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応援したいです。大河ドラマ「べらぼう」

 もう2度と大河ドラマには期待するまい。noteへの投稿も控えよう。

そう心に誓っていたのは、去年の大河ドラマ「光る君へ」での失望感が原因です。

……今年2025年はがらりと変わり、江戸時代。

しかも武士ではなく版元(出版社)という商売人。メディア王と銘打って主役に抜擢されたのは蔦屋重三郎

前年の大河ドラマのヒロイン・紫式部より知名度は低いです。

主役が「蔦屋重三郎」と知ったときは……なぜ? と首を傾げました。

2時間枠の時代劇もしくは、3カ月ほどの連ドラに向いている素材だと考えたからです。

それを1年間の大河ドラマで?

まあ、江戸時代ファンなので嬉しいのですが、当惑したものです。


蔦屋重三郎に興味を持ったきっかけは東洲斎写楽

約10カ月の活動期間しかなく、春画を描かなかった唯一の浮世絵師。

そんな写楽の役者絵を世に送り出した版元が、蔦屋重三郎(蔦重)です。

出版業に乗り出した当時は田沼意次の経済政策が上向きで、町人文化が花開いた時期。

ところが田沼意次の長男・意知(おきとも)が江戸城内で暗殺されます。(涙)

この事件がきっかけとなって田沼意次は発言力を失い、松平定信が老中首座に。

松平定信は幕府の権威と財政を守ろうと、町人文化に規制をかけたのが寛政の改革です。


ちなみに、蔦重の晩年の一日を小説に仕立てております。

蔦屋重三郎の一日

もともと文化の中心は京や大阪でした。江戸中後期から各藩が家中武士たちを学ばせる「藩校」を設立するようになり、そのテキストを出版する版元が上方で隆盛を極めていたのです。

上方の版元が江戸への販路拡大をしはじめ、江戸大手の泉屋市兵衛(泉市)や鶴屋喜右ヱ門(鶴喜)などと提携。

幕府の咎めにあって財産半減という処罰を受けていた蔦重が、写楽の役者絵を版行できたのも、上方の版元から出資してもらったおかげ。


蔦重死後、文化人がどういう状況にあったのかをまとめるため、少々ミステリー仕立てにした拙作がこちら。

かどわかし

写楽のライバルであった歌川豊国を主人公にしております。回想シーンで写楽が登場いたします。

こういう引き締め政策で、幕府が出版業をきつく取り締まる状況は「筆禍(ひっか)」と呼ばれました。

みだらな絵や本、幕府への揶揄がある戯作(小説)などが検閲されました。

監視の目は厳しく、罪人扱いされたのは絵師や戯作者といった文化人に限りません。その絵や文章を版木に掘った職人にも手鎖(てぐさり 拘禁刑)や押し込め(自宅軟禁)といった刑罰が下されました。

その「筆禍」にあった職人と「永代橋崩落事件」に触れた自作がこちら

橋のたもとで

宣伝ばかりで失礼いたしました。💦


大河ドラマでは唐丸と名付けられた記憶喪失の少年が蔦重の側にいることで、視聴者に当時の「吉原」を分かりやすく説明する装置として機能していましたね。

主人公の蔦重の幼名をつけられた唐丸は……たぶん、ラストには次なる蔦重となる運命を背負うのかもしれません。

それにしても、きちんと「吉原遊女の格差と闇」が描かれたことには驚きました。

あ、再び宣伝で申し訳ありませんが……。

吉原が明暦の大火で浅草千束村に移転する前、江戸初期の吉原を舞台にした拙作がこちらです。

怪盗お潤 呪いの力を盗め


ドラマ「べらぼう」で役者さんのセリフ回しが正に江戸っ子!

主役の若き蔦重は動きもしゃべりも粋で鯔背。

吉原遊女の「ありんす語」をしゃべりながら啖呵を切る花の井。

後の「鬼平」こと長谷川平蔵が登場したのには吹きました。

なにしろ、吉原に袴をまとって登場するとは!

色街に繰り出して「袴」は野暮の骨頂なのです。……理由はすぐお分かりですよね? 脱ぐときスムーズではないのですから……。寝床で遊女を待たせるのだろうか? 紐をほどく手間の分、「時間切れ」が心配です……

遊女に筋肉を触らせ、キザに鬢のおくれ毛を「ふっ」と吹き上げる演出も利いていて、この先蔦重といい絡み方をしそう。
若き鬼平に期待しております。(*^-^*)


日本のエンタメの原点をドラマに仕立て、海外の視聴者を狙っている野心がほの見えているのはわたしだけでしょうか?

ぜひ、成功してほしいです。

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