声優の話
海外ドラマが好きだ。
と言っても、これまた中途半端なオタク魂ゆえに、偏ったモノしか視聴しないんだけど。
家人と夕食時にテレビを観る。
リアルタイム放送の番組は、大相撲中継以外は必ず誰かから文句が出るので、なにがしかの録画したモノを観る。
だいたい、時代劇。
CS放送でテキトーに鬼平犯科帳とか、水戸黄門とかを拾っている。
なぜかここ数日、立て続けに磯部勉サンが出ていた。
ワタシの磯部勉サンのイメージは、ユル・ブリンナーとジャン=マイケル・ヴィンセントだ。
前者は「十戒(1956年版:主演・チャールトン・ヘストン)」。
モーセ役のヘストンを納谷悟朗サン、ラメセス役のブリンナーを磯部サンが吹き替えているヤツ。
モーセを磯部サンが吹き替えているバージョンもあるんだけど、納谷サンが吹き替えているヤツの方が、この映画の大上段に構えた娯楽性が引き立つと、個人的には思っている。
が、語り出すと本題がスッ飛んでなくなってしまうので、今は割愛(いつか語る)。
後者は「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ」。
主人公であるストリングフェロー・ホークの吹き替えが、磯部サンなんである。
エアーウルフは、ワタシが思春期に観た海外ドラマで、当時ハマった双璧の一つでもある。
ストリングフェロー・ホークは、かなりヘタレだと思う。
自分が愛する人は全部死ぬと思ってる割に、ちょっとイイ女がいるとトンデモなツンデレを発動して、中学生男子のようなイヤガラセで口説いたりする。
ヒドいブラコンだけど、それは単にイロイロな都合で戦場に兄貴を置いてけぼりにしたからのよーに見える。
ホーク兄弟の父の親友だったドミニクだけが心許せる人物…と言ってるけど、態度の全てが常に上から。
凹むコトがあると、湖畔でチェロを弾きながらメソメソと泣く。
うん、ドラマの登場人物じゃなきゃ、かなり面倒臭いわ。
しかしこの面倒でヘタレのホークが、磯部サンの声で喋ると急にカッコ良くなっちゃうのだ。
確かにジャン=マイケル・ヴィンセントの金髪碧眼もかなりの威力があるんだけど、ビッグ・ウェンズデーを観た時は、むしろウィリアム・カットの方に目が行ったから、ホークがカッコ良く見えた理由の半分以上は磯部ボイスだと思っている。
更にドミニク(名前は可愛いが演じているのはアーネスト・ボーグナイン)は富田耕生サン、アークエンジェル(天使ではナイ。CIAの作戦部長。演者はアレックス・コード)は家弓家正サンと、脇役も完璧な布陣。
実は戦ってるシーンとか、ドッグファイトとか、すぐに飽きちゃうんだけど、磯部サンのカッコ良いホークが観たくて、視聴していたんだろうなぁ…と、最近気付いた。