ある意味、金太郎飴的とゆーか、水戸黄門的とゆーか、鉄板のカタチが出来た話だと思う。
故に、「変な人=二十面相」であり、小林少年が危機的状況に陥り、明智先生が華麗に事件を解決する予定調和があり、読者はそれを知っていて安心して読める状態…だったんだけど。
いきなりそっから読んだので、「えっ、そうなのっ?」の連続ではあった。
今回、「怪人二十面相」「少年探偵団」に続いて、「妖怪博士」「大金塊」を読み、それから「青銅の魔人」を読んで、「ほうほう、なるほど、それならこうなるねぇ」を納得した。
ところでもって、そこまで読んだところで、自分が子供の頃に読んだポプラ社刊の少年探偵シリーズで、心に残っているお話を思い出した。
1:なんか顔みたいな指紋の話。
2:三重の塔の屋根に、風鈴のようにヒトがぶら下がってる話。
これって、なんじゃろか? と調べてみたら。
1はポプラ社刊「呪いの指紋」で、2はポプラ社刊「幽鬼の塔」…らしい。
が、青空文庫に「呪いの指紋」はなかった。
ええ〜、なんでぇ〜? って思って調べたら、「呪いの指紋」はいわゆるジュブナイルで、元は「悪魔の紋章」というフツーに大人向けの本だった。
どーりで子供の頃に読んだ時に、スゲーコワカッタうえに、ワカランと思ったワケだよ!
そして、この「大人向けを子供向けにリライトした話」は、ことごとく全部、中古の本でしか出回ってない! ってことも知りました。
復刻版の少年探偵シリーズは、乱歩先生が書かれた27巻までしか無いっぽい。
とゆーワケで、青空文庫にあった元の話「悪魔の紋章」を読んでみた。
うわ〜、話を全然覚えてないや!(いや、児童向けにされているから話が少し違うのか?)…とか思いつつ読み進めていたんだけど。
命を狙われているオジサンが、どっかの山奥の山荘で、夜中に小芝居を見せられるシーンを読んだら、なんか一気に思い出したよ。
そうそう! せっかく身を隠した先で、なんでこんなコワイ目に合わせられてんだこれぇ! って怖くなったんだよね。うんうん。
児童向けでも、コワイとこはちゃんと押さえてコワイままなんだな。うんうん。
と、一人納得をした。
でもって「幽鬼の塔」を読もうと思ったら、青空文庫では「入力予定リスト」にあって、まだ読めなかった。
そのうえ、あらすじを読んだら「五重塔」って書いてある。
おかしいなぁ、子供の頃に読んだ時、なんで五重塔じゃなくて三重の塔なんだろう? って思ったから、読んだ本は三重の塔だったと思うんだけど。
もしかして、横溝先生の「三つ首塔」とタイトル混じっちゃったのかなぁ???