理想の人物像をグラフィックで伝える
前回のジュエリーデザインの記事に続いて、今回はMESS JEWELRY & GRAPHICのグラフィックデザインについて紹介させていただきます。基本的にはジュエリーのデザインから制作までを丘が担当し、グラフィックデザインは永井が担当していますので、今回は永井が紹介していきたいと思います。
ジュエリーは服よりもその人の一番近くへ行ける
丘と同じく私も初めはファッションに興味があり、ファッションデザイナーになりたくて、ファッションコースのある芸術大学に入学しました。同じコースに丘も入学しており、入学当初からそれぞれでブランドを持ちたいというお互いの夢の話をよくしていました。大学4年生のときに同じゼミに入ったことで、同じ場所でよく一緒に制作をしていました。
その大学では“ファッション”というものを大きく捉えるような学びが多く、ファッションとは人が身につけるものすべてであり、それは服だけではなく、例えばその人の住む家や訪れる街でさえも、その人を形づくるファッションである、という考え方で、その人がどんな人かを想像する上での要素すべてをファッションだと考える、そんな考え方が大前提としてありました。
ファッションを大きく捉えていくうちに、服に留まりファッションデザイナーを目指すことに違和感を感じてきました。その中で、大学在学中、あるジュエリーブランドに出会いました。
そのブランドは一つひとつの商品に身につけた人の感情を非現実に誘うストーリーがあり、それぞれしっかりと考えられたコンセプトで、着けたいと思うことにちゃんと理由があるような、そんなジュエリーでした。
私が本当にしたいことは、身につけた人の日々の苦しみや傷ついた感情を少しでも和らげる手助けをすることであり、ただ可愛いもの、おしゃれなものを作りたい訳ではないと、そのブランドに出会ったときに気づきました。
そして、それができるのは服よりもジュエリーなのではないかと思うようになりました。ジュエリーはすべて直接肌に着けるものであり、服よりもその人の近くへ行ける、その人の感情に直接寄り添うことができると思い、ジュエリーを作っていくことを決めました。
それが大学1年生のときだったため、在学中はジュエリーという視点で制作をしていました。商品として制作するジュエリーや、コンテンポラリージュエリーと呼ばれるものまで、幅広く制作していました。
四六時中頭を動かして、アイデアをたくさん出しているような人間だったので、日々作りたいものはたくさんあり、とにかく作り続けていました。
そんな日々の中で、大学の面白そうなコンテストやプロジェクトにもたくさん取り組んでいたので、毎日とにかく時間が足りないというような、そんな生活を送り、大学4年間はあっという間に過ぎていきました。
ファッションブランドからジュエリーブランドを持ちたいという夢に変わり、将来自身のブランドを持つために、ブランド研究をしようとそのまま大学院へ進学しました。
グラフィックはお客さまとジュエリーをつなぐ
大学院では、ブランドをやるとはどういうことなのか、とにかく一度やってみようということで、この2年間限定でジュエリーブランドを設立し、一人でブランド活動を行いました。
一人でブランドをしていくとなると、ジュエリーを作るだけではなく、そのほかのブランドのロゴ、展示会のポスターやDM、そこで配る冊子、ショップバックなどなど、様々なグラフィック媒体を自身で制作する必要がありました。
大学在学中も、みんなで行う展示会やPOP-UP SHOPの紙媒体の制作をよく担当していたので技術面は問題ありませんでしたが、思った以上にブランドを運営する上で必要になってくるグラフィック媒体がとても多く、グラフィックはお客さまとジュエリーをつなぐためのものであり、ジュエリーと同じくらいとても重要であると感じました。
これからジュエリーブランドを本格的に行っていくためには、そんなお客さまとジュエリーをつなぐ存在であるグラフィックデザインのこともしっかり勉強しなくてはならないと思い、大学院卒業後、グラフィックデザイナー志望で就活をし、デザイン事務所に就職しました。
ビジネスを手助けするあらゆる媒体を制作
今ではグラフィックデザイナーとして仕事を始めてから6年目になります。
企業様や法人様のロゴやパンフレット等のグラフィック媒体の制作をはじめ、トータルにブランディングを担当させていただいたりと、グラフィックと呼ばれるあらゆる媒体や領域を担当させていただいています。
会社紹介パンフレット等のBtoB(企業間取引の取引)で使用するビジネスを手助けするような媒体から、学校案内や商品パンフレット等のBtoC(企業と消費者間の取引)の消費者に届けるためのビジュアル重視の媒体まで、幅広く制作しています。
MESS JEWELRY & GRAPHICの活動へ
デザイン事務所で経験を積み、社会で本当に役に立っているグラフィックデザインを知り、たくさんの媒体を制作してきましたが、自身のジュエリーブランドをやりたいという思いが根底にあるため、それを本格的に動かしていこうと思い、大学卒業後もジュエリーの制作を続けていた丘とともに、MESS JEWELRY & GRAPHICを立ち上げることに。
グラフィックデザイナーとしての経験を活かし、ブランドの世界観を伝えるためのあらゆる媒体の制作をしたり、ときにはジュエリーのアイデアを考えたりと、グラフィックとジュエリーの両方に携わっています。
MESS JEWELRY & GRAPHICの世界観づくり
ブランドを始めた当初、ブランドの全体の世界観を創っていく際に大まかな方向性を決めていました。
私たちの制作するジュエリーはアイデアの幅が広く、ビジュアルが似ているというような商品はあまりありません。そして、そのアイデアの幅は今後も広くなっていくと思います。
そんな中、どのようにブランドを一つの世界にまとめ上げていくのか、今後変わっていくかもしれないけれど、決めなければならない。
当初とても悩みながらグラフィックの方向性をまとめていきました。
一番初めのお披露目の場所として、New jewelry Tokyo 2023への出展が決まっていたため、それまでにブランディングにおけるあらゆる媒体を制作し、世界観を創り上げる必要がありました。
散々考えた末に、やはりブレないものは私たちのブランドコンセプトである「世の中の価値観に捉われず 自分の価値観で物事を考える」という言葉。
この言葉から、頭の中で自分の価値観で物事を考え決めることのできる強い人物像を描いていき、撮影やビジュアル作成の際は常にそういった人物を見た人に想像していただけるか、ということを考えながら作っていました。
理想とする人物像のビジュアル化
ブランドコンセプトに立ち返り決めた「自分の価値観で物事を考え決めることのできる強い人物像」という軸。
そこから実際にビジュアルに落とし込む際に、以下の具体的なキーワードと項目をビジュアルに取り入れていくことを意識していました。
「ロマンティスト」「ノスタルジック」「神秘」「不思議」「夢」「共感」「ロマン」「優しさ」「至福」「エレガント」「愛」「情緒のある」「魔法」
ブランド名にある「散らかった」イメージをビジュアルに取り入れつつ、洗練された印象を作る。
今自分が生きている時代よりも少し前の雰囲気を感じるような質感の写真で、洋画(映画)のような世界観をめざす。
上記のことを意識することで、理想とする人物像につながっていくのではないかと思い、さまざまな媒体のビジュアルを制作していきました。
主には展示販売会のプロモーション(グラフィック媒体やディスプレイ)やSNS等の発信を通して、みなさまにMESS JEWELRY & GRAPHICの世界観をお伝えできるよう制作しています。
実際に対面で販売の機会があった際に、当時の展示販売会の空間づくりに関して、嬉しいお言葉をたくさんの方々からいただき、世界観をつくるということはやっぱり重要で、ジュエリーをだれかに届けるための架け橋のようなものなんだと、それを改めて確かめれたように思いました。
私たちのつくるMESS JEWELRY & GRAPHICのジュエリーやその世界観が、思い通りにならないことばかりの世の中で、だれかの毎日を少しでも生きやすくできていたらいいなと、日々心から思い、ものづくりに励んでいます。
MESSのグラフィックは以下でご紹介・発信しています。
よろしければぜひご覧ください。
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