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『株式会社マジルミエ』について、税金や保険料などからの補足や『シン・仮面ライダー』について


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注意

これらの重要な展開を明かします。特に、PG12指定の映画『シン・仮面ライダー』及びその漫画版にご注意ください。

特撮映画

『シン・仮面ライダー』

漫画
『株式会社マジルミエ』
『真の安らぎはこの世になく シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』
『キミのお金はどこに消えるのか』
『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』
『がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか』
『新世紀エヴァンゲリオン』

テレビアニメ
『株式会社マジルミエ』
『新世紀エヴァンゲリオン』

『株式会社マジルミエ』について見落とした90話

2024年10月29日閲覧

 『株式会社マジルミエ』原作漫画について、現実の現代に近い不景気の日本で、「怪異」という生物の被害に対処する民間の「魔法少女」の産業だけが伸びており、その規制緩和や大規模なエネルギーの使用のために怪異を自作自演で動かすなどを画策した鎌倉が、「それが日本経済のため」と主張していた件について、私の知る積極財政やケインズ経済学の理論から、幾つか書きました。しかし、90話について見落としていたので、補足します。
 前回の主張を端的にまとめますと、「何故不景気でも魔法少女の企業には高い報酬が支払われるのか」という疑問があり、「怪異が襲って来て、命や生活がかかっているから高い報酬を依頼人が払うのだ」という論理だけでは、需要全体と、貨幣的支出を伴う有効需要の区別が付いておらず、どれだけ依頼人に切実な要望があっても貨幣に余裕がなければ報酬を払えず、魔法少女産業が成長しようがないと書きました。仮に命や生活のかかった被害で需要が経済を盛り上げるならば、現実の日本で災害や獣害をきっかけに衣食住やインフラや駆除の産業が成長しているはずだとも書きました。現実にそうなっていないのは、被災地や害獣の出る地域に需要があっても有効需要にならないためでしょう。
 前回の記事を書いた時点で私が見落としていた90話では、鎌倉の計画に賛同する協力者の内部の会話で、「怪異で破壊されたビルの修復事業や国からの助成金や各種の保険がビジネスになる」という趣旨の台詞がありました。

復興費用や保険も源を考えなければ、不景気の対策にはならない

 しかしこれも、やはり積極財政から言えば、「その貨幣は結局どこから出るのか」という論理で、不景気自体の解決策にならないと分かります。
 被災地の復興費用は多くの場合国が出すのであり、その財源が不景気で足りないという議論に現実でなっているはずであり、「災害を起こせば国は金を出すだろう」という悪役の論理が楽観的です。財源が税金だとして、それこそ越谷仁美の父親などが「税は財源である」と思っている通りならば、「税金の無駄遣い」になってしまいますし、国債だとすると、現代日本の多くの人間が思うイメージならば、「将来世代へのつけ回し」になってしまいます。
 また、保険で景気が良くなるというのも楽観的です。その貨幣もたどっていけば加入者の保険料でまかなわれ、災害が増えれば保険料が上がるかもしれません。
 さらに、飯田泰之さんの2012年の『脱貧困の経済学』や小川製作所様の統計によると、日本の賃金格差は直接受け取る、いわゆる額面の市場所得ではそこそこ小さいものの、そこから税金や保険料を引いた、いわゆる手取りの可処分所得では大きいそうです。

https://ogawa-tech.jp/income-gap/

2024年10月29日閲覧

 つまり、所得再分配のためでもあるはずの所得税の累進性の低さや、逆累進性のあると飯田さんが主張する国民年金保険料によって、かえって格差が広がっているのです。

 さらに、『がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか』の「税は財源ではない」の論理では、災害時にはむしろ減税すべきだったので、復興増税は逆効果だとされます。
 この経済構造が現実のようにあるとみられる『マジルミエ』の日本で、災害のために国が支出したり保険が使われたりすれば、それを根拠にさらに増税や保険料増額になり、低所得者にさらに負担がかかり、格差が広がり、むしろ景気が悪くなる可能性すらあります。
 累進課税は格差を縮めて低所得者を助けるだけでなく、好況なら増税して不況なら減税する自動安定装置(ビルトイン・スタビライザー)の役割があり、それと逆に不況で増税したり、累進性のない保険料を増やしたりすれば、低所得者だけでなく日本の全体の景気にも良くないのです。
 こうしてやはり、『マジルミエ』の悪役の鎌倉の大義と、その前提の経済状況の描き方に間違いがあると考えます。
 ちなみにアニメ版では、大企業のアストの魔法少女の土刃メイが、高級そうな飲食店で被害を広げない退治を依頼されたものの、保険にも言及していました。しかし、その保険料は、国民年金保険料のように累進性のないものならば、それこそ原作の土刃の実家のような貧しい人間に負担がかかっているかもしれません。
 やはり、怪異などの災害やその対策の特殊な職業に限らず、現代日本の場合は自国通貨建て国債を財源として、低所得者を助ける政策が必要だと考えます。そうしなければ怪異対策が成長産業にもならず、逆にそれさえ出来れば、現代日本の場合は怪異対策に関係のない産業も伸ばせるはずです。

『真の安らぎはこの世になく』のコウモリオーグやサソリオーグ

 『シン・仮面ライダー』本編のコウモリオーグによって殺された、ルリ子と同じ服装をした人間は、彼の培養したクローンの可能性が説明されました。
 『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイの「ダミー」がリツコに「破壊」されたのを連想しますが、ルリ子がプラーナで救えなかったことをあまり気にする様子がなかったのも、「助けたとしてどのようにそのあと生かしていくのか」に答えを出せなかったのかもしれません。
 『エヴァ』漫画版でカヲルが、野良猫を「このまま生きていても苦しいだけだから」と絞め殺したような論理が、ルリ子にもあったのかもしれません。
 また、サソリオーグは漫画版で、サソリからかなり変化した姿にも見えますが、今後の様子が気になります。
 特に、劇中でK.Kオーグと同じく、遺体が融解する描写がなかったこと、公式サイトでは「息絶えた」と説明されていることが重要です。サソリオーグについて、遺体が消えるならば政府が毒をどのように回収したのかについて、一時期ネットに疑問が出ていたようですが、コンテナの毒を回収したと考えれば一応説明は付くので、その辺りが描かれるかも期待しています。
 また、第2バッタオーグの一文字の「異形」の度合いが第1バッタオーグの本郷より低く見えるのは、カスタムしたイチローなりの気遣いかも気になります。

https://www.kamen-rider-official.com/zukan/phantoms/1689

https://www.kamen-rider-official.com/zukan/phantoms/1691

2024年10月29日閲覧


参考にした物語


特撮映画

石ノ森章太郎(原作),庵野秀明(監督・脚本),2023,『シン・仮面ライダー』,東映

漫画

岩田雪花,青木裕,2022-(未完),『株式会社マジルミエ』,集英社
山田胡瓜,藤村緋二,石ノ森章太郎,庵野秀明,八手三郎,2023-,『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』,集英社
井上純一/著,飯田泰之/監修,2018,『キミのお金はどこに消えるのか』,KADOKAWA
井上純一/著,アル・シャード/企画協力,2019,『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』,KADOKAWA
井上純一(著),アル・シャード(監修),2021,『がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか』,KADOKAWA
カラー(原作),貞本義行(漫画),1995-2014(発行期間),『新世紀エヴァンゲリオン』,角川書店(出版社)

テレビアニメ

庵野秀明(監督),薩川昭夫ほか(脚本),GAINAX(原作),1995年10月4日-1996年3月27日(放映期間),『新世紀エヴァンゲリオン』,テレビ東京系列(放映局)
岩田雪花・青木裕(原作),平岡正浩(萌)(監督),永井真吾(脚本),2024-(未完),『株式会社マジルミエ』,日本テレビ系列

参考文献書籍

飯田泰之/著,雨宮処凛/著,2012,『脱貧困の経済学』,筑摩書房


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