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中野剛志先生(評論家)の講演を聞いてきた

かちまいセミナー2019  atとかちプラザ
インフラがつくる十勝の未来 II 令和元年11月23日
「公共投資と国家財政」

かちまいセミナー、中野剛志先生の講演に行ってきました。「公共投資と国家財政」というタイトルですが、その実態は超濃縮MMT講義でした。

MMTというのは現代貨幣理論(Modern Monetary Theory)の略で、最近は日本でも話題になっている経済理論のことです。中野先生はこの理論をいち早く日本に紹介なさった1人です。

以下、印象的だった部分を書き出しました。

まずは枕として

これからお話しすることは個人の見解なので、所属する組織とは関係ありません。

中野先生の今までの講演を動画で見てて、「これ毎回言ってるな」とは思ってたんですけど。今回生で聞けて感激しました。(先生は現役の経済産業省官僚でもある)

・日本で災害が起きた時に、「もう日本にはお金が無いのだから。人が亡くなっても仕方がない。」という考え方になってしまっている。

同じように思っている方、多いのではないでしょうか。

「日本はもうすぐ財政破綻する、これ以上国の借金を増やしたら次世代へのツケになる、日本は人口減少するのだから(防災分野も含めた)公共投資を増やしても仕方がない…。」

こんな言い回し、テレビや新聞でよくやってますよね。

「でも、そうであるなら、今を生きる私たちの世代が、命や生活を守ってもらうための公共投資はあきらめなければならないの?」

このように思われるかもしれません。

「あきらめる必要はない」ないと、中野先生はおっしゃいます。

・日本は公共事業が多いと言われるが、例えば主要河川の堤防整備は全然進んでいない。どこが多いのか分からない。
・「鹿や熊しか通らないような道路を作りやがって」などと言う人がいますが「お前、鹿や熊しか通らない道路見たことあんのか!?」と思いますね。
・サケやマスしか通らないような河川の堤防の整備も…いや川はサケやマスしか通らないからいいんですが。

先生をご存じの方だといつもの調子なのはお分かりだと思います。わざわざ北海道の生き物をふんだんに取り入れてくれて嬉しかったです。

・ 公共投資の予算削減は「国家的自殺」であり、「ひどい戦略ミス」である。

公共投資に対する世間のバッシングは根強いですが、先生はそのような風潮に真っ向から反対する立場です。私も先生に同調します。

例えば最近、私が住む町で大がかりな橋の架け替え工事をしてくれましたが、その橋はこれから何十年にも渡り人々や車の往来を支えてくれます。作業員の皆さんにはそのノウハウが蓄積され、技術がアップします。若い作業員さんたちの暮らしが安定化すれば家族も増えることでしょう。このように公共投資には、社会に活力を与える力があるのです。

今の時代の投資によって作り上げられた物は、未来の財産になります。

それなのに、行うべき公共投資を怠り、あろうことか予算まで削減してしまう。そのことを先生は「国家的自殺」とまでおっしゃっています。激しい言葉ですが、その通りだと思います。

そして次に、MMT講義に入りました。これが、あきらめる必要がない理由の説明になります。

基本的には動画「日本の未来を考える勉強会  よくわかるMMT(現代貨幣理論)解説」と同内容です。ご興味のある方はこちらをご覧下さい。(全部を書き留めるのはムリでした)

・MMTに対する論調は、今のところ8割は批判と感じる。そして残り2割の賛成論のうち、7割位は私が書いているので笑
・MMTを批判している人は、MMTの意味が分からないまま言っているんですよ。お経唱えているお坊さんと同じですね。

まさかMMTの話が始まるとは思ってなかったので正直驚いたんですよね。きっと、日本に財政問題が無いことを、十勝の人たちにも分かってほしかったのですね。会場ではMMTを初めて耳にした方も多かったのではないでしょうか。大変意義深い講演だったと思います。

・MMTは主流派に批判されながら100年耐えてきた理論でありしっかり整合性もある。
・日本で話題になり始めた頃は、おそらく偉い先生たちはMMTを分かっていなかったのではないかと思う。なぜなら取材が私のところに来たから。

2019年春頃から急に話題になりましたね。反発もありながら、少しずつ浸透してる感じはあります。

・財政破綻したギリシャは、ユーロの前にはドラクマと言う熊…いや通貨を発行していました。

北海道ギャグですね。

・主流派は「みんなが価値があると思っているからお金に価値があるんだ」と言って、それが教科書に載ってもいる。彼らはお金が何かを分かっていない。

こういった、主流派の経済学者というカテゴリーの人たち(今の主流は基本的に新古典派経済学者)がいて、その人たちの考え方や理論の多くは現実を正しく捉えていない、間違っているんだ、ということを世間に知らしめたのは、先生の偉大な仕事の一つだと思っています。私も大変驚きましたし、教えて下さったことに大変感謝しています。

・MMTに対する批判で「財政赤字の拡大はインフレになる」というものがあるが、MMTは「その通りだ」と答える。すると批判者は「…」となる。ゴルゴ13みたいですね。

日本には、低インフレで抑えたい人、インフレ自体を嫌がっている人(デフレのままでいてほしい人)など色々いるようですね。この辺りの国民間での合意すらできないのは中々厳しいなぁと思います。国民自体が分裂してるし、国民自体が国をどうしたらいいのかよく分かってないのかなという感じがします。

・ 批判者は「一旦財政拡大をしたらもう止められない、財政規律を緩めるな」と言うが、これは財政民主主義の否定である。

これは財政政策における国民の“議論の結果”より財政“規律”を優先させることが民主主義の否定に当たる、ということですかね。頑張って理解したいです。

・インフレの抑制方法としてはビルトインスタビライザー機能のある所得税や法人税を上げること。消費税はこの機能が弱い。金融引き締めという方法もあるがこれはあまりオススメしない。

これからの日本で、所得税をや法人税を上げて、消費税を下げることはできるでしょうか。税金はただ徴収すればいいわけではなく、景気やインフレ度、所得に応じて加減すべきものだと理解する人たちが政治家や官僚にならないと難しいのかもしれません(理解した上で敢えて国民を苦しめるエリートさんもいるみたいですが…)。でもそのためには、まず国民の多くが理解しなければなりませんね。

あと、先生は財政政策一本槍ではなくて、金融政策の意義もしっかり認めていますね。

・小渕恵三は自分のことを「平成の借金王」と呼んでいた。

果たして「令和の借金王」は現れるのでしょうか。待ちます笑

そして1時間のMMT講義が終わり…

・最後に。公共事業やインフラ整備、防災投資の議論をする時に、予算をあきらめる必要はないのです。

以上、こんな感じです。脈略の無い書き方で申し訳ないです。メモ取るのに必死でした。何かご参考になることがあれば嬉しいです。

中野先生、北海道の果てしない大空と広い大地の中で、素晴らしいお話をありがとうございました。またぜひお越し下さい!

#中野剛志 #MMT #北海道 #インフラ