アフロポップ最前線(2020/July/Afro Popナイジェリア編)
久しぶりのnote更新となってしまいました。
個人的に頂いてるオファーの関係で、ここ数ヶ月はインドネシアやイタリアの現代ポップスを聴きこむことが多かったこともあり、アフリカ音楽からは少し離れていましたが、その間にもアフリカから色々な音源がリリースされていたようなので、また軸足をアフロポップに戻してアフリカの素晴らしいアーティストを掘り下げていこうと思います。
まずはやっぱり外すことが出来ない音楽大国ナイジェリアから、最近のトップチャートにも目を向けてフレッシュな音源をご紹介!
Rema
2000年生まれのRemaはナイジェリアのエド州ベニン・シティ出身。
2019年にMavin Record傘下のJonzing Worldとレコード契約しデビューEP「Rema」をリリース。いきなりApple musicナイジェリアチャートでTOPを飾ります。
その後シングル「Ironman」「Dumebi」など立て続けにヒットを連発。
この「Iron man」は、オバマ前アメリカ大統領が選んだ2019年夏のプレイリスト35曲に選出されて話題に。ちなみにナイジェリアからはRemaの他にもう一人Burna Boyがオバマ氏のお気に入りアーティストとして選ばれていたそうです。
また「Dumebi」はYoutubeで現在2500万超の再生回数を誇る大ヒットに。
ちなみに「Dumebi」はMajor Lazer等が手掛けたいくつものRemixがリリースされているのですが、僕の個人的好みはうっすらと「Do For Love」を感じる、オランダのDJ/リミキサーJarreau Vandalの「Vandalized Edit」です。
そんなRemaの最新シングルは「Woman」。曲のプロデュースは前述の「Dumebi」で「Headies award 2019」の「PRODUCER OF THE YEAR」にもノミネートされたOzedikusと、もう一人Altimsが手掛けています。メロウなPOPチューンとして成立してますが、確実にAmapianoが忍び込んでますね。南アのAmapianoがナイジェリアにも浸透してきてます。コレもRemixが色々出てきそうな予感がしますね。
リリックでは冒頭から「I'm in love with plenty women, I no mind marry all of them」となかなかのことを言ってますが、とにかく今は多くのファンからモテモテ状態で、沢山の女性のことが好き過ぎて仕方ない、そんな大人気アイドルの心境が伺えます(笑)
Omah Lay
「Burna Boyの叙情性とWizkidのメロディーを合わせ持つ」と言われるOmah Lay。彼は1997年ポートハーコート生まれのアフロフュージョン系シンガーで、作曲からプロデュースまで全て自分でこなします。
作曲家兼プロデューサーとしてキャリアをスタートさせるもあまり評価されなかったことから、2019年に自分で歌ったオリジナル曲を地元ラジオ局に持ち込んだことで次第に評判が広がり、レコードレーベルまで存在が伝えられてようやくKeyQaadとレコード契約、念願のラゴスへと拠点を移します。
2020年に入って「Bad Influence」「You」の2曲を続けてドロップ。現在Apple Musicのナイジェリアチャートでも、最新EP「Get Layd」からTOP10になんと4曲がチャートインしています。
「Bad Influence」などを聴いていると、同じナイジェリアのアフロフュージョンアーティストのOdunsi(The Engine)と音の作り方や方向性が近いかな、と僕は思っています。
そんなOmah Layの最新EP「Get Layd」は、上の2曲を含む5曲が収録されており、その中から「Lo Lo」を紹介したいと思います。PVに出てくるモデルの女性たちのファッションも個性的かつ非常に洗練されていて、僕がアフロポップのビデオを観る楽しみはこの辺にもあります。
Cruel Santino
1992年ロンドン生まれラゴス育ちのCruel Santinoは「Santi」の愛称で親しまれているシンガー/ラッパーです。父親はベナンの王族の子孫だそう。
2009年頃にクリエィティブ集団Monster Boys crewを結成し音楽制作の大部分を担当、その後ソロとしてOzzy B名義でアルバム「Suzie's Funeral」をリリース、そして現在のCruel Santinoとなって2019年に名作「Mandy & The Jungle」をリリースします。2020年には自身のレーベルMonster Boyを設立。相変わらずナイジェリアンは〇〇Boyが好きですね(笑)
ではそのアルバム「Mandy & The Jungle」からまず2曲。
この「Rapid Fire」、スペーシーで幻想的なトラックで大好きなんですが、ベース音が一切入ってないですね。なかなか斬新でチャレンジングな音作りだと思いました。
ちなみに前述のOdunsiはSantiの盟友的存在でもあり、彼をフィーチャーした名曲「Gangsta Fear」はアルバム「Suzie's Funeral」を代表する曲ですが、SantiやOdunsiの他にもWavy The CreatorやLady Donliなどは言わゆる「Alté」と呼ばれるコレクティブを構築し、まるで兄弟の様な関係性を生かしたクリエイティブを生み出しています。
そんなSantiの最新シングルは実験的なリズムに美しいシンセのストリングスとピアノリフ、そして高速のリリックが印象的な曲です。
Odunsi
というわけで最後は御大Odunsi。
ナイジェリアンポップスで僕が最も好きなアーティスト/プロデューサー。とにかく生み出す楽曲のメロウ感とセンスがズバ抜けてます。
まずはRuntownをフィーチャーした「Star Signs」
この曲は以前僕のツィッターでも紹介させて頂きました。
そしてこの3曲もメロウアフロポップの先頭集団をぶっちぎってます。
3曲目の「alté cruise」は先ほどのSantiをフィーチャーしてます。
そして今年5月リリースされた新しいEP「Everything You Heard is True」がリリースされていますので、気になる方はそちらもぜひ!
Odunsiはアフロポップという枠を超えた新しい領域に果敢に攻め込みつつ、絶妙なバランスでポップとメロウを融合させる稀有なクリエーターだと思っています。2018年にリリースされた彼のアルバム「rare.」は本当に名作なので、ぜひ一度聴いて頂けたら嬉しいです。
さて、今回紹介させて頂いた4人のアフロポップアーティストは下にまとめて配信サービスのリンクを貼らせて頂きました。お好きな時にお好きな配信サービスで最新のアフロポップをお楽しみください!
【Rema】 Spotify Apple music Youtube music
【Omah Lay】Spotify Apple music Youtube music
【Cruel Santino】 Spotify Apple music Youtube music
【Odunsi】 Spotify Apple music Youtube music
記事を最後までお読み頂きありがとうございました。
サプールに会いにコンゴに行ったサプール系日本人で、蝶ネクタイプロデューサーのアオキシゲユキでした。